エステ・整体・美容室・ネイルサロン…施術サービスと薬機法・景表法の関わり方
私が薬機法の中の広告規制分野に足を踏み入れるきっかけは、とある化粧品会社で許認可から広告まで含めた薬事担当者をしていたことです。
その化粧品は美容室専売品として販売されていました。
なので、美容室に対しての薬機法講習などを行うこともあり、そこでよく思っていたのは「みんなの考える違反のボーダーがずれている」ということです。
前提が抜けたまま薬機法NGワードだけを切り取り「~に効く」は言ってはいけないから違反!みたいな判断をしてしまうのは、使えたはずの表現をお蔵入りにしてしまうのでとても勿体ない。
私は日焼け止めのチューブはハサミで切った後3日は使うのが当たり前で、勿体ないのは嫌いです。
「あれ…意識しすぎて販売のチャンス逃してたかも…」
「薬機法…関係あるんだっけ?それって、今すぐ気を付けるべき?そこから訊きたい!」
「薬機法は何となくわかってるけど、他に気を付ける法律ってある?」
という方には是非見てほしい。
以下、どれかに当てはまるならこのnoteは読んで損なしです!
☐ エステ・整体・美容室・ネイルサロン・美容クリニックなどの施術サービス業を営んでいるまたは従事している
☐ 上の事業者のHP制作など、広告制作をおこなっている
☐ 上の事業者のSNS運用代行や広告運用をおこなっている
3分で事業と薬機法・景表法の兼ね合いが丸わかりです。前提がわかれば、もったいない表現を防ぐことができます。
いつも通り、正確性よりも簡潔にわかりやすくを重視して書いているので細かなニュアンスについては実際と異なりますが、つかみとしてはイメージができると思います。
是非最後まで、読んでみてください。
施術と薬機法は無関係
まず知っておいてほしいのは「施術と薬機法は無関係」ということです。
理由は、薬機法は「物」に対する法律だからです。
「化粧品」「医薬部外品」「お薬」
みんな「物」です。
サービスは含まれないので、例えばエステ、整体、美容室の施術サービスについては薬機法の適用範囲ではありません。
施術サービスと薬機法が関わる場面
とは言え、薬機法を気にすべき施設がほとんどです。
関わる場面は、物販です。
エステも美容院も整体も、綺麗になることや健康になることを目的に行く場所です。物販の場面では、薬機法対象の商品を扱うことが多いのではないでしょうか??
化粧品・健康食品・健康器具・・・
薬機法に絡む商品を取り扱っていることがほとんどです。
物販において、薬機法対象の商品を宣伝するときには、薬機法広告規制を守った内容にする必要があるということです。
なにが宣伝にあたるかというと、店頭POP・チラシ・SNS・ブログが対象になるでしょう。SNSやブログは宣伝の仕方によるので、場合によって薬機法対応が必要か判断することになります。
実際、薬機法が問題になった事件もあり…
2020年7月、新型コロナウイルスに効果があるとしてサプリメントなどを宣伝したとして東京都渋谷区のエステ店経営者と店員2人らが書類送検されました。
薬機法の怖いところは、規制が何人にもかかる点です。
組織の規模は関係ないですし、個人であろうと違反していたら逮捕される可能性があります。
施術サービスは景表法
施術は薬機法の対象外ですが、景表法の対象にはなります。
景表法はジャンルを問わず、表示や景品について規制しているので施術サービスにも規制は及びます。
措置命令も出ている
では実際に行政から指導が入った事例はあるのか?というところですが、
ここでは2件、事例を紹介します。
2022年6月
株式会社PMKメディカルラボに対する措置命令
No.1表示について根拠を問われた事例です。
2019年2月
東京都から小顔施術効果を標ぼうする2社に出された措置命令
小顔施術効果の根拠を問われた事例です。
合理的な根拠に乏しい訴求は景表法上問題になる可能性があります。
チラシやHPにおいては景表法を気にしつつ訴求していく必要があります。
施術サービスは景表法、物販は薬機法・景表法と覚えておいてください。
医療、医療類似行為の場合はちょっと違う
※以降、少し応用的な内容です。
施術サービスは景表法と言いました。
が、医療行為提供や、医療類似行為提供を行う施設の場合は景表法だけではだめです。
(医療広告も景表法の対象です)
医療行為は医療法
医療類似行為はあはき法・柔整師法
(柔整師法は以下略します)
により広告規制がされているからです。図を用意しました。
①医療行為
医療を提供する施設に対する広告規制は医療法によって定められています。実務として具体的に守るべきルールが書いてあるのは医療広告ガイドラインです。
②医療類似行為
医療類似行為を提供する施設に対する広告規制はあはき法によって定められています。あはき周りの広告ガイドラインについては検討が行われているものの、コロナで一旦それどころではなくなり今年2月にようやく検討が再開された状況なのでガイドラインはありません。
③エステ・整体(①②以外の施術サービスを提供)
エステや整体施設の広告を規制する法律が特別存在するわけではありません。
※資格から見る施術可能範囲
医療類似行為は人の健康に害を及ぼす業務行為
(あんまマッサージ・鍼灸・整骨院・接骨院)
人の健康に害を及ぼすため、あはき法に基づく資格なしで行うことは禁止されています。
エステや整体といった非医療類似行為
(エステ・整体・カイロプラクティック・アーユルヴェーダ)
人に健康に害を及ぼすおそれのない業務行為なのであはき法に基づく資格がなくても行うことができます。
逆に、エステや整体では医療行為・医療類似行為はできないので~治療のように訴求することはできません。
医療広告と薬機法が関わる場面
医療行為を行う施設が広告を行う場合には、医療広告ガイドラインを遵守する必要があります。では薬機法は、関わらないのでしょうか??
医療行為においては医療法が優先されますが、薬機法が適用される場面もあるため注意が必要です。
薬や医療機器を使う場合、薬機法のルールが適用されます。
例)商品名の広告はできないなど
今回は施術と薬機法についてお話ししたかったのでこれ以上の細かなお話しは避けますがクリニックは医療法・薬機法・景表法とルールが更に複雑に絡み合います。あはき広告のガイドラインについては現在検討中の段階ですが、医療広告ガイドラインに則った内容となるのではないでしょうか。
薬や医療機器の宣伝にあたる場面では、薬機法適用と捉えておくのが自然な流れです。
おわりに
私は、日常に癒しをくれるエステや高い効果で理想の自分に近づけてくれる美容クリニックなど施術サービスをしてくれるお店が大好きです。
行けるときは店舗に行って実際に体験しながら、うまいチラシや院内広告を見て使える表現ないかな~と探すのも楽しみの1つです。
お店によっては意図してなのか、知らないのか、ちょっとやり過ぎかな?と思うような広告も中にはあります。少々厄介な広告規制ですが、どのように守っていくべきか?このnoteが、考えるきっかけになったら嬉しいです。
きっかけになった!という方は是非♡をお願いします!
具体的な対応が知りたい!もっと詳しく知りたいかたはこちらまでご連絡ください!
ひらさこ