事例で紐解く景表法措置命令Q&A
消費者庁から言わせれば、「あるべき姿に戻すための転換点」
事業者からすれば「とんだしっぺ返し」
さくらフォレスト社が販売する機能性表示食品「きなりシリーズ」に出された届出根拠に対する措置命令が注目される理由は次の2つあります。
(1)届出根拠に対する措置命令が出たのは今回が ◤初◢ だから
(2)他社の機能性表示食品(88商品)についても、消費者庁から確認が入っているから
(1)については、一旦届出が受理されても後から措置命令とかあり!?!?という意味での混乱を生み(制度上は問題ない)
(2)については、きなりシリーズは6月30日にすでに届出が撤回されていることから、この88商品についても届出が撤回される可能性があり余波が続く気配です。
今後もこのような指摘が入るとなれば「うちの会社の商品は大丈夫か!?!?」何よりもそこが気になる。だから動向に目が離せないのです。
と言っている今も、もう次の準備が始まっているかもしれませんね。
次はどの機能性関与成分でしょう。
という話は前置きで、このnoteでは措置命令の事例をQ&A形式にてざざっと紹介したく3連休最終日にやっとパソコンに向かっています。
約3分ほどで読了でき、薬機法との絡みも押さえつつ景表法の措置命令について知ることができます。
連休明け、頭の体操がてらお読みください。
Q)機能性表示食品の措置命令の前例が知りたい!
A)機能性表示食品の措置命令では『葛の花事件』
2017年に葛の花由来イソフラボンを配合する機能性表示食品販売する16社に対し、景品表示法に基づく措置命令が出ています。
この事例が、機能性表示食品に対する初の措置命令で、処分理由は優良誤認表示。
届出内容は「内臓脂肪の減少」であるのに対し
行われていた表示は「商品の摂取だけで痩身効果が得られる」かのような表示でした。
大手を含む、16社に対する一斉措置ということで注目を集めた事例です。
また、措置命令には至っていないものの、認知系の機能性を謳う商品に対して、届出後の事後チェックから一斉に指導が入った事例があります。
認知機能に係る機能性を標ぼうする機能性表示食品の表示に関する改善指導及び一般消費者等への注意喚起
この事例では届出内容を逸脱した表示や、医薬品かのように誤認される表示をしていた115の事業者に対して表示の改善指導が行われました。
Q)チラシやDMであっても景表法に気を付ける必要がありますか?
A)オフラインであればOKというわけではありません。
表示を行う場合には、景表法に気を付ける!が基本です。
この事例では、自社ウェブサイト・DM・プレスリリースにおける優良誤認表示が指摘されました。
訴求内容は新型コロナウイルスの感染予防、重症化予防。
どちらについても合理的な根拠がないとされ、優良誤認との判断です。
薬機法観点から見ても問題のある表示で、医薬品でないにも関わらず病気の予防を謳うことは、薬機法違反の表示でもあることは言わずもがなです。
Q)ステマと関係がある措置命令が知りたい!
A)ステマについても触れられた措置命令と言えば、
株式会社アクガレージ及びアシスト株式会社に対する 景品表示法に基づく措置命令
サプリメントの表示についてインスタグラマーによる投稿とアフィリエイトサイトにおける投稿で、豊胸効果を標ぼうし優良誤認表示とされた事例です。
インスタグラマーの投稿では#バストアップ効果 などのハッシュタグが並び豊胸効果が謳われていました。
そして本来であれば必要なはずの#PRや#提供といった便益タグがなく、いわゆるステマ投稿でもありました。
ただ、この事例はステマに対してではなくあくまで表示の優良誤認に対する措置命令です。
あと、もちろん薬機法観点から見ても問題のある表示で、身体に対する変化を謳っており薬機法違反の表示でもあります。
★ステマについては別途特集予定です。
更新次第、こちらの記事にもリンクを付けます。
Q)代理店やアフィリエイトは無関係という理解で合ってますか?
A)景表法における表示の責任は、広告主にあります。
しかし、広告主が必要な管理体制を整え必要な措置を講じていたにも関わらず、全く関与しないところで代理店やアフィリエイターが主体的に表示内容を決め、景表法違反の表示を行っていた場合には広告主側から何等かのペナルティが課されることは十分にあり得る話です。
アフィリエイト広告に対する事例として、2023年3月に東京都から出された措置命令があります。
アフィリエイト広告にて行われていた優良誤認表示に対する措置命令です。
表示の内容は健康食品で痩身効果、化粧品で数秒間でシワ改善効果があるかのような表示に対して、合理的な根拠なしとして優良誤認表示と判断されました。もちろんんこの内容なので、薬機法違反でもあります。
処分を受けたツインガーデン㈱とエムアンドエム㈱は、表示の事実につき内容を十分に把握しておらず、責任を否定していましたが、アフィリエイターの広告であっても景表法上の責任は広告主側にあるため処分を免れることはできませんでした。
アフィリエイターに対する処分はありませんでしたが、対薬機法では代理店だろうがアフィリエイターだろうが関係なしの「何人規制」です。
表示内容は見るからに薬機法違反です。薬務課からの処分があるとすれば免れることはできない表示であることは知っておくべきです。
Q)措置命令が覆ることは絶対にないですか?
A)覆った事例があります。
覆ったものと、一旦それらしく見せた事例を紹介します。
酵素等の成分の作用による痩身効果を標ぼうする食品の販売事業者 5社に対する景品表示法に基づく措置命令
酵素ダイエットを謳う5社の商品に対して出された措置命令ですが、このうち株式会社ユニヴァ・フュージョンに対する措置命令が取り消しされました
リンク先にある通り、取り消しの理由は表示期間について事実認定に誤りがあったからということです。
処分の執行停止が裁判所によって認められた事例もあります。
2021年3月
ティーライフ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令
メタボメ茶という健康食品で、痩身効果を標ぼうしたことが優良誤認表示と判断されました。措置命令後、準備していたかのように取消訴訟を提起し、処分の執行停止を申し立て、裁判所から一審の判決言い渡しまで執行停止の決定がされました。裁判の結果としては、原告側(ティーライフ)が出した痩身効果の根拠は合理的なものとは認められず、請求が棄却され判決が確定しています。
ティーライフ社については、2017年にも措置命令が出され、その後課徴金納付命令も出ています。
わかりきった優良誤認表示でしたが2017年の事例から学び(?)2021年は即時取消訴訟を提起し、執行を引き延ばし、世間の目をカモフラージュさせたのでしょうか?個人的にはしたたかさが伺える対応のように思いました。
最後に
さて、少しでも措置命令に対する疑問は解消されたでしょうか?
広告が日々移り変わるように、行政の見解も日々変わっていきます。
最新事例には“次の規制へのフラグ”も垣間見える場合があるため、見逃せません。
消費者の選択の利益を奪う、事業者ファーストなやりすぎ表示をしないよう薬機法同様、景表法対策も抜かりなく行っていきましょう!
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ひらさこ
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