化粧品で効果があると言ってはいけない!?勝手にハマる薬機法の落とし穴。
お庭の砂場で、息子がせっせと育てているものがあります。
落とし穴です。
スコップで地道に掘って、冬になったら雪を埋めるそうです。
毎朝登校のときに迎えに来る友達に穴を見せ、お友達は一旦穴に入ってから学校に向かうのが最近のルーティーンです。
「また穴に入ってる…」と観察するのが私の日課です。
毎日入る必要がどこにあるのでしょうか。謎すぎますが、特に害もないので見守っています。
そんな話はさておき、今日の話題は勘違いしやすい薬機法ルールと、ルールを踏まえた広告表現の考え方についてです。
私は、化粧品や健康食品の広告規制やマーケティングのコンサルを生業にしています。メーカーやメディア、マーケティング支援会社との取引の中で、よくいただく質問の中にあるのがこちらです▼
「化粧品で効果があると言ってはいけないんですよね?」
とてもよくある勘違いで、広告でも見かけることがあるくらいです。
もしこのような説明を見かけたら、ちょっと疑ってかかってください。
いくら簡潔に伝えたいからといっても、間違った情報を伝えてしまうのはよくないです。大体、ルールには原則と例外があるので、それこそ法律なんて簡潔かつ完璧に説明するのはほぼ不可能です。が、正しく伝えていきたいものです。
※これはもちろん私自身も気をつけないといけないことです(自戒)
先に回答すると、薬機法上「化粧品に効果があると言ってはいけない」は間違いです。どういうことか、2分ほどで読める記事にまとめています。
※この記事は法律上の化粧品効果について整理しています。
成分上のお話しではありません。
更に広告作成するときに注意したいルールについても触れていきます。
化粧品メーカーの方はもちろん、広告制作に関わるライター・デザイナー、化粧品案件を受けるインフルエンサーの方にとっても参考になる内容です。
基礎的なことなので、しっかり押さえておきたいことです。
広告に関するご相談があればこちらまでお願いします!
化粧品で効果があると言ってはいけないわけではない
化粧品に効果があると言ってはいけないわけではないです。
ただ、このような歯切れの悪い回答をするのにも理由があります。
一つずつ、疑問を埋めていきましょう。
化粧品が何なのかがわかれば、答えがわかる
化粧品がそもそも何を目的にしたものなのかがわかれば、「化粧品で効果があると言ってはいけないわけではない」理由がわかります。
化粧品が何を目的にしたものなのか?つまり化粧品の定義については薬機法上このように定められています。
薬機法上の定義としては、化粧品とは人体に対する作用が緩和なもので、
使用目的としては
・身体を清潔にしたり(例えばボディーソープ)
・美化し、魅力を増し、容貌を変え(例えば口紅やファンデーション)
・皮膚若しくは毛髪を健やかに保つ(例えば化粧水)
使い方としては
・身体に塗る
・散布する(スプレーのイメージ)
といったものを指します。
人体に対する緩和な作用とは具体的に何を指すのかですが、これについては、医薬品等の適正広告基準という基準の中で具体的に計56個の効果効能として書かれています。
「肌にうるおいを与える」「肌のキメを整える」といった効果です。
というわけで、56個の限定的な内容にはなりますが化粧品には認めれらる効果はきちんと存在しています。
広告作成のときに注意したいこと
化粧品にも認められる効果があるのだから、広告で「絶対に肌が潤う化粧水」と言いたいところですが、このような表現は使用できません。
広告においてできない表現というものが決まっているからです。
自社の商品を魅力的に見せる表現を工夫する自由はもちろんあるものの、化粧品などの人の健康に関わる商品においては自由を尊重しすぎると勘違いを生み逆に健康を損ねてしまう可能性もあります。
そこで、薬機法という法律では広告表現にブレーキをかけてやり過ぎを防いでいます。
特に気を付けたいルール
例えば化粧品の広告をするときには、化粧品に認められる56の効果効能範囲を超えた広告をすることはできません。
「肌にうるおいを与える」「肌のキメを整える」効果は認められる範囲内なのでOKですが「肌を美白する」効果については認められる範囲を超えているのでNGです。
さらに効能効果の保証的表現の禁止というルール。
「肌にうるおいを与える化粧水」とは言ってもいいけれど、確実に誰にでも同じ効果が出るかのように保証するような表現は明示的・暗示的を問わず認められないとされています。
売る側としても、買う側としても効果を保証したいし、してほしいものですが…NG表現となっているが故に工夫が必要になります。
ルールを踏まえて表現を考えるときに必要なこと
工夫するためには、許容範囲を見極めて表現を考える必要があります。
NG表現のルールを把握するのは簡単ですが、許容範囲を見極るためには「NGの境界線を知っていること」と「業界の温度感を知っていること」が大切です。
「NGの境界線を知っていること」というのは、どのような表現に対し行政の指導が入った事例があるのかを把握していることです。
「業界の温度感を知っていること」というのは、他社の商品広告で行われている表現例を正確に把握することを指します。
広告出稿媒体の審査を通ったものならば適法な表現ということではないので、他社の広告を見るときにリスクを負ってでも行っている違反な表現なのか?OKなロジックがある上で行っている適法な範囲の表現なのか?正確に把握しておくことができると表現を考えるときに役に立ちます。
広告表現の正解はどう探す?
薬機法にはさまざまなルールが存在します。化粧品の効能効果を保証する表現はNGというのは、行政の資料を見たらわかることですが、その上で結局どうしたらいいのかはどこにも載っていません。
もし、広告作成をするときであれば薬機法がわかるライターにお願いすることができますし、もし作成後の場合には薬事チェックをしてもらい表現を修正することができます。
とある化粧品メーカーの方に伺ったお話しですが、社員全員に薬機法知識を身につけさせるため毎月テストがあるそうです。
全員が基本的な知識があるから、高いリスクを冒す表現もなく、検討が必要な表現については監査部署が別途あるということでした。
こういったパターンは稀かもしれませんが、コンプライアンスが強化される今、理想的な対応と言えるかもしれません。
また、薬機法以外の広告規制への対応も重要です。
昨今話題のステマ規制を含む景表法や、特商法といった法律にも注意しながら広告表現の正解を探しましょう。
私も、広告表現の正解を探すヒントを少しずつ公開していきます。
何か月さぼったでしょう。随分久方ぶりになってしまいましたが…今回は以上です。
ちょっと常識すぎたという方も、♡を押してくださいますと継続のモチベーションが上がります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ひらさこ