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2024年まとめのテキスト

2024年大晦日になって、noteの存在をすっかり忘れていたことを思い出す。メモ代わりに丁度良いかなと思って使い始めたけど、出版した本の宣伝にも全然使えてないね。思い出したからには、まとめテキストでも書いとくか。

書き物まとめ
・今年は、『キーウで見たロシア・ウクライナ戦争 戦争のある日常を生きる』(星海社)の出版に漕ぎ着けることができた。書くと決めた時は、戦争の中のこの忙しい中で本なんか書けるんかいなと疑問があったけど、この露宇戦争全面侵略局面が終わるまでに、世のために1冊本を出すのは、こういう人生を送っている自分の使命だろうとも思って臨んでいたので、とにもかくにも無事書き終えられ、出版できてとても嬉しい。戦争が終わるまでに、私がさらに1冊書いてもあまり意味がないと思うので、とりあえずこの手の内容での執筆はこれで一区切り。読んでもらえたら本当に嬉しいし、感想は1つ1つとても感激して読んでいる。この戦争は、私にとっては全然他人事ではない「自分達の戦争」。だからこそ、他の方に、戦争の実態と本質をしっかり伝えたい、わかってもらいたいという強い願望があり、これはその気持ちを真剣に形にした本だと思っている。

・また今年は、ユダヤ研究の赤尾先生にお誘いいただき、2月25日のシンポジウム「ウクライナ文化の挑戦――激動の時代を越えて」で、「ウクライナ人とは誰か」という題名で報告を行なった。これをもとにした論考も来年には公開できると思う。

・さらに、中央アジア研究の宇山先生にお誘いいただき、今年11月9日のロシア・東欧学会の研究大会で「ウクライナのクリミア歴史ナラティブ」という題名で報告を行なった。これをもとにした論文も昨日日本に向けて提出したので、どこかで掲載されることになればまた別途報告するつもり。

・仕事では、私のクレジット入りのテキストは、松田邦紀前駐ウクライナ日本国大使のインタビュー記事がある。全面侵略開始から、ウクライナに心を寄せて全身全霊で活躍されてこられた松田さんが去られる前にじっくりお話ができて、それを公開できて良かった。印象深い記録。

・また、中央公論2023年10月号に寄稿した拙稿『汚職、オリガルヒと闘うウクライナの「市民社会」』で、今年ウクライナ研究会の研究奨励賞をいただいた。感謝。

雑感
思い出せる大きな書き物はそんなとこかな。もともと、20代の時に東京工業大学大学院修士課程に所属していたけれど、研究者人生の展望の見えなさに耐えきれなくなって退学して、フリーの写真家として活動し始めたけどそこでも生計が立てられず、流れに流れてウクライナで生活を始めた自分が、何の因果か、この歳になって学会で発表させてもらえる機会を与えてもらえることになるとは、人生何があるかわからんもんだという深い感慨がある。そして、人生において真剣に書いた本が1冊でも出せれば良いなと思って約5年前に必死で書いた『ウクライナ・ファンブック』に続いて、今年は人生2冊目の本まで出せてしまった。それもこれも、この忌まわしきロシアの侵略戦争のせい。同時に、そんな邪悪極まりない戦争を直接経験していることで、私は、自分の人生の目的、目的へのアプローチ、自分の行動の評価基準、未来についての考え方、人間関係の捉え方、人生観や世界観、心の覚悟などがかなり変わったと思う。ある日突然、予期できない中で、誰かや私がミサイルで殺されるかもしれない、という思いがあれば、人や町や自分への愛情の質や程度も変わるし、取るに足らないもの・こと・ひとに構って時間を奪われている場合ではないと思うと、自分がやるべき物事の優先順位が入れ替わる。好きな人には死ぬ前に好きと言った方が良いし、やりたいことは生きている内にやっといた方が良い。死までの時間はとても有限。で、年末になったところでこれまでのことを振り返る中で、「明日死んだとしたら、後悔するかな?」と軽く自問してみたけれど、いや、そんなにないかもしれないと思っている。心境は悪くない。戦争はまだ当分終わらないだろう中で、来年何をすると良いかをこれから少しずつ考えていこう。とりあえず来月は日本に滞在するので、そこで思索に耽ろうと思う。

日本滞在中の本出版関連のイベントの告知
・1月13日 鳥取県西部日吉津村でヴィレステひえづ応援団の方たちが主催で講演会を開催。こちらは無料イベントなので、地元の方こぞってどうぞ。私も地元の空気を吸ってのびのびやろうと思います。

・1月25日 渋谷の東京カルチャーカルチャーで、トークイベント「平野高志×小泉悠が語る『キーウで見たロシア・ウクライナ戦争 戦争のある日常を生きる』」開催(前売り券発売中)。小泉先生と2時間独占で話をさせてもらえるなんて!楽しみ楽しみ。

・2月2日 清澄白河の本屋さんドレッドノートで、トークイベント「戦争のある日常風景の報告 『キーウで見たロシア・ウクライナ戦争』」開催。トークイベントのお申込み・会場参加はお名前、ご住所、メールアドレスを記載して suzukisyoukai0112@gmail.comにて連絡してくださいとのこと。清澄白河、好きな蕎麦屋があるから、この後蕎麦食べに行こうと思ってる。

さて、今日は年越しそばも食べた。全面侵略が続く中、私や友人やウクライナが考え得た最悪の状態を免れて、とりあえず今の状態でいられているのは、これを読んでくださっている一人一人の方を含めた、多くの人のおかげだと心底思う。1年間、大切なこと・人を支えてくださりどうもありがとうございます。今年も一年大変お世話になりました。良いお年を!

前に東野さんが送ってくれた蕎麦をさっき昼ごはんに茹でて食べた。


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