仕事が早くなる簡単タスク管理(やらない決断をする)
何となく書いてみた「仕事が早くなる簡単タスク管理」シリーズが好評だったので、今回もそのシリーズの続編を書いてみようと思います。
過去の内容は下記リンクを参照ください。
時間を有効に使う上で大切なのは、“やらないという決断をする”ことです。
行動力というのは、成功する上でとても大切なことですし世の中腰が重い人が結構多いと感じます。しかし、時間を有効に使うためには何かを始めるのと同じくらい大切なのが何かをやめること、やらないと決断をすることです。
継続するということはとても難しいしやらないということがそんなに難しいことなのか?と思われるかもしれません。しかし、意外とやらないという決断をすることはそう簡単なことではありません。
私は経営コンサルタントとして企業の業務改善の仕事をすることがあります。トヨタ生産方式のムダ取りや、以前のコラムでも書いたオーバースペックの仕事をやめることなど、様々な視点で効率化について検討してもらいます。
そのような議論をしていて感じるのが、そしてやらないよりはやった方よいけど、費用対効果の観点で考えるとやらなくてもいいと思うことが組織の中には沢山あるということです。そしてこのようなことは前向きな理由でスタートしていることが多いため、なかなかやらないという決断をするのが難しいものです。
かつて製造業の工場を視察している際に、ある製造工程の中で担当社員がチェックリストに沿って製品チェックを行っていました。素人の私から見ていても、これは必要なのだろうか?と疑問に思うような内容でした。気になったのでそのチェックリストについて、突っ込んで話を聞いてみると、そのチェックリストは何年も前に品質管理委員会なるものが発足し、品質向上の施策の一環で始まったそうです。しかし、このチェックリストを使い始めてからこれが元で不良品を見つけたことはないとのこと。そしてこのチェックリストを使うことで毎日30分~1時間の時間を投入しているということでした。気になったので更に突っ込んで聞いてみました。
「このチェックリストって意味あると思いますか?」
「あんまり意味ないと思います。」
「どうしてやめないのですか?」
「勝手にやめて何か問題があったら責任取らされるじゃないですか?自分にはやめる権限はないので黙ってやっています・・」とのことでした。
もしかしたら、10年やり続ければ1回くらい不良品を見つけて品質向上に繋がるかもしれません。そのためやらないよりはやった方が良いとは思います。しかし、費用対効果を考えるとあまり続ける意味は感じません。
このように、やらないよりはやった方が良いことそして前向きな理由で始めたことはとてもやめにくいものです。
例えば、理念を浸透させるために朝礼で理念を唱和しましょうということで始まったことを、やめましょうというのは相当な勇気が要ります(個人的には朝礼を唱和するという行為には賛成です)。
このように、何かを始めることは前向きな意思もあるし取り組みやすいものです。しかし、やらないという決断をするということはとても勇気がいるのです。
ミスやトラブルが起きると、前述のようなチェックリストの導入やダブルチェックの導入などその都度様々な対策が立てられます。そのため放っておくとやることがドンドン増えていきます。だからこそ、年に1度くらいは業務を見直しやめることを決めていく必要があります。そしてそこで重要なのは責任を取れる立場の方が“やらないという決断をする”ことです。
ちなみに私はプライベートの時間を捻出するために、英語の勉強とゴルフはやらないことに決めました。
新しく何かを掴むためには持っているものを一つ手離さないといけません。そのためにも日々やらないという視点を持って自分の時間の使い方を考えるべきです。