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成果の出る会議の特徴⑥(トップは一通り意見が出るまでは質問を中心にする)
私は経営コンサルタントとして、年間150回以上の会議に参加(自社の会議を除く)した経験を活かし、成果の出る会議の特徴について自分なりにまとめています。
六つ目の特徴は「トップは一通り意見が出るまでは質問を中心にする」ということです。
会議参加者が経営幹部であっても、サラリーマンであることに変わりはありません。サラリーマンとして、会議では経営者の意向に反する発言を避けることを気にするものです。議題について自分なりにどのように考えているのかということ以上に、経営者はどのような答えを望んでいるのかということを気にして、経営者の発する一つ一つの言葉に集中し経営者の意向を探ります。
そのため経営者が最初から結論めいたことを言うと、ほとんどの参加者はその意見に流され、自分の考えを封印してしまいます。しかし、それでは衆知を集めることができません。正しい意思決定をする上で重要なのは、各ポジションの責任者の立場としての意見を集めることです。例え経営者が優秀であっても現場の状況で見えていないこともありますし、気付いていないこともあります。また参加者のそれぞれの立場の意見を聞くことで、更に考えをブラッシュアップすることにも繋がります。
パナソニックの創業者である松下幸之助さんも「一人より二人、二人より三人、できるだけ多くの人から、できるだけ多くの話を聞こう。」と衆知を集めることの重要性を説いていました。それぞれの現場の責任者である経営幹部のプロとしての見解を聞き、議論を深めた方が間違いなく良い結論が出ます。
私が会議に参加する際には、経営者には極力結論は言わず、気になったことを質問してもらうようにお願いしています。参加者の意見が一通り出た後に、会社の責任者として経営者に結論を出してもらうようにしています。結論については、多数決ではありません。例え全員が反対したとしても一通り意見を出した後であれば、経営者の一存で決定します。
近鉄グループの中興の祖である佐伯勇さんは「独裁すれども独断せず」という言葉を残しています。これは他の人の意見を聞かず一人で決める独断は良くないが、最終結論は自分で出して、それを徹底してやり切らせるという意味です。
経営者から、『自社のメンバーには自分の意見がなく、いつも一人で考えなければならない』という嘆きをよく耳にしますが、まずは自分の結論を出さずに議題についてどう思うのかという質問を投げかけるスタイルにすべきだと思います。