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カンニングで捕まった時の話し(後編)

1週間が過ぎて東大入試本番を迎えた。


この1週間や入試が終わったあとにどう過ごしていたかについて、

ほぼ記憶がない。


3月10日に東大合格発表があり、私の番号はなかった。


3月中、私は何を考え、どのような心境で過ごしたのか、覚えていない。


3月の末だっただろうか。


同じ学年末試験の「地理」でカンニング、つまり不正行為をした同級生の名前が

明治大学和泉校舎の掲示板に張り出された。


「無期停学に処する」という内容。


そして、卒業するまで、彼の姿を再び目にすることはなかった。


そして、私の処分は・・・




裁きはなかった。無罪放免だった。しかも成績はうえから2つ目の「良」。


優・良・可の良だ。


カンペを用いて作成した答案を、そのまま採点してくれたのだろう。


「心理学」の担当教員は慶應義塾大学医学部非常勤講師の精神科医だった。


お名前は今でも忘れもしない。


こうして私は明治大学2年生に進級することができた。


学年末試験の成績表を偽造し、それが親父にバレたことなどがあとにつづく。


私はたしか1年次は18単位しか取れず、それを24単位取ったと偽造した。

ちっちゃな差である。


卒業単位は128単位。


残りの3年間で、110単位取らなければならない。


私は追い詰められたが、立ち向かうしかなかった。


このときの精神的に追い詰められた境地を、最近まで夢に見ることがあった。


「あ、やべえ、経済政策の試験を受け忘れた」みたいな。


ただ、実際にがんばったのは学年末の1か月弱だけで、年間を通じて

凄まじく努力していた姿とはほど遠い。

その後、主に2年生、3年生の2年間がんばって、4年時には比較的身軽になり、留年することなく、4年間で明治法学部を卒業することになる。


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