行った旅行も思い出になるけど、行かなかった旅行も思い出になる。

タイトルは私が大尊敬している脚本家、坂元裕二さんが【カルテット】というドラマですずめちゃんという子に言わせた台詞。

私はこの台詞を最初に聞いたときに目から鱗が落ちまして、あぁそっかー、行くだけが思い出じゃなくて、行かなかった(行けなかった)環境もまた思い出なんだなぁと、それまで考えたことのない視点からのすずめちゃんの想いに涙したのでした。

なんでこんなことを急に書くかといいますと、やはり今頃になってエニシング・ゴーズの亡霊にとりつかれていることに気付き、今それを浄化昇天するために色々考えているからです。
そのきっかけは、岡崎大樹さんのブロマガとニコ生番組を見てなんだけど、本人も書いたことや話したことから伝わることもあるからというようなことを言ってくれたので、遠慮なく私の話をそこから広げていきたいなと思います。

あくまで私が勝手に感じたこと、思っていることなので、ご本人の思考には全く関係ありません。あしからず。

そもそも、私の話から始めなくてはいけないのですが、体質というかspecというか思い込みが激しいというか、弱ってるときに他者の感情が流れ込んでくるタイプの人なんですね。
普段はなるべくガードするようにしてるんですけど、やはり私自身もショックは受けていたので、ガツンとくらっちゃいまして。
そもそも、エニゴは観ることができた人の方が少ないと思うんです。
私は2回も観ることができたラッキーな一握りなんですけど。
Twitterやってるんで、全中止が決まったときにTLに並ぶ「観たかった」「残念」「悲しい」の声を勝手に受け取ってしまって、勝手にしんどい思いを増殖させてしまった。
それに対抗する方法として、必死に「いや中止の判断は間違ってない」「舞台ってこれだけじゃないし」「推しの舞台がこの先の分まで無くなったわけじゃないし」と自分に自分で言い聞かせていたのだと思います。

でも、これってたぶん、もって行き場のない感情を黒いごみ袋に放りこんでベランダに積み重ねてるようなもので、確かに中身は見えないかも知れないけど、ごみ袋はそこにあるんですよね。
で、まぁ、積み重ねすぎて雪崩が起こって下敷きになったきっかけが推しのブロマガで、読み終わってから相当落ち込みました。
そこから、ちょっとずつ気持ちの整理を始めたので、今は浮上してきてますのでご安心ください。

ニコ生番組のなかで
「生きてればまたできるじゃないとか、他の舞台があるじゃないとかもいうけど、それぞれが一期一会で、僕が36歳から37歳のエニシング・ゴーズは今年しかなかったし、みんながそれぞれの環境で観れるエニシング・ゴーズも今年だけ」のような話をしてくれて、また考え込みまして。
私自身、50歳の区切りのいい誕生日に観劇するのめちゃ楽しみにしていたし。

少ない一期一会を味わえたことはありがたいし、同時に失ったチケットもたくさんあるし、やっぱり複雑なんですけど。

ふと、去年自分が書いたnoteを振り返りましたら、一期一会について書いたものがあり読み返したりしました。

そこには、推しの一人だった俳優さんが亡くなったことに少し触れていて、観に行けなかった舞台どころかもう二度と観れないものがあるわけなんだけど。
(この件に関しても全然立ち直れてないんだけど、そろそろ言葉にして残したいかなという気持ちは沸いてきた)

私はどうも悲しいという感情を見えないところに押し込めすぎるとこあるなぁなどと思いまして。

岡崎くんの言葉から、自分の気持ちには正直であって言いと思うよと言われたようにも感じたので、思うところを書き連ねて整理しようという気になりました。
ありがとう、きっかけくれて。

「観たかった」という言葉は作り手への負担になるかもなと思っていた節もないとは言えないし(でも言ったところでどうにもならない)、観たかった気持ちを引きずるのも嫌だと意固地なとこもあり、あんまり口に出せなかったけど、

やっぱり、もっと観たかったなぁ。

これにつきますよね。

そしてタイトルにした台詞が思い出されて、

「行った旅行も思い出になるけど、行かなかった旅行も思い出になる」

今感じてるやるせなさとか悔しさとか悲しみとか、少しだけ観れた時の楽しさとかは全部、確かに在る。残ってる。

これもまた思い出の宝箱にいれて、時々引っ張り出しては、そんなこともあったなと思う鈍く光る宝石になるかもしれない。

「エニシング・ゴーズ観にいきたかったのに行けなかったんだよね。ものすごく観たかった舞台のひとつだったのにな!」

と、覚えていることが、その舞台への賛辞に繋がるかもしれないですね。
無かったことにせずに、行けなかった思い出も大切にしようということを、残念を抱えている人たちに伝えたいかなと思ったのでした。

でもさ、最後に大声でいうけど

再演あると思ってるー!(言霊)

長々と書いてしまった、読んでくださった方ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?