区政レポートの制作
いたばし編集デザイン室の実績紹介です。2023年4月に東京都板橋区の区議である井上温子さんの「区政レポート」を制作しました。
制作した区政レポートの内容は、井上さんの過去4年間の実績をまとめつつ、次の4年間への構想をまとめたもの。紙は大きめ、タブロイド新聞の規格サイズ(273×406mm)で4ページあります。これが折りたたまれた形で配布されることになります。
デザイン段階でのご依頼でしたので、コンセプト作りなどを構築していく時間はありませんでしたが、自分なりにいくつかの編集上の課題をしぼり、デザイナーといっしょにその解決に努めました。
編集上の注目点と課題
井上さんの区政レポートはとても情報豊かであることが一つの特徴です。前回の区政レポートの中身、つまりタブロイドを開いてみた2-3ページ部分には、その区政への思いがビッシリと詰まっています。
文字がたくさんあると、つい、これを削り落としてスッキリさせることを目指したくなります。でも一市民の目で見たとき、ここまで細部の計画や意図を書いている区議さんには頼もしさも感じられます。
今回は編集として、安易に文字量を減らすのではなく、同等の情報量をいかしつつ伝わりやすくなることに注力しました。
そして2023年の原稿を受け取って整理するなかで、今回はむしろ情報を増やしました。
政策の提案は、さまざまな体験や考えに裏付けられています。そこで井上さん自身がなぜそのような姿勢で政治に取り組むのか、その行動原理のようなものを覗かせることが、この紙面に大切だと考えました。
紙面下段にQ&Aのコーナーを追加。政策の整理とは別に、政治に取り組む理由や姿勢が伝わるようなやりとりを追加してもらっています。
こうした感じで、デザイナーが手を入れる前の段階で、編集者が詳細なイメージラフを制作し、発注者に表現意図を伝え、すりあわせます。
受け取った原稿に対しては、読みやすさを目的にこちらで文章を再構成・変更しているため、その内容確認をお願いしつつ、上記の意図を説明してQ&A原稿の追加もお願いしました。
なお、画像で見るとかなり細かく見えますが、実物は新聞紙サイズなので、文字サイズには十分な大きさをとってあります。
視覚デザインの方針では、前回と比較して色の使い方を再構築しました。
前回は、多様な方針という表現でカラフルな見出しを使っていたのだろうと思います。そうした努力は参考にしつつ、今回は「一大政策」と他の「柱」の主従関係をまとめ、見出しの色数はぐっと抑えました。そうして装飾的な色を減らした分だけ、意味上の整理にアンダーラインや色文字などを使い、膨大な情報量から大切なことを拾い読みしやすいよう構成しました。
オマケのこだわりポイント
まじめな話題の区政レポートだからこそ、遊び心も大切です。表にどーんと使われているイラストは、井上さんによると「こういうシーンを込めてくれ」という注文をたくさんお願いして描いてもらったものだそうで、さらっと見逃してはもったいない内容でした。
そこでデザイナーの提案で「探し絵」クイズを追加。実際に、下の画像を見てください。絵をじっくり見て、なんとも意味ありげな仕草の数々を楽しんでもらえればと思います。
探せのクイズの答えは、実際の区政レポートの4面にまとめてあります。クイズの答えが気になる!という方は、次リンクのブログ記事から画像を確認してみてください。
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制作時間はかなりタイトでしたが、井上さんも深夜までこちらの質問に応答してくれたおかげで、自分たちなりのベストは尽くせました。もし次回があれば、さらにもう一歩上を目指して頑張りたいと思います。ありがとうございました!