#6.ゲーム制作のスタート準備【地域ボードゲームをつくろう!】
第6回目の「地域ボードゲームをつくろう!」ガイダンスです。このプロジェクトは、愛知県の名古屋大学博物館でボランティアをする大学生たちが地元に根差した「地域ボードゲーム」の開発に挑戦していきます。
各回の内容はこちらのマガジンにまとめています。
主催:愛知建築士会 名古屋名南支部
協力:MusaForum(名古屋大学博物館 学生スタッフ団体)
協力:いたばしの地域ボードゲーム会
今回も、前回から続いて、学生の皆さんに制作するゲームのテーマの議論を深めていってもらいます。
今後はいっそう、学生のみなさんの議論や進捗状況もオープンにして、そうした活動記録の役割も出していこうと思います。頑張りましょう!
以下にスライドの一部を抜粋しつつ、実施したガイダンス内容をまとめていきます。
1. 提出内容を見てみよう!
前回のガイダンスでは課題としてチーム内の話し合いを進めてもらい、その話し合いの記録とそこで合意されてきた内容を提出いただきました。
2つの学生チームはまだチーム名を決めていません。今回は仮に、KチームとSチームとしておきます。
今回の制作では両チームとも、これまでの分類で「エンタメ型」と呼んだ地域ボードゲームを狙うことになったようです。仲間との話し合いでは「課題解決型」の議論もあったようですが、最終的にはボードゲームで直接的に何かを学ぶというよりも、ボードゲームを通じた地域交流の活発化を価値とする感じですね。
Kチームでは、名古屋名物に名古屋じゃないものが多数あるというカオス感が楽しくて、それを共有できるゲームを目指します。アイデアには、ナゴヤ帝国とかパワフルなワードが出てきていて、わくわくしますね。
Sチームはメンバーの地元がみんな異なることを生かして、各地の隠れた名所などを知ってもらいながら楽しめるゲームを目指します。旅行に役立つって目標が、なかなか斬新で期待が高まります。
ここに挙げているのは、それぞれのチームでいったん出てきた方針なわけですが、そこに至るまでの意見の共通項や違いについても、とても興味深く課題を読ませてもらいました。
ガイダンスとしては、提出してくれたゲームの「目標体験」の部分について、もう一歩具体的になるよう議論を進めます。
Kチームには、「共感」という言葉の意味を掘り下げてもらいます。この言葉自体は別に問題ないのですが、けっこう意味が広いので、あいまいだとチーム内のズレを見落とすかもしれません。ハッキリとした言語化を心がけると、ゲームデザインも進めやすくなると思います。
Sチームには「旅行に行きたくなるゲーム」という素晴らしい着眼点から次のステップとして、その感情を喚起できる仕掛けは何かという部分に目を向けてもらいます。実在の名所を出すというアイデアとうまく組み合わせてほしいですね。
いずれのチームでも、ボードゲームを「わざわざ作る」目的があるのですから、その目的につながる体験ってなんだろう?ってことをじっくり考えてもらいます。
このときに注目するのは、人の行為や環境ではなくて、気づきや驚きあるいは共感といったプレイヤーの心理面の働きです。
ゲームを通じて、何かに気づいたり驚いたりしてもらえると、それはテーマに対する新しい観点や行動の促進につながります。地域交流が目的の場合も、地域ネタのゲームを通じて、改めて地域の魅力や愛すべきポイントを分かちあえる仲間だと気づきたいわけですよね。
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このように「目標」を立て、そこにつながる「体験」を定めるって工程は、なかなか慣れない行為ですよね。企業の商品開発と似たようなことかもしれず、自分も偉そうに教えるほどの実力はないのですが。でも、今はヒット作品を生み出すためにではなく、自分たちの制作方針が後からブレにくくなるために、この工程に時間をかけています。
結果的にはその答えが完璧でなくても、互いの意見は出しきれたなと思えるくらい、チーム内でしっかり話し合っていきましょう。
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ついでにガイダンス内では、地域をモチーフにゲームを作ることに対して「そのゲームは地域の人に楽しんでほしいのか」「他の地域の人に関心をもってほしいのか」という議論も挙がりました。
今回は、最終的に地域でのゲーム会を開いて人を呼ぶというシーンを想像すると、あまり遠くの住民の方を積極的に呼び込むイメージではありませんから、まずは「地域の人に楽しんでもらう」でOKだと思います。その上でゲームの特性上、地域外の人にも関心を誘うような表現やアピールにも努めるくらいだと、無理がなくて良いんじゃないかと思います。
2. ビジュアルデザインはどう進める?
さらっと流します。
各チームでゲーム開発が始まると、ビジュアルデザインの準備もいずれ必要になります。そこで学生全員ではなく、関心が高い学生向けに実施するデザイン講座の話題を振りました。
3. ゲームデザインはどう進める?
今回もゲームデザインの話題をちょっと追加。
学生の皆さんは7月から試験期間に入るため、次のガイダンスは8月に実施予定です。試験中にゲーム開発を進める必要はありません。しっかり試験勉強を進めましょう。
そして試験終了後に時間がある方は、ぜひ「自分たちのゲーム制作に役立つものはあるかな?」という観点も持って、ボードゲーム経験値を高めてもらいたいと思います。
ゲーム制作をするとき、直前に体験したゲームにはとても影響を受けやすいもの。それは別に悪くないのですが、いろんなゲームを体験しておくと自由な発想で考えやすいと思います。
ゲームを通じて届けたい目標体験が定まり、いろんなゲームを通じてなんとな〜くゲームルールの方向性が見えてきたならば、検討を進めてみましょう。以前の講座で話したように、紙切れを使ってテストプレイを行います。
さて、この段階まできた場合を想定し、今回はゲームデザイン時に意識しておきたいボードゲーム「●●問題」シリーズ10選を共有します。ガイドが自分でメモしてあるゲームデザインのネガティブチェック項目です。
大ヒットするような傑作ゲームを狙うよりも、まずは「クソゲー」となることを避ける。これ、大切だと思います。
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オマケ的ですが、ガイドが最近制作したワークショップゲームを紹介します。ワークショップ用なので参考になりづらい部分もありますが、その制作工程を通じて、ゲームの目標体験とルールのつなぎ方の一例を示します。
この制作ではまず、まもなく留学に行く大学生たちに向け、1コマの時間内で自分が何を届けられるだろうか?という目標設定から始めました。
結果、【旅立つ前の残り期間を「いっそう有意義に過ごそう」と感じられるきっかけを体験してもらおう】という目標を設定し、未来の自分の状態を想像して、そこからバックキャストに今の自分にできることを考えるワークショップを目指しました。
何のために=体験者が日々を「有意義に過ごそう」と考えるために
だれに=まもなく留学に行く大学生たちに
何を届ける=自己の性格や傾向に基づいて未来で起こりそうなトラブルを想像し、その回避のために今からできることがあると気づく体験
以下に「Flashback The Future」の進め方を書きます。
(後日、早稲田のゼミ報告を記事化した場合はリンクに置き換えます)
コンポーネントは、カードとワークシートの2種。ワークシートは1人1枚で「未来予想」と「暗示の解釈」「未来への備え」の3項目を書きます。
18種の暗示内容は本当のタロットなどを参考に作成。カードのイラストはAIに描いてもらった。超楽しい。A4用紙1枚でカードは6種。両面刷りのコンビニカラー印刷で18枚300円。ラミネ加工して(費用は数円分)、カッターで切って、角丸パンチ(所有済みだけど100均のもの)で完成。
4. 試験後の8月以降はどうする?
大学生ですから、地域ボードゲームよりまず試験です。6月後半から7月いっぱいはこのガイダンスを休止します。
でも試験が終わるタイミングはそれぞれ異なります。試験後から次回のガイダンス日までの期間に何ができるか。要点をまとめてみます。
今回のチャプター1〜3までの内容と重なりますが、大きく3つの方針を出しておきます。チーム内での計画に役立ててください。
5. 今日の話題で大切なことは?
今回の大切なことは「切り替え」です。まんま試験の話ですね。みなさん、とても優秀に見えるので、言われなくても問題ない学生さんが多数派な印象をですが、そうではない人がいたときに備えて、強調しておきます。
試験を頑張ろう!
頭の切り替えにTODOリストって結構いいですよね。ガイド自身はフリーランスになってからTODOリストをまともに使うようになったんですが、書き出しておくと「安心して忘れられる」という効果がデカいなーと思います。マルチタスク状態だと特に。
そんなこんなで、次回に向けて考えるきっかけと材料を投げかけつつ今回は終わります。次回から本格的なゲーム制作の始まりです。超楽しみです!
(参考)使用したスライドなど
ガイダンス当日に使用したスライド全体です。
▼全編スライド
▼音声リハーサル
ガイダンスを実施する前に、スライド未完成の状態で、仲間内での音声リハーサルを実施&収録しています。ガイダンス当日とは話した内容がちょいちょい変わっていたりしますが、ご興味があれば、こちらも合わせてどうぞ。