図解!原価計算基準二一【単純総合原価計算】
基準二〇で製品別計算の類型区分を挙げましたが、基準二一は「単純総合原価計算」になります。
イラスト図解すると下図①の通りになります。なお、月末仕掛品がある場合、製造原価を直接材料費と加工費に分けて計算しますが、詳しくは基準二四で規定しています。
なぜ製造原価を直接材料費と加工費に分けるのでしょうか?理由は、原価の発生のしかたが異なるからです。上図①で見ていきます。
まず直接材料費。主に製品の本体となる材料(素材)なので、通常は製品を作り始めるときに、完成までに必要な量が全て投入されます。したがって、加工が進んだからといって、製品1個分の直接材料費が増える訳ではありません。
次に加工費。加工が進むにつれて発生する原価なので、上図①でいいますと、10個分の製品の場合、加工進捗度30%で3個、80%で8個と加工進捗度を掛けた完成品換算量で、月末仕掛品の数量を計算します。
ところで「総合原価計算」の特徴を知るには「個別原価計算」と比較することで、その違いが明確になるかもしれません。下図②をご覧ください。
「個別原価計算」は基準三一以降で詳しく説明しますが、仕事(オーダー)ごとに発行された製品オーダーに原価を集計する計算方式で、特定の製品を作るために用意したトロッコ(製品オーダー)に積まれた原価を計算するイメージになります。
これに対し、「総合原価計算は会計的だ」と説明される場合があります。というのも、生産は一定期間継続して行われ、全ての生産が完了するまで生産数量は確定せず、一定期間(1ヶ月や1年間)で区切って、この期間を原価集計単位として、人為的に製品原価を計算するので「会計的」だと言われます。更には製品原価の後ろに生産物が存在しないのも特徴的です。
これより「個別原価計算=理論的」、「総合原価計算=会計的」ってイメージ的に区分してみましたが如何だったでしょうか?基準二二以降は、今回の「総合原価計算」の複雑版、等級別や組別計算を見てまいります。
<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>