基準一一以降は、費目別計算を形態別分類に基づき「基準一一材料費計算」「基準一二労務費計算」「基準一三経費計算」と規定されています。
今回「基準一一材料費計算」を見ていくことにします。
材料とは、製品を製造するために使われる物品のことをいい、この物品の消費額を材料費といいます。
基準一一(四)にありますとおり、材料の本体価額である「購入代価」に、購入手数料や取引運賃などの「材料副費」を加えた「購入原価」が材料費になりますが、その「消費価格」に実際の「消費量」を乗じて計算します。なお材料の「購入原価」は「実際原価」で計算しますが、必要に応じて「予定原価」で計算することもできます。
基準一一(一)では 「材料費=消費単価✖消費量」 の算式を規定しており、基準一一(二)では「消費量」、基準一一(三)では「消費単価」の計算方法を規定しています。
以上の内容をまとめたイラストが下図②になります。
上図②のとおり、基準一一(三)「消費単価」の計算方法には、先入先出法、平均法、後入先出法等があり、基準一一(二)「消費量」の計算方法には、継続記録法、たな卸計算法があります。これから詳しく見ていきます。
まず「消費単価」の計算方法には、先入先出法、平均法、後入先出法等がありますが、下図③のとおりのイメージで計算することになります。材料費を計算する際の「消費単価」は、材料の実際購入原価に基づいて決定しますが、購入単価は、仕入先の違いや仕入時期によって異なってきますので、どの単価を用いるかが問題となり、各種方法が規定されている訳です。
上図③をご覧ください。「払出」と「月末」で、前月単価と当月単価のどの単価を用いるかがポイントになってきます。
「先入先出法」は、先に受け入れた材料から先に払いだしたと仮定して、材料費の消費単価を決定する方法です。上図③にあてはめますと、月初は前月に受け入れた「単価@A」で構成されていますが、先に受け入れた材料から先に払いだしたと仮定しますので、月末には当月に受け入れた「単価@B」で構成されることになります。
そして「後入先出法」はその逆で、後に受け入れた材料から先に払いだしたと仮定して、材料費の消費単価を決定する方法です。また「平均法」は一定期間における平均単価(上図③の場合、単価@C)を計算し、この平均単価を消費単価とする方法です。
次に「消費量」の計算方法には、継続記録法と、たな卸計算法があります。下図④をご覧ください。
「継続記録法」とは、材料の購入や消費のつど、材料元帳などの帳簿に記録し、帳簿に記録された払出数量を消費数量とする方法をいいます。継続記録法は、つねに在庫数を把握できる、月末に実施たな卸をすることによって、棚卸減耗を把握できる、というメリットがありますが、消費のつど帳簿に記録しなければならないので手間がかかるというデメリットがあります。
他方「たな卸計算法」とは、材料の消費の際には記録せず、購入数量と月末実施たな卸数量との差によって当月の消費数量を計算する方法をいいます。たな卸計算法は、材料の消費時に帳簿に記録しないため、手間が省けるというメリットがありますが、月末になるまで消費数量が計算できない、棚卸減耗を把握することができない、というデメリットがあります。
<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>