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図解!原価計算基準二五・二六【工程別総合原価計算他】

原価計算基準。制定以来、実に60年以上経った今でも、一語たりとも加筆修正されていません。 聖書が古くならないように、全47あります原価計算基準も、時代遅れの産物ではないと考えています。
で、このnote。通常は「読み物」として発信されますが、以前より「調べ物」として創作してみたいとも考えていました。原価計算基準を「一つのnote記事に一つの基準」で楽しくイラスト図解不定期で順不同の発信となりますが、全47基準が完成した時には「試験勉強や実務のお供」として使っていただければ嬉しいです。

『図解!原価計算基準』の前書き

 基準二〇で以下の「製品別計算の形態」の類型に区分し、基準二四までで、(一)(二)(三)まで規定しています。
(一)  単純総合原価計算
(二)  等級別総合原価計算
(三)  組別総合原価計算
(四)  個別原価計算

 そして基準三一から「(四)  個別原価計算」の規定されています。よってこの間の、基準二五~三〇が「総合原価計算」の残りを規定しています。

 今回は、基準二五(工程別総合原価計算)と基準二六(加工費工程別総合原価計算)の二つを見ていきます。

総合原価計算において、製造工程が二以上の連続する工程に分けられ、工程ごとにその工程製品の総合原価を計算する場合(この方法を「工程別総合原価計算」という。)には、一工程から次工程へ振り替えられた工程製品の総合原価を、前工程費又は原料費として次工程の製造費用に加算する。この場合、工程間に振り替えられる工程製品の計算は、予定原価又は正常原価によることができる。

二五 工程別総合原価計算

 例えば、木製のイスを作るとき、木材を切る作業(第1工程)と組み立てる作業(第2工程)というように、作業によって工程を分けることがあります。このように複数の工程がある場合に適用される原価計算を「工程別総合原価計算」といいます。
 なお原価の計算は工程ごとに行うので、どの工程で無駄があったのかを把握することができます。

図①:同一製品を2つ以上の作業工程によって大量生産する生産形態に適用されます。

 次に基準二六では、加工費工程別総合原価計算を規定しています。

原料がすべて最初の工程の始点で投入され、その後の工程では、単にこれを加工するにすぎない場合には、各工程別に一期間の加工費を集計し、それに原料費を加算することにより、完成品総合原価を計算する。この方法を加工費工程別総合原価計算(加工費法)という。

二六 加工費工程別総合原価計算

 あらためて総合原価計算ですが、製造原価を直接材料費と加工費に分けて計算するのがポイントです。なぜ製造原価を直接材料費と加工費に分けるのでしょうか?理由は、原価の発生のしかたが異なるからです。
 下図②で見ていきます。まず直接材料費。主に製品の本体となる材料(素材)なので、通常は製品を作り始めるときに、完成までに必要な量が全て投入されます。したがって、加工が進んだからといって、製品1個分の直接材料費が増える訳ではありません。
 次に加工費。加工が進むにつれて発生する原価なので、下図②でいいますと、10個分の製品の場合、加工進捗度30%で3個、80%で8個と加工進捗度を掛けた完成品換算量で、月末仕掛品の数量を計算します。基準二六(加工費工程別総合原価計算)では、この加工費のみを工程別に、総合原価を計算する方法です。

図②:総合原価計算は、製造原価を直接材料費と加工費に分けるのがポイントです。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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