「麻雀戦術」を学んでも強くなれない人の問題点

今回は私が運営しているオンラインサロンで私が書いたコラムを転載&加筆してお伝えします。

こんなコラムに対して、会員の方がご意見をくれたりして議論を発展させています。

(以下転載)

【サロン運営での発見】
サロンで皆さんの質問を聞いていて気付いたことがあります。
それは、「雀力と、迷う問題のレベルにはあまり相関が無い」ということです。

簡単に言うと、上級卓の方でも投稿される牌姿は難しく、自分も自信をもって回答できない(=強者でも意見が割れそうだなと感じる、という意味です)ものがちょくちょくあります。
もちろん、雀力自体は高く、天鳳ははじめたばかりだから見た目段位が低い、という人がいるのも理解していますが、その上でもそういう傾向がある気がします。

しかし、結果として雀力(段位)に差がでているというのは、(少し印象の悪い言い方にはなってしまいますが皆さんのお役に立てていただくためには誤解が無い方が良いのであまりオブラートに包まず書きます。ご容赦ください。)、「本人が悩んでいる問題よりもっと簡単なレベルの問題を間違っている」のが原因であると考えられると思います。

レベル1からレベル10まで問題があるとして、
三段の人も七段の人も難しいと感じるのはレベル7以上の問題だけど、三段の人はレベル4の問題も間違ってたりする、というイメージです。

もう少し本質的に書くならば、
①期待値の差が小さい場面において「難しい」と感じる能力
②期待値の差が大きい場面において適切な選択をする能力

は別々のものであり、①は比較的みんな身についているが②の差によって成績に影響がでているのではないか、という気がします。

麻雀の学習においては「何が優先度の高い問題か」「何をどの順番で学ぶべきか」がまだ整理されていないためこのような現象が起きても不思議じゃないな、とも感じます。

もしこの仮説が正しいとすると、これは結構大きな問題で、例えば自分一人でいくら牌譜検討をして難しいと感じた場面を振り返って勉強しても雀力の向上が期待しづらいということになってしまいます。

とするならば、もしかしたら、多くの人の雀力を上げるのは
「正しい戦術論」というコンテンツではなく
「強くなるためのカリキュラム」とか
「あなたの弱点を分析するための何切るチェックリスト」みたいなコンテンツなんじゃないか、ということも考えられるわけです。

何かこの考えにコメントや感想があれば、雑談チャンネルの方で発言していただけますと参考にできるのでありがたいです。

(転載ここまで)

これについての皆さんのご意見や、それをふまえた私の感想、今後作りたいコンテンツの話などを有料でしようと思います。

まずこれに関してこんなご意見をいただきました。

②の場合では「正着が分かるのにその通りに打てない」という問題が生じやすいように思います。②は牌譜検討をすれば(場合によっては対局中の打牌直後に)ミスを自覚できる(ただし自己判断に過ぎないが)ので、質問がなされない。が、実戦で正着が打てるようにはなっていないので、ミスが生じ結果を出せない。
特に時間制限のある天鳳ではこの傾向が強いように思います。
座学によりインプットしたものを実戦でアウトプット出来るレベルまで高めるのは、自分でどうにかするしかないと考えていて質問しないということではないかなと思います。
一方で①は時間をかけて自分で考えても分からないので、質問することになるわけです。

私のサロンは、「何切る」「雑談」「質問」などいくつかのスレッドにわかれていて、そこに会員の方が想い想いに投稿する形になっています。麻雀に関する質問は基本的に全て私が返信をします。

するとここに書かれているように、あとから振り返れば明確なミス(2シャンテンから熱くなってリーチに押して放銃した、明らかなホンイツに気付いていなかったetc)とわかる問題は、わざわざサロンに投稿せず、「考えても結論が出ない問題」だけを投稿するのでこのような傾向になっている可能性は確かにあります。

これはなるほど、という感じでした。一方で

 以前セットをした時初手に字牌を切るか孤立19を切るかで30秒くらい考えちゃうのに親リーチに対してはノータイムで愚形リーのみで追いかけるっていうことを友達がしていました。
 麻雀における優先度の高さがわかってない証拠だと思いました。こういうことがおこる原因ってコラムにある通り戦術論が書いてある戦術書ばかりで情報過多でどの情報を優先して取捨選択すればいいかがわからないからだと思います。

こういった肯定意見もいくつかありました。他にも様々なご意見があり、その上で麻雀を覚えてから天鳳でいう5~6段くらいまではこういった問題は存在しているのではないか、と感じています。

このコメントにある「情報過多」というのは大きな問題ですね。2019年はおそらく史上もっとも多くの麻雀戦術書が出た年、だったんじゃないかと思いますが、当然世の中にある情報の総数が増えれば、その中から自分に必要なものを選ぶのは難しくなります。
(そもそも情報が少なければ、自分が必要な情報が世の中に存在しない可能性が高いので、もちろん多い方が良いとは思います。)

情報というのは薬のようなもので、不要なタイミングで摂取したり、過剰に摂取したりしすぎると毒になります。

しかしインターネット全盛の現代、初心者が得ることのできる情報と言うのは増える一方です。情報を得る、というよりも、情報に晒されているとでも言うべき状況ですね。

麻雀YouTuberはどんどん増えるでしょうし、Mリーグなどの放送対局で解説のプロが語る内容も、初心者にとっては立派な「戦術論」です。レベルにしても「夜桜たまさんの本」と「お知らせさんの本」ではまるで違います。

しかしそういったものを細切れに吸収していても絶対に強くはなれません。

言うなればこれから算数&数学を1から勉強しようという人にとって
「テレビをつければ中学数学講座をやっている」
「YouTubeをつけたら九九の覚え方を説明している」
「Twitterを見ていたら最新の研究論文の一部がまわってくる」
「ベストセラーとなっている本は東大の過去問」

みたいな状況になっていて、そこから自分でちょうど良いレベルのコンテンツを選んで強くなってね、という話なんじゃないかなと。

僕ら情報の整理ができている人間からすれば「そんなのは当たり前だろ。とりあえず初心者はリーチとベタオリをしっかりすりゃいいんだよ」みたいに思いがちですが、それはわかっている側の理屈。この時代に麻雀を始めた人は、情報の滝に今まさに飲まれているわけで、それらの情報を無視するのは簡単なことではありません。

という前提の中で

(1)麻雀を勉強している人が効率的に強くなるために意識すべきこと
(2)クリエイターとして自分がこの問題を解決するために取り組みたいこと

の2点を語っていこうと思います。

まず
(1)麻雀を勉強している人が効率的に強くなるために意識すべきこと
について。

これは大きく次の2つが重要であると考えています。
①手に入れた情報を捨てる勇気を持つこと
②物事の粒度を考えること(構造化思考)

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