「麻雀動画」などというジャンルは無い

今回はすでにYouTubeをはじめている人も、これからYouTubeをやってみたいと思う人にもとても大事な話です。大事というかYouTube攻略の最も本質的なところと言っても過言ではありません。

前回の記事で「YouTube動画をTwitterで告知するのはセオリー上は良く無いことである」とか「雀魂実況→雀荘実戦のような方向転換はYouTubeでは危険なのでチャンネルそのものを作り直した方が良い」ということを書きました。

さらにいうと、YouTube動画は(ある程度成功しているYouTuberの間では)「バズる」のを狙うのもよくないと言われたりします。このあたりは言葉の定義や条件設定にもよるのですが、なぜこんなことが言えるのかこの記事を読み終わるころには理解していると思います。

YouTubeの目的を考える

まずYouTubeで伸びるというのがどういうことか説明しましょう。簡単にいえばこれは「YouTubeにたくさんおすすめされる」ということです。皆さんもYouTubeを見ているとき、ホーム画面や関連動画に全然知らないチャンネルの動画が表示されることがありますよね? あの仕組みによって、まだ誰にも知られていないチャンネルでも徐々にいろんな人に知られて有名になっていくことができます。

つまりYouTube側におすすめされるような動画を作れば無名からでも有名になれる(登録者や再生回数を増やせる)、ということです。

じゃあYouTubeはどんな動画をおすすめしてくれるのでしょうか?

話は簡単でおもしろい動画です。当たり前の話ですね。

YouTubeのビジネスモデルを考えると、さまざまな企業から広告を集め、それを動画に挟み込んで表示することで広告料をもらうというのが根幹です(そしてその広告料の一部がYouTuberに分配されます)。

つまりYouTube全体の再生数が多ければ多いほどYouTubeそのものが儲かるわけです。このとき視聴者が「YouTubeの動画ってつまんないからNetFlixみようっと」と思ってしまうとYouTubeは儲かりませんよね。

けれどYouTubeには誰でも動画を投稿できるため、おもしろくない動画や身内に向けた動画も存在します。YouTube運営側としては、そういった動画を多くの人おすすめするわけにはいかにので、「おもしろい動画」だけを選んでおすすめに表示する仕組みを作っています。これをこのマガジンでは「YouTubeのアルゴリズム」と呼んでいきます

でもここで問題が生まれます。どんな動画をおもしろいと思うかは人それぞれであるという点です。

5歳の少年が「おもしろい」と感じる動画
25歳のOLが「おもしろい」と感じる動画
50歳の男性が「おもしろい」と感じる動画

は全て違うはずです。もっと言えばこの属性の中でも個人によって違いますよね。

繰り返しますがYouTube側は視聴者に「次々と表示される動画を見続けて気づいたら朝から晩までYouTube漬けになってもらうのが理想」なんです。ちょっと過激な言い方ですが(笑)。そのためにgoogleという世界トップ企業の頭脳と技術力を使って仕組みを作っています。

その仕組みの根幹が、視聴者の属性(年齢や性別など)とこれまでの視聴履歴を分析した上で「その視聴者が好みそうな動画をおすすめしている」というものです。ここテストに出ますよ。

ターゲットとする属性がブレるとYouTubeも混乱する

これはレストランの宅配サービスのようなものを想像してもらうとわかりやすいと思います。

いつも二郎系ラーメンばかり食べている人に対してYouTubeは「この人は脂っこくてボリュームのある食べ物が好きなようだ」という分析をして、それに合致する料理(動画)をおすすめします。同じような二郎系ラーメンはもちろん、ときには牛丼とかピザみたいな料理もすすめてくるでしょう。

逆にダイエット中のOLは、おそらくヘルシーな料理ばかり注文しているでしょうからYouTubeもそれにあわせて「サラダチキン」とか「チョレギサラダ」みたいな料理をおすすめします。

そうやって人それぞれの趣向にあったおすすめをすることで、YouTubeの利便性を上げています。

ここで前回話した「雀魂実況→雀荘実戦のような方向転換はYouTubeでは危険なのでチャンネルそのものを作り直した方が良い」という話がでてきます。

上記の食べ物の例でいうとYouTubeチャンネルというのはレストランです。料理がひとつひとつの動画だと思ってください。

二郎系ラーメンを出しているチャンネルは「この人は脂っこくてボリュームのある料理が好きな人にウケるチャンネルだ」とYouTube側に判断されています。

(…「脂っこくてボリュームのある料理が好きな人」と書くのは長すぎるのでここからは「デブ」で統一したいと思います。あくまで文章を簡潔にするための記号であって他意はないので怒らないでください。

ではここでそのお店が突然「ダイエットにおすすめのチョレギサラダ」みたいな料理(動画)を提供し始めたらどうでしょうか。

上記のような好みの判別はあくまでYouTubeのAIが機械的に行っているものですから、毎回毎回その料理(動画)を細かく分析しているわけではありません。したがって「今回も二郎系ラーメンみたいな料理(動画)なんだろうな」ということでいつものユーザーであるデブにおすすめします。

しかし突然チョレギサラダをおすすめされたデブ視聴者はどう思うでしょうか。「こんなのじゃお腹いっぱいにならないよ!」ということで食べなかったり食べても低評価したりしますよね。

おもしろい動画を提供するためにYouTube側は、属性を把握するのと同時に視聴者からの評価というのも気にしています。せっかくおすすめしたのに食べられなかった料理(=視聴されなかった動画)や、少し食べて残された料理(=途中で視聴をやめられた動画)というのは「きっとまずい料理(=おおもしろくない動画)だったんだな」という評価をくだし、次からおすすめするのを控えようと考えます

重要なのはこれはあくまでおすすめした視聴者からの評価であるという点です。
本当は「世界一おいしいチョレギサラダ」であってダイエット中のOLならば涎を垂らして喜ぶようなものだったとしてもデブにおすすめしたせいで低評価になる、ということがありえるのです。

そういうことが続いてYouTube側から「このチャンネルの動画はおすすめしても意味ないおもしろくない動画である」と評価されると、その次に本来の得意料理である二郎系ラーメンをだしてもおすすめされなくなることもあります

あくまでも料理がまずいせいではなく、おすすめする相手が食い違ったせいで評価が下がっているというのがポイントです。

ここから先は

1,783字 / 1画像
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?