キミ、もう斬られているよ
武道の言葉で“居着く”という表現がある。
主には「足が止まってしまって動けない状態」のことを指す。居着くと斬られる。真剣勝負であれば居着いたらそれはすなわち死を意味する。
達人の動きをみると速い、体捌きなんかでも自分と達人との動きを比べると明らかに重いし、体がその場に残ってしまっている。てゆーかなんかドタドタしてる。笑
足が止まっていることはもちろん居着いているのだが、動いているのに「重い」、「遅い」というのも広い意味で居着いていると言われる。
居着いているの「居」には、「腰をおろす」や「すわる」、「じっとして何もしないさま」なんて意味がある。「着」には「ぴったりとくっつける」という意味がある。居着くとは、そこに「くっついてとどまっている」というニュアンスが含まれている。「ヨッコラセ」と座る時に感じる重さみたいなものが居着くということだ。
安心安定を求めそこに寄りかかる。
そうすると幻想を生むのだ。
日本人には『肚(ハラ)』信仰がある。
「肚を括る」や「肚をすえる」など昔の日本人はハラを大切にしていた。近年ではアタマからハラへという流れがあり、一時すごく流行った。それは全くその通りなのだが、そこに居着くとハラに幻想を覚える。それだけが全てのような気がしてくるのだ。当然そんなことはなく、人間に頭がついているのだから頭にも意味はあるのだが、どんな時もハラ!ハラこそ正義!正義isハラ!となってくる。
インドではアジナチャクラに居着いて「アートマン幻想」を生み出した。アドヴァイタでは今に居着いて「今ここ幻想」が始まった。
居着いたら即死、即幻想なのだ。
私たちは本来自由自在であり、行き来自由だ。としたら当然アタマにもハラにも居着くことはなく、必要な時に必要な形をその時その時にとることができるはずだ。しかし、それを自らで固定し、寄りかかって腰を下ろし、居座り続けるならやがて本質から外れ、幻想を追い続けることになっていく。
少し前のブログだが、「本来流れているものを固定して捉えると業が生まれる」と書いた。これと同じことがここにも適応される。今回は幻想という言葉を用いたが本質から離れてしまうという点では同じである。
本当は、内在する自在性をどんどん発揮するようにアタマもココロもカラダも使っていきたいのだが、ほっておくと私たちはいとも簡単に外側の恐怖や不安、面倒くささに縛られてしまう。
そしてそんな縛りとは対極にあるのが自由であり、その象徴の一つが翼である。翼があったらどんなに自由を感じるだろうか。
今私たちの背中には翼はないが、体内には古来から翼と同じように考えられている部分がある。それが甲状腺だ。どうだろうか、甲状腺の左様と右葉が翼のようにみえないだろうか。
翼は自由の他にバランスの象徴でもある。活動と休息のバランスはとれているだろうか。または自分の中にある火と水のバランスはとれているだろうか。情熱や冷静さ、短期的な思考や長期的な思考など全てにおいての二極のバランスは甲状腺にも影響する。
そして、もう少し踏み込んだ話をするならば、甲状腺とは喉にある代謝を制御する内分泌系の機関で、こういった内分泌腺は肉体的にはホルモンを出す器官だが、霊的にはチャクラと結びついている。チャクラはエネルギーの中枢であり、通り道である。体内にはチャクラと対応する内分泌線がいくつか存在しているのだ。
ちなみに甲状腺は「意志」とリンクしている。人が大きな目標や目的を持った時、体内に大きなエネルギーを生みだすが、そのエネルギーのバランスをとるのが甲状腺だ。正しく活用できれば上位のチャクラへの間口となり、鋭敏な感覚を肉体に与え、霊的な力へと寄与されるが、甲状腺が正しく活用されてないとエネルギーの分配に支障をきたす。エネルギーが不足すれば無気力・無関心になり、反対にエネルギーが過剰に分配されれば過激な表現をしていくことになる。
甲状腺はチャクラでいえば第五チャクラにあたる。このチャクラは「表現」を司っているのだが、もしあなたが自分を表現することに何かしらの抵抗を感じるのならば第五チャクラにもその影響があるということだ。
あまり深く突っ込むと収集がつかなくなるので、今回は甲状腺のバランスを取るムドラ(印)を一つ紹介してこの回を閉めようと思う。
甲状腺に象徴されるムドラとして代表的なモノにガルダ・ムドラがある。ガルダはインドで信仰されている霊鳥である。
手順は簡単
① 右手の手のひらを胸に向ける
② 左手の手のひらを右手の甲にあて、左右の親指を組む
③ 両手を翼の形にして、親指以外の指を揃えるか、軽く開く
④ 両肩の力を抜いて両肘も軽く身体から離して、背筋をのばす
⑤ 意識を甲状腺に向け呼吸をする。バランスがとれて喉が緩んだらおしまい
呼吸と意識が喉に向けられることで血行が良くなり甲状腺の機能向上寄与します。このムドラを組むことで自分の中の二極に気付きそこから自由に飛び回れればこれ幸い。
では今回はここまで。