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USAIDの具体的な活動データと対外援助に対する世論
前回の投稿で、第二次トランプ政権下で閉鎖の方針が打ち出されている対外人道援助機関の国際開発局(USAID)の歴史について見てみましたが、今回はそれに続いて、USAIDの具体的な活動データについて、複数の海外メディアの報道をもとにして以下に見ていきたいと思います。
USAIDの予算規模と活動地域
米国議会調査局(CRS)によると、USAIDは60ヶ国以上に拠点を構え、そこで活動する職員は約10,000人、その約65%が海外で活動しているという。ただ、現場の活動の大部分は、USAIDから資金提供を受けている契約機関が行っている。USAIDの活動内容は多岐にわたっており、飢餓が起こっている国に食糧を提供するだけではなく、食糧不足が発生しつつある地域を予測するデータ分析を用いて、飢饉検知システムの運用も行っている。
USAIDの予算は約400億ドルと、2023年のアメリカの国際援助(680億ドル)の半分以上を占めている。USAID予算の多くは医療プログラムに充てられており、例えば、ポリオワクチンの接種実施やパンデミックに発展する可能性のあるウイルスの拡散をくい止める活動に使われている。
英BBCの国際的な慈善活動「BBC Media Action」にもUSAIDの資金が入っており、2024年の報告書によると、USAIDによる資金提供額は323万ドルに上ったという。
USAIDの主な資金提供先はアジア、サハラ砂漠以南のアフリカ、およびヨーロッパに集中している。
2024年にアメリカはウクライナに対して、USAIDを通じて54億ドルを超える資金提供を行っており、その大部分がロシアとの戦争に対するマクロ経済支援だった。また、中東のヨルダンには12億3,000万ドルを超える資金提供を行っており、その大部分がヨルダン政府によるインテリジェンス支援やシリア難民への住宅提供など、アメリカの利益に資する分野への協力と引き換えの現金の送金だった。
USAIDはさらに、紛争と気候危機、食糧不足が続くアフリカのエチオピアとコンゴに対しても、それぞれ12億ドルを超える資金提供を行っている。南スーダン、ソマリア、ナイジェリア、スーダン、イエメンに対しても、数億ドル規模の資金を提供している。
対外援助に対する米国人の世論
このような対外援助について一般の米国人はどう考えているのか?
2023年3月に行われたAP通信とシカゴ大学全米世論調査センター(NORC)の共同調査によると、約60%の米国人が、アメリカ政府は対外援助に資金を使いすぎていると考えていることが明らかになった。共和党員の90%および民主党員の55%が、アメリカ政府は対外援助に力を入れすぎているという点で意見が一致している。この調査で約60%の米国人が、政府は教育、医療、インフラ、社会保障、公的医療保険制度(メディケア)などの国内問題への支出が少なすぎると回答した。
画像:Wikipedia
【参照記事】
What is USAID and why is Trump reportedly poised to close it?
What USAID does, and why Trump and Musk want to get rid of it