2024夏一首評13
このひとが「冷水のうすめ濃いめの選択ができない」と思ってるの、じっくり面白い。「冷水にうすめ濃いめがない」じゃないんですよね。
たしかに、あるかないかで言えばありますよね、冷水に「濃さ」って。濃い冷水、は、ある。その感覚を前提にして比喩にしてきているところが、この歌は面白い。
なにが「できない」んでしょうね。なんか不思議な感じがするのは、比喩の内容に対して、そうは言っても「選択ができない」ではなく「そもそも、ない(とされている)」だろうという、いわば常識というものの膜が一枚挟まるからだと思う。それを踏まえて、の比喩の対象の想像はもちろん可能なうえで、そもそもこのひとの比喩が的確なのかっていう疑問が残る。
「みたい」っていう語尾が、そこに効いてくる、気がします。可愛さ、親しみ、的な感触がある。語りかけてきている、ようにも思えるし、独り言を聞いているようにも思える。
ひと……ひと、が居るって思える。比喩から、言ってることから。そういう方向性の成功、があると思った。「できない」という話がそこに繋がるのが、なんだろう、痛快、でした。
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