見出し画像

九州の視察「DBOってなに?」〜5月の平井さん1〜

編集部
平井さん、こんにちは。本日は2024年5月23日。
5月、平井さんがどんなことを考え、どんなことをしていたのかをお話ししていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

平井さん
こんにちは。今月は、ばたばたと忙しかったですね〜。
5月6日にゴールデンウィークが終わり、明けた次の日、8日から環境水道委員会の視察で九州に行ってきました。

編集部
「視察」って、税金で旅行に行っているのではないの?と悪く言う人もいますが、そもそも、どれくらいの頻度で行くんです?

平井さん
だいたい、春と秋の年2回。
昨年5月にコロナが5類になるまでは、受け入れ先がなかったので、中止していました。

ちなみに、今回は委員会の視察でしたが、会派で行く視察もあります。私は、今回で通算3回目の視察でした。

それがねぇ、3日間の行程だったんですけど、
初日の鹿児島で、そのあとの切符を落としたっぽいことに気づいて。
2日目以降の行程の交通費が自腹となりました。ははは。
※帰ってきてから車に忘れていたのを見つけ、払い戻し。

編集部
初日からやってしまいましたね。それもいい思い出ですかね??
何人くらいで行ったのですか?

平井さん
委員会のメンバーが7名。
執行部として副市長とリサイク局長、水道局参事、議会事務局の方。
合計で11名でしたね。
公務ですので、委員会メンバーは全員参加です。

編集部
ちなみに、今回の視察のテーマとかあるのですか?

平井さん
今回のテーマは「DBO」。知らない単語が出てきましたね。
 DBOを簡単に説明すると、デザイン(設計)・ビルド(建設)・オペレート(運営)の略。

例えば、倉敷市が何か公共施設を新たに作るとします。従来は、設計は設計会社に、建設は建設会社に、運営は運営会社に、それぞれお願いします。

DBOは、設計・建設・運営を一括で長期的にお願いするので、全体的な事務の効率化や合理化がしやすいとされる形式です。

編集部
一括で発注していると、運営者がやりたいことができる設計や施工になっているでしょうし、お互いの目的が一致しているから無駄がなくて良さそうですね。デメリットはありますか?

平井さん
良い点も多いですが、一度決まると発注者を変更するなど、見直しがしづらいという点がありますね。
今回の視察では、いずれも実際にDBO方式で行っている施設ばかりです。

編集部
なるほど、そうなんですね。
切符は自腹だったとは思いますが、初めはどこに行ったんですか?

平井さん
まずは、鹿児島市のごみ処理施設。
燃やすごみを焼却場に集めたら、すぐに焼かずに、発酵させてメタンガスを発生させます。
都市ガスの原料となるメタンガスは、約500メートルの配管を通って都市ガス事業者に届けられます。
日本で初めての取り組み。
再生可能エネルギーの地産地消でもある。

編集部
施設さえ作れれば、どこでもできそう。
何より500メートルの場所に、都市ガス事業者があるという立地がキーポイントですね。

鹿児島市
https://www.city.kagoshima.lg.jp/kankyo/seiso/nanbuseiso/kensetsukoujisinchoku.html

編集部
次はどこへ行ったのですか?

平井さん
熊本市の下水処理施設に行ってきました。
ここでは40年に亘って、有明海に処理水を放流することを、漁業関係者などと協議してきました。
「塩分濃度が下がってしまう」や「漁業や海苔養殖などに影響がある」という声があったそうです。

下水処理施設を作る2年くらい前から、沖合にセンサー付きのブイを浮かべ、海水の成分の変化をモニタリングしたそうです。
放流ごとの比較ができるように6カ所から放流するほか、農業用水として流すなど分散して放流する方法を試みています。

農業用水で流すときは、栄養分が高い処理水を流してしまうと、
農作物が育ちすぎるなど弊害も考えられることから、季節によって栄養分の濃度を変えて放流する能動管理をしているそうです。

編集部
倉敷市も瀬戸内海に面していますから、学べることはありそうですね。

平井さん
一昨年前の12月に、児島沖の海苔養殖でも、海苔の色が黒くならない脱色問題がありました。
この時、漁業関係者から依頼され、リンを含んだ下水道の処理水を約2カ月、放流したんです。結果、変化はありませんでした。

海の水の量に比べて少量であることや、潮の満ち引きで濃度がすぐに薄くなってしまうからですかね。海の浄化作用はすごいなと改めて思ったことを思い出しました。

編集部
そんなことがあったのですね〜。
しかし、40年は長いですね。
市民の理解を得ていくのは大切だと思いますが、長いですね。

最後はどちらに行ったのですか?

平井さん
最後は、佐世保の浄水場です。
佐世保という街は、人口25万人。倉敷市の人口の約半分。
それでいて、駅の近くにすぐ港。駅前にはたくさんのホテル。
スタバやTSUTAYAなどもあり、キラキラした夜景でした。

編集部
そういえば、別ページで夜景の写真も掲載していましたね。 

平井さん
佐世保は平地がとても少ない。1級河川のような大きな川もない。
そのため浄水設備に集まってくる水が濁っているそうです。
この街が栄えているのは、自衛隊の存在があること。
水の供給は、市民だけじゃなく自衛隊に対しても。
平地が少ないので、濾過するための池を作ることは難しい。
現地に行ってみないとわからないことって、たくさんありますね。

編集部
では、どうやって水をきれいにしているのですか?

平井さん
ここでは、セラミックで作った筒状の濾過装置を800本使い、圧力をかけて水を通すことで不純物を取り除いていきます。
1時間ごとに水をダ〜っと逆流させて、ごみがつまらないようにしているそうです。
この洗浄に使った水もまた、濾過装置を通して、きれいな水にします。水の99.9%が利用可能になるということです。

またこの施設は、全てモニターで過程を観測することができるので、職員が暑い中、屋外の濾過装置に出かけて行って、水質検査をする必要もなく、働く人にとっても良い環境だと思います。

編集部
やっぱり知らないことが世の中にはたくさんありますね。
全く同じことが倉敷市で生かせるかというと、どうかわかりませんが、学びはたくさんありそうですね。

平井さん
視察後、委員会で振り返りをしました。

国や防衛省の補助金などで予算を組むことは真似できませんが、
地元の関係者との合意形成は、事実をベースとした科学的な根拠に基づいた話をしっかり時間をかけてする必要があるなぁと改めて感じましたね。

パブリックコメントを実施して、これでみんなの意見も聞いたよというようなやり方では乱暴ですよね、やっぱり。

合意形成のプロセスにこそ、民主主義があると思うし、「自治」の考え方が必要だと考えさせられました。

セラミックの濾過装置は、災害時にポータブル浄水場として使えるかもしれない。被災地に水を運ぶのではなく、被災地で飲料水を作るという発想はあるかもしれない。

編集部
しっかりと振り返りをされているんですね。何かに生かしてもらえると市民としても嬉しいですね。

平井さん
視察のレポートは、各委員がそれぞれ制作し、委員長が取りまとめて、議長に報告されます。以前より少し丁寧にレポートを提出されるようになったと聞きましたよ。

編集部
視察、おつかれさまでした。
平井さんの学びを共有していただいたことで、私も少し賢くなったような気がしてきました。ありがとうございました。

〜〜その2に続く〜〜


いいなと思ったら応援しよう!