『イコリア:巨獣の棲処』発売前リミテッド考察

プレリリースを目指して発売前に書いた『イコリア:巨獣の棲処』のリミテッド考察記事です。
前回は無料公開だったのですが、今回から有料にしました。発売前の考察ということで低めの値段設定にしています。

固有メカニズム

まずは固有メカニズムについておさらいしておきます。
公式記事:『イコリア:巨獣の棲処』メカニズム
リリースノート

<変容>
変容は要予習です。

カード右上のマナコストを支払い、クリーチャーとして唱えるか、変容コストを支払いすでに場にでているあなたがオーナーの人間でないクリーチャー1体の上か下にカードを重ねて能力を加えることができます。
クリーチャーの名前、点数でみたマナコスト、色、クリーチャー・タイプ、パワー/タフネスは、一番上に重ねたカードのものになる。一番上がトークンなら、いくら変容を下に重ねてもそのクリーチャーはトークン。

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・変容コストを支払って唱えたクリーチャーに「このクリーチャーが変容するたび」と書かれていた場合、それが解決されたときに誘発する。
・すでに場にでているクリーチャーが「このクリーチャーが変容するたび」と書かれており、それに変容でカードを重ねた場合、すでに場にでているクリーチャーのほうも誘発する。
重なっているカード全部で1体のクリーチャーとして扱われるため、重なっているカードはまとめて墓地に行ったり追放される。
・ブリンクされたときなど、戦場を離れるときはバラバラになる。例えば、死亡した後にモスラの効果で戦場に戻ってくるときは、バラバラになってみんな飛行クリーチャーになって戻ってくる。
・変容コストで唱えた際、対象のクリーチャーが除去されてしまった場合、通常のクリーチャーとして場に出る。基本的には軽いクリーチャーに後からサイズが大きな変容持ちクリーチャーをつけていくことになります。

 ドラフトで変容デッキを組む場合、「このクリーチャーが変容するたび」を何度誘発させることができるかがデッキのパワーに影響しそうです。

<サイクリング>
サイクリングコストを支払うことで、そのカードを捨ててカードを1枚引くことができます。
サイクリングがついていれば、序盤に手札でかさばっている重たいカードを捨てて土地に変えたり、使えるシチュエーションが限られているカードをメインデッキに採用することができます。
中には、サイクリング時にカードを1枚引く以外の効果を持っているカードもあり、インスタントタイミングでのコンバットトリックに使えます。

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サイクリングするたびに誘発する能力を持つカードがいくつもあるため、ドラフトではサイクリングデッキを狙うこともできそうです。



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【4/26追記】ドラフトでは1マナサイクリングのカードを大量に入れた土地12枚のサイクリング・デッキで7-1する人も(@JoseCabezas_pokさんのツイートから)

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<キーワード・カウンター>
トランプルや威迫などのわいゆる常盤木能力をカウンターで表すことで、ターン終了時までではなく恒久的にその能力を与えます。
これまではチャンプブロックされていただけのサイズが大きいクリーチャーにトランプルを与えてフィニシャーに変えたりできるだけでなく、常盤木特定の能力を持っているクリーチャーにのみ恩恵を与えるカードも存在しています。

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<相棒>
ゲーム開始時にデッキが相棒を持っているカードの条件を満たしていた場合、その相棒を1回だけサイドボードから唱えることができます。相棒は1ゲームにつき1体しか選べません。(ゲームは1回の対戦のことで、先にゲーム2本をとったプレイヤーがマッチに勝ちます)

リミテッドでは条件を満たすのは厳しそうですが、《呪文追い、ルーツリー》だけはいけそうな感じもあります。

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色ごとの考察

マナレシオ全体比較

マナレシオ(パワーとタフネスの平均値をマナコストで割った値)の比較です。

マナレシオ

赤色のセル各マナ域においてもっとのマナレシオが高い(性能がいい)色を合わしています。青色のセルは最も性能が悪いことを表しています。

1マナ域は1マナ0/5の《神盾の海亀》のせいで青がよく見えているだけで実際はそれほど差がありません。
3マナ域は3マナ0/0のファーティリドの影響で緑が悪く見えています。

(1)キーワード能力
 ①変容 変容持ち生物は3体(C1体、U2体)
 ②人間 人間タイプは6体(C4体、U2体)
 ③サイクリング 生物でサイクリング持ちは5枚(C2体、U3体)
 ④常盤木能力 警戒

(2)マナレシオ(コモンのみ)

マナレシオ白

(3)考察
 タフネスのほうが高い傾向にあります。
 横に並べて全体パンプという白の基本戦術になりそうですが、全体パンプの《揃った突撃》はサイクリング付きのため普段の4マナよりも重たい5マナです。

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 また、白には人間が多く人間全体強化の《聖域封鎖》もあり、ドラフトでは白黒人間などの人間デッキが考えられます。ただ、1マナ2/1や強い2マナ2/2がいないため、序盤からガンガン攻めていく人間ビートダウンにはならなそうです。

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 白は通常、青白飛行がアーキタイプとして考えられますが、今回は飛行クリーチャーが3体(内コモン1体、アンコモン2体)とテーロス還魂記に比べ少なくレアリティも2体がアンコモンと高めになっています。

 白には低マナコストの除去が多く、《神聖なる矢》は2マナ4点ダメージを与えるため、5マナ域までの生物は打ち取れる可能性があります。

白除去

 《丸呑み》は”相手生物はタップ状態”かつ”アンタップの自生物”が必要でありソーサリーではあるものの、1マナで強化しながら除去できる点は強い。 タッパーである《検問官》と組み合わせ使うことができれば、一発殴られる前に除去できます。

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 コンバットトリックのうち《一心同体》はわずか1マナで自分のクリーチャー最大2体に+1/+1修正と破壊不能を付与できます。

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(1)キーワード能力
 ①変容 変容持ち生物は3体(C1体、U2体)
 ②人間 人間タイプは2体(C1体、U1体)
 ③サイクリング 生物でサイクリング持ちは1枚(U1体)
 ④常盤木能力 飛行

(2)マナレシオ(コモンのみ)

マナレシオ青

(3)考察
  前述のとおり1マナ域のマナレシオが高いのは1マナ0/5の《神盾の海亀》による影響です。なお、《神盾の海亀》のタフネス5は大抵の地上クリーチャーを止めれるのと何気に防衛を持っていないので強化すればアタックできますが、今回はそこまで速い環境にはならない思われるのとバニラなので積極的には採用したくありません。      

  飛行クリーチャーは4体いますが、どれもタフネスのほうが高く3/2飛行や2/2飛行などがおらずあまり攻撃的ではないため、地上だけでなく空も膠着しそうです。 《夢尾の鷺》の変容で大型クリーチャーを飛行させればゲームをすぐに終わらせることができるため大切に育てていきたいです。

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 青の除去/コンバットトリックはコモンでは《捕獲球》がプレイアブルなカードであり、それ以外は使うデッキやシチュエーションを選ぶという印象です。

青除去

  《疾風》はこのカードを活かせそうな青白飛行のようなデッキが組めなそうです。
 《妨害する罠》は高タフネスのクリーチャーでにらみ合うようなときには役に立ちませんが、相手のクリーチャー全体にマイナス修正がかかるため、うまく使えれば一気に盤面をひっくり返せます。不要なときはサイクリングできるのもよいです。
 《神秘の制圧》は能力を失わせることができるため相手の変容で育ったクリーチャーなどのシステムクリーチャーを止めれるほか、瞬速があるのでコンバットトリックとしても使えます。

 打消し呪文は《本質の散乱》、《中和》、《巻き込み》の3枚で、後半に相手のボムを止めることができる打消しはこの遅い環境では強そうです。 また、変容は変容コストで唱えた場合もクリーチャー呪文扱いなので《本質の散乱》で対処できます。

 アーキタイプとしては青白飛行や《スプライトのドラゴン》がピックできれば赤青スペルなどが考えられます。

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(1)キーワード能力
 ①変容 変容持ち生物は3体(C1体、U2体)
 ②人間 人間タイプは5体(C4体、U1体)
 ③サイクリング 生物でサイクリング持ちは1枚(U1体)
 ④常盤木能力 接死、絆魂

(2)マナレシオ(コモンのみ)

マナレシオ黒

(3)考察
 黒は除去が優秀で確定除去の《血液凝固》は4マナインスタントなだけでなく、自生物に威迫もつけられます。
 《騒がしい収穫者》は変容するたびに相手のクリーチャーを減らせるため変容を使いまわせると強力ではあるもの、ちゃんとお膳立てしないと5マナも支払って相手の不要なクリーチャー1体が減るだけになってしまうため思ったよりも強くはなさそうです。

黒除去2

また、《死の重み》や《恰好の餌食》といった軽量除去もあります。《恰好の餌食》は条件付き除去であるが不要時にサイクリングのが嬉しい。

黒除去

《相互破壊》は一見1対2交換になってしまうカードですが、白黒人間であればトークンと相手の一番強い生物を交換したり、赤黒にして《一時的な連帯》で奪ったクリーチャーを生贄に捧げるのに使います。

黒除去3

  《隠れ潜む名射手》はコモンでありながら4マナ4/2で瞬速、除去にもなると高スペック。瞬速持ちなので不要なクリーチャーでチャンプブロックした後に使える点が素晴らしい。なお、場に出たときの能力は強制のため、このターンにダメージを受けたクリーチャーが自分のクリーチャーしかいなかった場合、自分のクリーチャーを破壊してしまうため要注意です。

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(1)キーワード能力
 ①変容 変容持ち生物は2体(C1体、U1体)
 ②人間 人間タイプは2体(C1体、U1体)
 ③サイクリング 生物でサイクリング持ちは4枚(C3体、U1体)
 ④常盤木能力 威迫、先制攻撃、トランプル

(2)マナレシオ(コモンのみ)

マナレシオ赤

(3)考察
 全体的にマナレシオは悪くないが、コモン・アンコモンでは緑の大型クリーチャーのような回避能力持ちのフィニッシャーがいない。
 除去カードは非常に優秀であり、《火の予言》はインスタントの2マナ3点火力で大抵の生物を焼けるだけでなく、本体を焼けない代わりに手札調整が出来て優秀。アンコモンであるが《炎の氾濫》もタフネス4の飛行クリーチャーなどを焼くことができるインスタント火力で優秀。

赤除去1

  また、生物のサイズ自体は緑ほどではないが悪くないため《血の希求》も使える。《血の希求》は不要な場面ではサイクリングもできるため使いやすい。

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 コンバットトリックも優秀であり、1マナから3マナに戦闘中に先制攻撃(二段攻撃)を付与して相手を一方的に討ち取る為のカードが存在する。

赤コンバットトリック1

 また、インスタントタイミングで相手の生物を2体除去できる《巨獣の激突》もあります。
【4/24】原根プロ曰く、《巨獣の激突》はあまり使いどころがなく、プレイアブルではないカードとのことでした。

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(1)キーワード能力
 ①変容 変容持ち生物は3体(C1体、U2体)
 ②人間 人間タイプは2体(C1体、U1体)
 ③サイクリング 生物でサイクリング持ちは2枚(C1体、U1体)
 ④常盤木能力 トランプル、到達

(2)マナレシオ(コモンのみ)
 マナレシオは、ほかの環境と同様に緑が一番よさそうである。

マナレシオ緑

(3)考察
 コモン、アンコモンの変容持ちは3体であるが、そのまま出した場合のコストパフォーマンスも悪くないですが、変容コストで唱えた場合のコストパフォーマンスも悪くないため何回も変容させなくても元がとれそうです。《輝き石のイトグモ》は単体でも4マナ2/4飛行の《奇異鳥》と止めることができ、2回変容できたらとんでもないサイズになります。

緑変容

 また、サイズが大きくてもトランプルがないクリーチャーについては、《角突きの導師》や《充分な成長》でトランプルを恒久的に付与できるためこれまでよりも強く使えると思われる。

緑常盤木

 コンバットトリックで最も気になるのは《敵軍妨害》。一見、フォグ(全クリーチャーがの戦闘ダメージを軽減)ですがよく見ると相手のクリーチャーが与えるダメージのみを軽減するので、うまく使えば相手のクリーチャーを複数体討ち取れます。しかもコモンであるため見かけることは多そうです。

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 緑の除去といえばソーサリーの格闘というイメージですが、今回の《強行突破》はインスタントです。

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 また、緑にはサイクリングで大型クリーチャーを墓地に送り込む以外にもいくつか墓地利用に関係するカードがあり、黒と組み合わせた墓地利用デッキが組めそうです。 
 黒の変容コストが重たい《騒がしい収穫者》や《哀歌コウモリ》は序盤に引いた場合はそのまま出して後で墓地から回収して変容させる使い方がいいかもしれません。

緑墓地利用

 リミテッド環境を予想するにあたり、緑が多色を支持するように作られているかはチェックポイントですが、イコリアの緑はマナ・クリーチャーや基本土地サーチカードがいくつかあり、多色化するなら使いたい色です。

緑マナクリ

コンバットトリック一覧

 コンバットトリック一覧 コンバットトリックの一覧です。サイクリングは省略していますが、サイクリング時にカードドロー以外の効果があるものだけは記載しています。
 

バットリ白

バットリ青1

バットリ青2

バットリ黒1

バットリ黒2

バットリ赤

バットリ緑

バットリ金

リミテッド環境総論

・遅めの環境になりそう

・環境が遅めなことやコモンに《進化する未開地》があることからデッキを多色化する余裕があり2色+3色目にボムをタッチという構成が基本になりそうですが、今環境は緑が多色化を支援してくれるため、緑があれば2色目タッチもできそう。アンコモンにある水晶アーティファクトと色が合えばなおよし。

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・サイクリングするカードをデッキに多く入れて、かつそれらは大抵の場合はサイクリングしてしまう場合、土地の枚数を15枚や16枚に減らすこともできます。(逆に、減らさないとマナフラッドしてしまう)

その他注目カード

上記で触れた以外の気になるカードです。

導師シリーズ
 長期戦が見込まれる環境のため、自軍を毎ターン強化できるのは強い。また戦場に出たときに該当する常盤木能力を持つクリーチャーがいなくても自らカウンターを乗せて対象を作り出せる点もよい。
 戦闘中、常盤木能力カウンターを乗せるインスタントを使ってからの導師の能力起動といった奇襲にも使えます。
 青の導師は+1/+1カウンターを乗せずとも、緑の大型クリーチャーに飛行カウンターを乗せるだけでゲームを終わらせることができる可能性があります。
【4/24追記】導師がカウンターを乗せることができるのは人間でないクリーチャーのみであるため、導師を活かすために2マナ以下の人間でないクリーチャーを入れるのを忘れずに。

導師

狐インコ
 うまく変容を重ねることができれば自身がフィニッシャーになれるだけでなく、後半は大型クリーチャーに飛行を与える使い方ができます。コモンなのもよい。

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溌剌とした狼熊
 「はつらつ」って「溌剌」って書くんだと勉強になる1枚。
 このカードとパワーを増やす呪文を一緒にデッキに入れておけば、膠着した盤面を有利に持って行ったり、相手に一気にとどめを刺せる。

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威厳あるレオサウルス
 ソーサリータイミングとはいえ、3マナで全体+2/+1修正とコストが軽め。また、自身も2マナ2/2と2ターン目に出しても悪くない性能。変容で《狩巧ライガー》の下に重ねることができたらゲームを終わらせることができそうです。

ライガー

 このカードがとれたら《防衛線の兵長》などを入れた赤白人間が組めるかもしれません。

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原初の共感
 カードを引ける条件を満たしていなかったら何もなしではなく+1/+1カウンターを乗せてもらえる。継続的にアドバンテージをとれ、エンチャントなのでプレインズウォーカーよりも壊されにくい。

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怪物の兵器化
 相手本体にもダメージを飛ばせるため、最後の数点どころか10点くらいは持ってける可能性のあるカード。人間トークンが出せる白と組んでスピードアップするもよし、遅いデッキに入れて盤面が膠着した後のフィニッシャーにしてもよしです。

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ヤマオウム
本体が4マナ3/4と高いスペックなだけでなく、《泥棒カワウソ》に変容で重ねて毎ターンドローしたり、接死持ちのクリーチャーに変容で重ねて毎ターン使える除去にしたりできます。

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ヤマオウムコンボ


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