推しのコラボ日本酒を背負って登山した話~石鎚山行記録~
こちらは、2024年8月某日に愛媛県の石鎚山に登ってきた山行記録になります。
趣味の登山と推し活を合わせたちょっと特殊な内容ですが、せっかく写真もいっぱい撮ったので、一度書いてみたかった山登り記録のブログというやつを自分なりに書いてみました。
0.前置き
そもそも今回、関東圏の人間がなぜ遠出をして愛媛県の石鎚山に登ろうと思ったのかというと、理由は大きく分けて2つあります。
①実は今回が2回目のチャレンジ。かなり前の1回目の時は自身の不調で石鎚山の有名な醍醐味、鎖場を一つも楽しめなかったので、リベンジしたいという気持ちがあったこと
②推しのアイドルが有名な石鎚酒造様とコラボした日本酒を発売したこと
※奈日抽ねね(なにぬねね):ディアステージ所属、スクウェア・エニックスがプロデュースするアイドルグループ「GEMSCOMPANY」のメンバーの1人。愛媛県出身。
(期間限定のネット販売品で、現在では終売)
………まあ②の理由が大きいですね(笑)
推しが山の名を冠したお酒とコラボした商品を発売したらもう、登山趣味の者としてはその山に登りたくなるのは仕方がありません。
山に登る理由は「そこに山があるから」だけではないのです。
くすぶっていた①の気持ちを昇華する機会をいただいたということにしましょう。奈日抽ねねさん、石鎚酒造様、バーチャルキャストショッピングの皆様、Kuroe合同会社様、その他関係する皆様、ありがとうございました。
1.登山開始前
さて本題の登山ですが、まずは石鎚山のデータを。
■石鎚山
所在地:愛媛県西条市と久万高原町の境
標高:1982メートル(西日本最高峰)
コースタイム:上り約3時間10分、下り約2時間20分、合計約5時間30分(山頂から天狗岳への往復はプラス30分)
備考:日本100名山
霊峰とも呼ばれているように山岳信仰・修験道の山で、昔は修業に使われていたのでしょうか? 鎖場(垂直に近い場所を鎖と岩を手がかり足がかりにしてよじ登る)がたくさんあることで有名。
せっかくなので醍醐味として味わいたい鎖場ですが、迂回路で回避もできるので自分の実力・体力・体調と相談して無理はしないことが重要。(私も昔の1回目は足腰の不調で全回避しました)
こうした知識や地図を事前に読み込んで頭に入れて、いざ出発です。
ちなみに酒瓶は割れたら大惨事なので、
こんな感じで元々入っていたプラケースの隙間にプチプチを詰め込んで、ザック(リュック)の中でもクッションになりそうな他の荷物を周りに配置するなどできる限りのことをして臨みました。
当日朝は、まず車移動で石鎚登山ロープウェイの駅へ。伊予西条駅の近辺からは40分かからないくらいでした。
田舎の観光地あるあるの、本命の駐車場より手前にある駐車場に止めさせようとするおばちゃんおっちゃん(たぶんその土地の持ち主)を振り切っての到着です。いやまあ、駐車料金は一緒だったのでそっちでも別によかったかもですが。
閑話休題。
今回選んだのは表参道成就コース。ロープウェイで1300メートルくらいまで上がり、石鎚神社中宮成就社を経て山頂へ向かうコースです。
土小屋コースと呼ばれるコースのほうが、コースタイムも短くスタート地点の標高も高く主流なのかなとも思いつつ、全4つの鎖場を全て通る表参道を今回は選択しました。
登山のお供は背負ったなにぬさんコラボの石鎚と、
おでかけなにぬさんのアクスタです。
「気をつけてな!応援してるで!」という幻聴を聞きつつゲートをくぐり、短い坂を登ってロープウェイ駅へ。
ちなみに、この年季の入ったゲート左の屋根の下に休憩所?とトイレや日帰り温泉が。ありがたいところです。
ロープウェイは往復で大人2200円、子供1100円。
夏場の運行は平日8時~18時、土日祝7時40分~18時でおよそ20分間隔。
約8分の空中散歩です。
2.ロープウェイ山頂成就駅~成就社
コースタイム:約25分、 実歩行:約20分
乗ったのが8時の便だったので、本当に8分くらいでした。
軽く準備を整えて、本格的に登山開始です。Climb on!
登山に向かう道とは別方向に、カブトムシ観察ドームとか子供の夏休みアウトドアレジャーもあるので、明らかに登山者ではない家族連れの方々もロープウェイにはいらっしゃいましたね。
まずは石鎚神社中宮成就社まで、緩めの歩きやすい坂をゆるゆると。
神社までは一般の参拝者も想定されているので、普通のスニーカーとかでも歩ける道でした。
木陰の中を楽しく散策していると神社に到着。
お土産屋さんなどもあるちょっとした集落を抜けたところにある本殿で、山の神様に土地へお邪魔することのご挨拶と登山の安全祈願のお参りをして出発です。山岳信仰は結構大切にしています。
しかし夏場という時期と標高から致し方ないところですが、下の駐車場からこの先もしばらくの間、とにかくアブ・ハチが多いのが難点でしたね。特にアブ。たくさんストーカーされましたし、神社ではハチにも追いかけられて、アブにはちょっと刺されて痛かった。
登山中はスイッチが入って、普段都会で見たらビビッて引くような虫も「おー、○○がいる~」くらいの反応になるのですが、刺すやつ毒のあるやつは例外。むしろ過敏になりますね。
さて、ここからが登山本番だ。
3.成就社~八丁坂~試しの鎖
コースタイム:約1時間20分、 実歩行:約1時間20分(途中休憩込み)
神社の境内を抜け木造りの山門をくぐると、道がぐっと登山道という感じに。
成就社からの八丁坂は、なんとゆるやかに下り道。
つまり帰りの疲れているところで、この道が上り道として表れる未来が見えるわけですが、まあ登山道あるある。神社が小高いところにあるわけですね。谷があるから山がある……とはいえロープウェイ駅が標高約1300メートル、神社が約1400メートル、八丁坂の一番下が約1300メートル……ほぼ登った分だけ降りてるやん……
そんな思考にも負けず降りきったら、後は登るだけ。汗だくになりながら、えっちらおっちら登り続けます。登りの斜度が明らかにきつくなった……!
助かったのは、ほぼほぼ森の中、木陰であること。
直射日光にあぶられることでの消耗が抑えられます。
小一時間のほぼ登り続けの歩行を経て最初の鎖場、試しの鎖の下に到着します。
「え、ほぼ垂直なんやけど……ゴールも見えんし、大丈夫なん…?」
というなにぬさんの声の幻聴が聞こえます。
結論から言うと あんまり大丈夫じゃない です。
注意深く三点確保をしながら、鎖も手がかり足がかりとしてフル活用して体を持ち上げ何とか登り切りきった後、落ちないように慎重に下る必要まである。これらの注意書きの看板に嘘偽りなしです。
後述の残り3つの鎖場よりも斜度がきつめに感じましたし、何より他にはない下りの鎖がある。たぶん私、この下りの鎖でちょっと膝や足首を痛めていて、それが後に尾を引きました……
上から覗き込むとこんな感じ。
登り切ったところの景色は素晴らしいのが救いです。
全部で4つの鎖を四天王だとすれば、四天王最強が最初に出て来てる感じ。最初の四天王が「ククッ……やつは四天王の中でも最弱……」と言われるようなやつではない現実。
自分としては達成感もあり後悔はないですが、素直に避けて先にある3つの鎖を楽しむのが一番賢い気もしました。
いずれにせよ登ってしまった私は、頑張って下にある茶屋まで降りました。
4.一軒茶屋~夜明峠~一の鎖~二の鎖前
コースタイム:約50分、 実歩行:約50分
試しの鎖を下りきるとすぐ、休憩どころの一軒茶屋があります。自分が行った日はお休みのようでした。冷やしあめゆが気になる。
急に動植物解説が出てくるのも、比較的整備された山ではあるある。
ひたすらに登ると少し開けた場所に。地図で夜明峠と書いてあるあたりでしょう。これで標高1650メートルくらい。高低差では半分ほどきたということか。
出たな、この世で最も信じてはいけないものの一つ、山のあと1km!
いやまあ嘘だとは言わないですし実際距離としてはそうなのでしょうけれど、高低差というものがあってですね……(この山でも、さっき書いた通り高低差ではまだ半分ほどですし)
山頂に近づくにつれて上り坂の斜度がきつくなるのが常ですし、心身のきつさという点では半分にも満たないことが多いのに油断させられるという、悪魔の表示……
気を引き締めてこの先へ進みます。
大分登ってきたので日当たりの良いところも増えてくる。緑が鮮やかで美しい。そんなことを思っていると、
一の鎖到着です。
上のほうが明るくなっているのも見えて、地図でも33メートルと4つの中で一番短い長さが書いてある。四天王最弱は彼でしたね。
油断は禁物と気は引き締めて臨みましたが、楽しく登れました。この鎖だけ楽しむというのもいいかもしれません。
登り切ったらやや平坦な道もある。最後の登りにつながるアプローチかなと。頂上も見えて来て、いよいよ登りは終盤へと向かいます。
土小屋コースと合流して、二の鎖の下にある整備されたゾーンへ。
5.二の鎖~三の鎖~頂上へ
コースタイム:約35分、 実歩行:約30分
二の鎖の真下には、最後の公衆トイレと休憩所。これだけしっかりしたものが奥まったゾーンにあるのはなかなかすごい。
せっかくなのでしっかり休ませてもらった後、二の鎖へと向かいます。
土小屋コースと合流したからか人が増えてきたのと疲れもあり、鎖の写真は撮っていなかったです。そういえば、いつの間にかアクスタを取り出す余裕もなくなっていたようです。
二の鎖は案内によると65メートルの長さ。その長さを昇り続けるのは大変でしたが鎖はしっかりしていますし、アスレチック感が強くてテンション上がりました。
お父さんと一緒に挑戦している小学生さん(3~4年生くらい?)が身軽にスルスル登っていたのはすごかったなあ。
その後もきつい登り坂が続くなかを頑張り、
見えてくる三の鎖。
ここで冷静に自分の身体と相談。試しの鎖のダメージを思われるものを足首や膝に感じ、これ以上は危険かもしれないと68メートルあるらしい三の鎖はパスすることに。
試しの鎖、一の鎖、二の鎖で十分満足しましたし、推しを背負って事故るなどというのはいつも以上に絶対にあってはならないことなので。
というわけで迂回路へ。取り付けられた金属の階段をグネグネと登っていく。これはこれで体力的にはキツイ…!
お上りさん、お下りさんの表示がなんだかかわいい階段と土・石の道を交互にうねうね上り続けること15分くらい。
山の植物にも歓迎してもらいながら、頂上山荘の脇を通過していよいよ頂上です。
6.石鎚山頂(弥山)
着いたあああああ!!!!!
やったぞおおおおおおおお!!!!!!
というテンションは内に秘め、軽くガッツポーズ。
この登頂の瞬間の達成感は何度味わっても最高です。
ちなみに1982メートルと書いてありますが、実際にはこの地点は1974メートルくらい。本当の最高峰は下の写真の奥に見える尖ったところ、天狗岳です。
地図では往復30分くらいの地点とのことですが切り立って危険な道なので、万全なら行ってみたいところですが今回はこちらもパス。
そのぶん、山頂の神社にはしっかりお参りします。
こちらでも山にお邪魔しているご挨拶と登頂の感謝、下りの安全祈願を。
その後はしばらく、ご飯を食べたり雄大な景色を眺めたりして山頂を目一杯堪能します。いつも山頂にはなんだかんだで1時間近く滞在してしまう。
山頂で食べるみかんの缶詰はこの世で一番美味しい。
山頂で飲むコーヒーは以下略
「おーい。なにぬのこと忘れてるんやないか~」
大丈夫です忘れてません!
なにぬさんとコラボした石鎚を持って石鎚山に登るのが今回の主目的ですから、バッチリ記念写真を撮りますよ。
「ほならよし!」
これで山頂に思い残すことはなし。
疲れや足の痛みが少々不安ですが、下山するまでが登山。遭難の7割は下山中とも言いますので油断せず集中して下山します。
(頂上山荘のひえひえ~ビールには正直惹かれました。下山もあるし運転もあるから泣く泣く諦める以外の選択肢は無し)
7.下山の道程~ロープウェイ山頂成就駅
コースタイム:約2時間20分、 実歩行:約3時間(途中休憩込み)
今回の登山は来た道を戻るコースなので、ところどころ記憶にある景色を見ながらひたすらに下ります。
鎖場は下りでは使いませんが、それでも神経を使うのが下り。
疲れも溜まっていますので転倒しないよう、関節にダメージができる限り蓄積しないよう、足の置き場には注意注意。
それとコース誤りが起きやすいのも下りなので注意。
成就社と土小屋のコース間違いは特にまずいので、注意書きがすごかったですね。
ここまでしても惰性でふらっと違うほうに行ってしまいかねないのが、疲れた下りの恐いところ。
下りは下りで、上りでは気付かなかった景色に気付けるので案外と新鮮である。
八丁坂まではひたすら似たような下りが続くので終わりが見えず、精神的には中々きつい下り。筋肉や関節にダメージが蓄積すると踏ん張りがきかず、さらに足への負担が増える悪循環を耐える。
必死に下り切ったら、行きで覚悟していた登りだぜぇ、ヒャッハー!(クライマーズハイというか、もうやけくそである)
行きではスルーしていた、わかりやすく距離1Km・高低差100メートルほどと示してくれる看板の親切に涙が止まりません。
それでも時間としては30分くらい。
行きでもくぐった鳥居を抜け、山門が見えた時の感動、プライスレス。
言われるまでもなく、きっちりとお礼参りをしてロープウェイの駅へ。
色々とピークに達しているので、最後の緩い下り坂のきついこときついこと。5分が永遠にも感じますが……
つ、着いた~!疲れた~!!足痛い~!!!
結局、すぐにはロープウェイに乗らず駅でしばらく休んで、16時の便で下界へ。この時に飲んだ、自販機で買った冷たいアク○リアスは神の飲み物でした。
疲れ切ってへたり込む登山仲間の皆様と、たぶんカブトムシドームで遊んでた元気な子供たち(モン○ターボールの虫かごと網を装備)のコントラストが印象的でした。
とにもかくにも、目的を達成して無事に下山です。
・総コースタイム:約5時間30分
・総実歩行:約5時間30分+総休憩約1時間40分
ありがとう石鎚山。ありがとうなにぬさん。
「お疲れ様~。ゆっくり休むんやで~」
あとがき
その日の夜は、無事の下山を祝ってホテルで晩酌。
ずっと背中から重みのある愛(物理)を感じていた石鎚×奈日抽ねねで一杯。至高の時間でした。
足にけっこうなダメージが入ったりアブに悩まされたり下山がきつかったりしましたが、木陰が気持ちの良い山で道中も山頂も景色が良く、鎖場も楽しめたいい山行でした。
山で推し活という趣味の掛け合わせもできて大満足です。
長々と書いたこちらの山行記録、ここまでお読みいただいた皆様には感謝を。
そして石鎚山となにぬさんには改めて感謝を。
ありがとうございました。