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リード文100本ノック#14―soar

リード文をすらすら書けたらいいなあという思いではじめた、リード文をタイピング写経してみる週1企画。(最近は記事を読んで一言感想書くほうが主眼に…。)2週間スキップして第14回は、soar。

soarの記事は、冒頭のリード文に書き手の思いが書かれています。書き手の体験や感情が、記事の本題に自然につながっていく、のっかっていく感じが素敵です。

今回ピックアップした記事は、どの記事も是非みんなに読んでほしい。とくに、誰にとっても身近なのは更年期の記事かもしれません。今回は3本なので計58本。

”問題を解決する支援”だけではなく、”つながりを増やす支援”を。抱樸・奥田知志さんの考える「助けて」が言いあえる社会とは

「人に迷惑をかけないようにする」

長年、人としてそうあるべきだと、それは当たり前のことなのだと、思ってきました。立派な大人になって自立するとは、人に頼らず、ひとりで生きていいく強さを持つことだと。弱さは隠すべきもの、克服するべきものなのだと。

けれども、どんなに頑張っても弱さはなくならず、隠そうとすればするほど、いき苦しさを感じるようになります。

弱さを認めて、他者に頼らないと、どうやら生きていけなさそうだ。やっとそう気づいても、今までずっと隠してきたから、どうやって頼ったらいいのかわからない。その場しのぎで笑って、鏡の前で泣いて。助けてほしい、気づいてほしい。なのにどう声を上げたらいいのかわからない……。

大人になってから、こんな悩みをずっと抱えてきました。今までは周りの人たちの理解や支えもあって、少しずつ頼ることへの抵抗が薄れてきましたが、それでも「迷惑をかけない」「弱さは見せない」という気持ちが先行して、一人で塞ぎこんでしまう時間がたびたび訪れます。

”迷惑かどうかなんて考えずに、「助けて」って言っていいんですよ。そう言える社会であるべきなんです。”

こうした悩みに対して、一筋の光を差し当ててくれたのが、NPO法人抱樸の理事長・奥田知志さんのお話でした。

2020年10月、”関わり”というメインテーマを掲げて行われた「soar conference 2020」。2日間にわたって総勢9名の登壇者が、さまざまな視点で”関わり”の在り方を深めるトークセッションを行いました。

このカンファレンスで最初のゲストとして登場したのが、奥田さんです。自らの活動を「関わり合いを増やす支援だ」と表現する奥田さんに、「関わり」とは一体なんなのか、なぜ私たちに関わり合いが必要なのか。抱樸での実践も交えつつ、じっくりと語っていただきました。

路上生活者の方からは、「自分の最後は誰が看取ってくれるのだろうか」という言葉が出てくるそうです。

それに対して、抱樸さんでは、「一人でやっていけるようにするのではなく、出会いから看取りまで寄り添い続ける支援をしよう。こちらから出会いにいって、一緒に生きていく支援をしようと心に決めて、今日まで活動を続けてきました」といいます。覚悟が尋常ではありません。「問題」を解決することを目的としない支援、という言葉は目から鱗でした。

そして放火を犯した福田さんの、人生で一番つらかった日と、人生で一番幸せだった日の話に胸が苦しくなりました。。。福田さんが奥田さんと出会えてほんとによかった。

更年期を迎えることに不安がある…そんな人へ、正しい知識と励ましを届けたい。ちぇぶら代表・永田京子さん

”あれ、なんだかこれまでと違う……?”

現在43歳の私が自分自身の体調の変化に気づき始めたのは、30代も半ばをすぎた頃だったと思います。食べたら太りやすく、痩せにくくなった気がするし、睡眠不足の疲れも取りにくい。まぶたはゆるみ、一重だった目がいつの間にくっきり二重になっていて、久しぶりに会ったいとこに驚かれたこともありました。

そして迎えた40代。白髪が増えて目立つようになったし、自信をもっていた視力にも変化があり、ついに先日、老眼鏡を購入したところです。

”いよいよ私も、更年期に入るんだ……”

白髪ならカラーを入れてイメージチェンジのきっかけに、老眼は今まで使う機会のなかった素敵なメガネを探すチャンスに、とたいていの変化は前向きに捉えて乗り切れると思っている私も、この「更年期」という言葉を前にすると気持ちが揺らぎ、ひるんでしまいます。

”女性の閉経前後に訪れる「更年期」。この時期にはホルモンバランスの乱れから、さまざまな体調不良が現れることがある。この体調不良が重い場合には、生活に支障をきたすほどになることもあり、それは更年期障害と呼ばれる。”


私が、更年期について知っていたのは、基本的な知識のみ。そもそも更年期について、ポジティブな情報や体験談を目にしたことはありませんでした。そればかりか、更年期障害がきっかけで会社を辞めるという選択をした知人の話も聞いていたし、メディアで目にする更年期障害に効くという漢方薬のCMなども、前提として「大変」「でも、避けられない」という重いイメージがつきまというように感じていたのです。

しかし今、「更年期の影響は人それぞれ。正しく更年期を理解し、対処法を知っておけば、前向きに乗り越えることもできる……?」そんな風に、私の更年期への見方、考え方は、大きく変わり始めています。きっかけは、『はじめまして更年期~40代からの不調が消える心と体のプチ習慣~』という一冊の本です。

著者である永田京子さんは、自身の母の更年期障害や、フィットネスインストラクターとして女性の更年期にまつわる悩みを聞いてきた経験をきっかけに、NPO法人「ちぇぶら」を設立。現在、更年期トータルケアインストラクターとして企業や個人に向けた更年期の情報発信を行うとともに、更年期障害の症状をやわらげることをめざしたフィットネスの指導等を続けています。

”更年期は、人生の大きな転機の一つ。正しい知識と判断で乗りこなさないともったいない!”

そう発信を続ける永田さんに、更年期との向き合い方を教えていただき、不安を少しでも和らげたい。そんな思いで、永田さんにお話を伺いました。

更年期という言葉をみて、改めて「ああ、女性の人生はホルモンバランスに影響を受け続けるのだなあ」と思いました。生理が終わったと思ったら更年期かあ、と。

でも知っているかどうかで、本人や周りの人の受け止め方も違うと思うので、こういうことがあるのだと、多くの人に知ってほしいなと思いました。

あくまでもホルモンバランスによる変化であって、その人自身がその人でなくなってしまうわけじゃないのだと、周りの人に理解してもらえたら、本人も少し安心できるんじゃないかと。

「嫌われたらどうしよう」そんな心配を手放し、強みややりたいことを活かして助け合う。それが私の考える”おせっかい”。コミュニティナース矢田明子さん

「おせっかい」という言葉に、どんなイメージをもっていますか?

辞書を引いてみると、「出しゃばって世話を焼く」「不必要に人のことに立ち入る」といった意味があるため、もしかしたらネガティブなイメージをもっている人も多いかもしれません。

私は「おせっかい」と聞いて、思い出す出来事があります。現在は青森県に移住してきた私たち一家ですが、以前は東京で子育てをしていました。ある日、生まれたばかりの次男を抱っこ紐で抱えながら、炎天下で電動自転車の組み立てをしなければならないことに。すると、アパートのお隣に住んでいたおばあちゃんに、「赤ちゃん預かるよ」と声をかけられたのです。

それまでお隣とは交流がなかったので驚き、最初は遠慮したものの、「こんな暑いし、子どもが落ちそうで危険だから」とたしなめられてハッとしました。

私は他者と関わるとき、「こんなことを言って嫌われないだろうか」「『おせっかいだ』と迷惑がられるのではないか」という思いが浮かんでしまいますが、このおばあちゃんは、私と子どもの命を守るために「いいおせっかい」をしてくれているのだと感じました。

こうした地域での支え合いを広げるため、「健康につながる、いいおせっかいを焼く」というビジョンを掲げて活動している人たちがいます。

その中心となっている人物が、Community Nurse Company株式会社代表取締役で、コミュニティナースの矢田明子さん。 

コミュニティナースとは、職業や資格ではなく実践のあり方。地域の人の暮らしの身近な存在として「毎日の嬉しいや楽しい」や「心と身体の健康と安心」をまちの人と一緒につくっていきます。

「ナース(看護師)」といっても、病院のなかで働いているのではありません。地域の人が毎日行くスーパーや郵便局といった暮らしの動線にいて、生活に溶け込みながら実践を行っているのです。

矢田さんが活動をする島根県雲南市では、コミュニティナース的な動きをしている人たちがチームとなり、「地域おせっかい会議」を開催しています。毎月の会議でまちにおける気がかりな人や解決したいことを提案し合い、「来月までにこのおせっかいを実行していこう!」と決めて行動し、「おせっかいを焼き合う、ともに暮らしやすいまちづくり」を目指しているのです。

おせっかいを「不必要に人の領域に踏み込む」悪いものではなく、お互いが健康で幸せに生きるための良いイメージで捉え、おせっかいの輪をひろげていっている矢田さん。自分自身の経験を振り返ってみても、矢田さんの提唱するコミュニティナースというあり方には人を頼りながら、お互いに幸せな暮らしをつくっていくためのヒントが詰まっているように感じます。

困っていそうな人がいるときに、おせっかいを悪いことのように感じて、二の足を踏んでしまう私でも、あのおばあちゃんのようにできることはあるのだろうか。そんな考えから、矢田さんにお話を聞いてみたいと思いました。

矢田さんの生き方やお話を聞いていると、元気が湧いてきます。私は、他人の力になりたいと思いつつ、実のところ自分のことばかり考えがちなので、書き手の方に共感するところがあります。でも、少しでも矢田さんのようなパワフルさを取り込んで、いつかは楽しく、誰かのために生きられたらいいなと思っています。

矢田さんの生き方をあらわしているような、こちらのエピソードがとっても素敵です。

ポカリスエットを置いておくだけで、”おせっかい”としては成り立っているけど、私はこれを面白がろうとしてしまうわけよ。90年代のポカリスエットのCMの名シーンとかをわざわざA4で印刷したのを添えて渡すと、同世代の人は面白がってくれるから(笑)。そしたら、”おせっかい”したくなっていくの、自分が。面白い、面白い!みたいな。

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