蔵開放|100年の時を越えて新たな時代のクラフトサケ醸造所復活へ
こんにちは。ヒライユウキです。
家族の創業地である100年の時が流れる家「日詰平井邸」に残された醸造所の復活を目指しています。
日詰平井邸は、岩手県紫波町日詰商店街の南端に位置する国指定重要文化財です。
1921年(大正十年)に私の高祖父にあたる12代・平井六右衛門が完成し、当時の内閣総理大臣であり同郷の政友である原敬(はらたかし)を招いた近代和風建築。
敷地を囲うレンガ塀、張り廻られた大正ガラス窓、完成披露宴を開催した44畳の大広間の空間を実現した屋根裏のトラス式構造など、伝統的な和風建築と欧来した洋風建築とその技術が融合した空間が現存しています。
その主屋の奥に遺された、一棟の造り蔵。
かつて平井家が家業として醸造業を営んでいたこの場所を新たな時代を歩んでいくクラフトサケ醸造所として復活する時が、目前に迫っています。
目標金額420%達成。「夢」は「挑戦」へ。
今年2月に実施したMakuake(マクアケ)でのクラウドファンディング。必要最低限の資金である250万円を目標に募集を開始し、1日で目標を達成。この時は、家族で本当に腰を抜かしました。
最終的に目標金額の420%に相当する1051万1490円もの応援購入金額をお預かりすることができました。3万3000人の北国の小さな町で立ち上がったプロジェクトにこんなにもたくさんの方が応援し、期待を寄せていただいたことは本当に心強く、ただただ感謝するばかりです。
そして同じ頃、紫波町のスーパー酒好き公務員・須川翔太さんの提案で総務省「ローカル10000」補助金にエントリーしました。
紫波町商工会の手引きのもと、産学金官連携で平六醸造×岩手県工業技術センター×盛岡信用金庫×紫波町の連携が実現、1750万円もの採択を受けることができました。
さらに、もりおかSDGsファンドからの出資も受け、融資も決定。
家族で描いていた「夢」は、実現へと向かう「挑戦」になりました。
醸造所工事開始。「挑戦」は「現実」へ。
今、これを書きながら振り返ると今年の4月からは本当に忙しかった。
いつかの note にも書きましたが、前の会社を辞めてから自分は「無職」だと思うことにしてるし公言してます。(一人ですが)会社を立ち上げて代表取締役などと名乗るようになってからは、無職は無理があるなと思っていましたが気持ちとしては変わらずで、「仕事」という言葉は使わないようにしています。
▼いつかの note
理由はシンプルで、私は仕事が大嫌いだからです。遊び、とは違うけど、たった独りで自分のモチベーションを維持したり、毎日の些細な発見や感謝がより感じられるようになりました。
とは言え、今年は疲れるヒマもありませんでした。
岩手県工業技術センターで共同研究(試験醸造)を実施しました
4月から岩手県工業技術センターで共同研究を開始。
復活する醸造所で醸すクラフトサケの超重要なキーアイテムである「もち発芽玄米」の製麹方法確立のため、何回もやり直しながら試験しました。
▼なんで発芽玄米?の記事はこちら
現在、発芽玄米の製麹は9割安定しています。
残りの1割は、①センターでしか試験していないこと(実際に平井邸でやるのと環境が違う)②2022年産のもち米でしか試験していないこと などから、条件が変わった時にどのようになるかは、やってみないとわかりません。
とにかく、めちゃくちゃ難しいです。
一方で醸造家としては楽しいし燃えます。
さらに、出来上がったもち発芽玄米麹を使用して毎月醸造試験。何本も同時にもろみを仕込み、一部の配合や温度条件を変えながら理想とするお酒に近づけていきました。21本一気に仕込んだ時は壮観でした。
醸造試験は現在も取り組んでいて、レシピ開発としては仕上げの段階に入っています。
今発酵中のもろみはサンプルとして酒販店さま、一般消費者のみなさまへお試しいただき、アンケートの内容を最終調整の参考にさせていただく予定です。
▼サンプル申込フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScsNGYDLlD3G9RIrVqlAcTjWQJ6r15m21mcqD_b2T7fEFLKZA/viewform
酒米農家2年目!
試験醸造と並行して、今年も酒米栽培に取り組みました。
2年目の今年は昨年の反省材料を活かして…と意気込んで臨んだ今シーズン。しかし全量2等の悔しい結果でした。私自身の腕の未熟さ、特に水管理が大きな課題で、追い打ちをかけて今年の猛暑で高温障害が発生。
本当に悔しいし、私が育てた酒米「吟ぎんが」を使ってくれている浜千鳥さま、赤武酒造さまに申し訳なく…来年は高品質なお米を数量通り納められるようにまた勉強です。
認定新規農業者としての1年目稲作は悔しい結果でしたが、紫波で田んぼを持ち、自分たちで育てた酒米で、自分たちのお酒を造ることを目標に、指導してくださっている農家さんたちに感謝しながら経験を積んでいきたいと思います。
工事開始、100年の時を越えて醸造所復活!
そして、醸造所の工事が6月からスタート。
でも、多すぎる移動も、色んな事が同時に進み過ぎて頭がこんがらがりかけても、着々と形になっていく醸造所を見ていると楽しみしかありませんでした。
私1人ないし数名での醸造を前提とした最小規模の四季醸造設備。さまざまな旬の副原料に対応しつつ、常に日詰・紫波の「今」を感じていただけるように。生産者さんから預かった原料を丁寧に一本ずつ醸していく、今の私にはこれ以上考えられない醸造所が完成しました。
一日も早く待ってくださっているみなさまへお酒をお届けしたい…!
醸造所の工事と機械設備の搬入は10月末で完了。
すでに水質検査、電気保安検査、保健所検査は完了しており、残すところは「その他の醸造酒」の製造免許の交付を待つのみとなりました。
事前に説明は受けていたものの、製造免許交付までの期間がやはり長い。そして基本的にいきなり電話が来るので、予定も計画も立てられないのが苦しいところですが、来る醸造開始のその日に向けて、準備を進めているところです。
クラウドファンディングで応援購入いただきましたみなさまには、お待たせして本当に申し訳なく思っておりますが、もう少しお時間いただけますと幸いです。
【お知らせ】蔵開放します!
さて、毎週土曜日に出店していた材木町よ市も11月で終わってしまい、醸造開始まで少し時間ができました。
これまで応援し、見守っていただいたみなさまに、私たちが目指すクラフトサケ醸造の「今」と「未来図」をお披露目するために蔵開放を日詰平井邸で開催します。
3つのコンテンツをご用意してお待ちしております。
① 平六醸造見学説明会
100年の時を越えてクラフトサケ醸造所として現代によみがえる、日詰平井邸に遺された造り蔵。新しい紫波のお酒として、これから醸していくクラフトサケについて、16代・平井佑樹よりご説明申し上げます。
ご参加いただいたみなさまへは、現在未公開の特別な情報をご紹介します。私自身、とても楽しみにしているロマンあふれるプロジェクトです!
② 甘酒販売&米糀量り売り
完成した醸造所でお酒造りに先行してつくった「米糀(こめこうじ)」の量り売り販売。容器持込歓迎、300gからお好きな量をお取り分けします。日詰平井邸の米糀は甘みが強く、甘酒には一切砂糖が必要ありません。塩こうじや酢こうじなどでお料理に活用できます。
③ あらばしり限定酒 「OBORO-朧-」予約販売会
間もなく醸造を開始するクラフトサケ。1タンクの仕込から僅かしか採ることができない、もろみを搾った瞬間にほとばしる「あらばしり」の予約販売会です。若々しく鮮烈な味わいをお楽しみください。
苦労して習得した「もち発芽玄米」の麹を使用したベースレシピ Re:vive (リヴァイヴ)から瓶詰めしたお酒です。日本酒で言うところの「純米大吟醸」に相当する磨き上げた白米を使用し、岩手県オリジナルの酵母で華やかに、凛と醸した一本。
数量が少なすぎてクラウドファンディングの返礼品としてはご用意できなかったスペックです。こちらも併せてお楽しみいただければ嬉しいです!
日詰平井邸がこれから歩む新たな歴史の一歩をみなさまと一緒に踏み出したいと心から願っています。ご来邸をお待ちしております!
このnoteは日詰平井邸 醸造所復活に向けた宣言であり、その過程をまとめるものです。ぜひ ♡ で応援いただけますと幸いです。
日詰平井邸 醸造所復活へのミッション
□ 酒類製造免許を取得せよ
☑ 原料を確保せよ
☑作品と製法を確立せよ
☑ パートナー酒販店を集めよ
☑設備を整備せよ
☑お金を集めなさい
▼日詰平井邸 公式サイト
https://www.hiraroku.com/
▼日詰平井邸 インスタグラム
https://www.instagram.com/hiraitei1921/
▼日詰平井邸 サポーター登録(LINE)
https://lin.ee/GtmZoQH