Creepy Nutsは遅れてきた青春ソングだった
2023年の3月、大好きだったラジオ番組が終わってしまいました。
「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」
この番組は自分にCreepy Nutsを出会わせてくれた、本当にありがたい番組でした。
そんなCreepy Nutsへの感謝と愛を綴りたいと思います。
一番と言っていいほど好きな曲、『スポットライト』を聴きながらどうぞ…
そもそもCreepy Nutsって?
シンプルに言えばそんなユニットなんですが、最近では
『かつて天才だった俺たちへ』『バレる!』『板の上の魔物』など、CMソングだったり、M-1やR-1のテーマソングにも起用される程の、大ヒットアーティストです。
そして、深夜ラジオの金看板「オールナイトニッポン」を2018年から5年間もやり続けていた、カリスマラジオパーソナリティでもあります。
そんな彼らの曲がなぜ自分に刺さったのか、そして何が良かったのか…?
刺さる曲があまりなかった青春
ここからは自分自身の話になってしまうのですが…
僕は中高時代は男子校、大学時代は体育会でほぼ男しかいない環境で育ち、恋愛の”れ”の字も知らない状態で生きていたんですね。
当時流行っている曲は、主に恋愛のことを歌う曲ばかり。
そうでない曲があっても、どのアーティストも恋愛に関する曲をよく歌っていました。
そもそも恋愛を知らないから共感できないし、入り込めない。
男子校でアニメオタクになった僕はアニソンばかり聴いていましたが、特定のアーティストにハマるというよりも、アニメに付随して曲にハマる、という状態でした。
ラブライブやアイマスも聴いていましたが、それは音ゲーの影響。
歌詞に共感して、突き刺さりまくってハマるというのではなく。
可愛いから好き、みたいなもんでした。恋愛を知らない故の疑似恋愛というか…笑
一つのアーティストにハマりまくって聴き倒す、ということがあまりなかった。ある種のコンプレックスみたいにもなっていました。
ラジオで出会ったCreepy Nuts
そんなこんなして、社会人になって…
一応それなりに恋愛だったりもするようになったんですが、やっぱり青春時代とは違うわけですよね。
曲も相変わらず流行りのものしか聞かないし、「音楽がブッ刺さるってどういうこと?(笑)」という感じ。
そんな社会人4年目の冬に出会ったのが、Creepy Nuts
転職して音楽だったりを聴きながら仕事できるようになったので、とりあえず音楽ではなく『三四郎のオールナイトニッポン0』を聴くようになり、ラジオにハマっていった僕。
最初は芸人のラジオしか聴いていなかったんですよね、アーティストなんてしゃらくせえ、どうせオシャレなラジオなんだろうって。
そんなのよりも笑えるラジオが聴きたかったので芸人ばかりを聴いていたんですが…三四郎がやたらにCreepy Nutsの話をしたり、ゴッドタンにCreepy Nutsが出ていたことを知ったりして、ちょっと聴いてみるか〜と高を括って聴いてみたんです。
馬鹿面白い、面白すぎてそこから毎週聴くようになりました
こちら側(隠)の人間だった
なぜそんなにハマったのか。
それはCreepy Nutsがこちら側の人間だったから。
こちら側というのは、所謂メインストリームを歩いてきていない方ということ。
二人のトークは基本的には、くだらなく、そして隠側からのポジショントーク。ラジオリスナーの多くは隠キャなので、メールを通してトークがエスカレートしていく訳です。
感情のままに暴れまくるDJ松永、それをいなしながら狂気を見せるR指定。
お互いのファン層についてイジりまくるこの回とか、本当に最高でした
曲の歌詞までブッ刺さる
なぜこちら側のトークができるのか?
R指定とDJ松永は、HIPHOP界でも稀有な、真面目でワルを誇張しないアーティストだったからです。
怖そうな人だらけのHIPHOPのイベントで怯えていた二人が友達になった、というのが結成のきっかけ。メイン(陽)ではない側から吐き出される、メイン(陽)への切望・嫉妬・叫び、それが曲にも凝縮されているんです。
モテなかった学生時代、クラスの人気者への妬み嫉み、そして勘違いしたかっこよさ…
↑この曲なんて、その極地で…
聴くだけで共感性羞恥が発動しそうですが、だからこそ良い。
色々なネガティブやコンプレックスを抱えていた青春を晴らしてくれるような、さらけちらしてくれるような、青春コンプレックスを成仏してくれる曲が溢れているんです。
何も隠さない、隠喩のないまっすぐな自嘲だからこそ刺さりまくる。
イケていない自分を肯定してくれる所が本当に刺さったんですね。
紅白落選を本気で悔しがる
よく、アーティストのファンが
「人気が出る前の方が良かった」という話をしているのを聞いていたんですが、あまり共感できなかった。そんなにハマりまくるアーティストもいなかったので、人気が出てからしか聴いていなかったんですよね。
でもようやく、その感覚がCreepy Nutsで感じることができました。
聴き始めた2019年冬以降、翌年のコロナ禍もあり、家でCreepy Nutsの曲を歌いまくるくらいハマった僕。
そんなCreepy Nutsも『かつて天才だった俺たちへ』をきっかけに、CMやMsステ、地上波へと次々と繰り出し…世間で知らない人がいないくらいの大ヒットをかましまくります。
曲の内容も以前のようにエッジの効いたものから、より大衆的なものに。
寂しさを覚えながらも、スターダムを駆け上がっていくCreepy Nutsには喜びしか感じませんでした。
勝手な共感した身分ですが、青春時代に苦労した彼らが日本のメインストリームになっていく姿に感動しまくる訳です。
ただ人気になったからとは言え、ラジオでの切れ味は抜群で
トークもキャラクターも相変わらず最高だったというのはあります。
そのギャップもあり、より彼らを応援する気持ちは強くなっていました。
2019年の年末はネタで紅白落選の話をしていたCreepy Nutsも、翌年の年末には本気で悔しがるほどの人気が出ていたんです。
人気になってもスタンスは変わらない
人気になって、歌詞がより普遍的・詩的になったとしても
彼らのスタンスは変わりませんでした。
基本的には、報われなかった者・苦境の者を奮い立たせるという曲が多く(全部が全部そうではない)、陰日向だった奴の反骨心が刻まれているんです。
全然ブッ刺さります。
メインストリームを歩めなかった歯痒さと後悔を肯定して、発奮させてくれる、最高の曲とアーティストです。
人生イチの青春ソング
そんなCreepy Nutsも音楽に打ち込むために、ラジオを卒業。
寂しさや悲しさしかありません。
だけれども、ラジオ終わってもクソ応援します。
自分にとって、青春コンプレックスを晴らし、発奮させてくれたCreepy Nutsは間違いなく人生で一番のアーティストだからです。