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【じーじのボヤキ】 前編:じーじの「気候変動問題の盲点」は難しすぎるのよ⁉

(ばーば)せっかくいいこと書いてもじーじのは難しすぎるのよ。難しいことを書かれたら読む気しない。

(じーじ)そんなに難しいかなあ?

(孫)じーじのは難しいってママも言ってた。

という訳で、「難しい、難しい」と不評な「気候変動問題の盲点」シリーズの中でも重要なポイントでなる「残余カーボン予算」という考え方(前編)と「炭素循環」の話(後編)をできるだけ分かり易く解説してみました。

前編は「残余カーボン予算」です。
じーじの評判の悪いnoteは👇これ⁉

グレタさんが、2019年のCOP25で世界の大人たちに訴えた「残余カーボン予算」に達するまでの時間が残されていないとは、どういうことなのでしょうか?

環境01

上記のグラフは、環境省の環境白書から抜粋した「大気中の二酸化炭素濃度の推移」です。

ホッケースティックに喩えられるこのグラフは、産業革命以降の化石燃料の燃焼による人為活動によって急激に二酸化炭素濃度が増加していて、それが地球温暖化を引き起こしている原因であるとの説明に使われるものです。

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上の表は、※IPCCの第5次評価報告書で示された二酸化炭素の濃度別の気温上昇見通しです。環境省2015年3月版「IPCC第5次評価報告書の概要」から抜粋しました。

※IPCCは、気候変動問題の政府間パネルのことで設立から30年以上も地球温暖化の原因を究明し、緩和策と適応策の提案をしてきた国際機関です。

ホッケースティックのグラフを見ていただくと現在の二酸化炭素濃度は約400ppmです。

※ppm(パーツ・パー・ミリオン)とは百万分率です。
10,000ppm = 1%、400ppmは0.04%

これを450ppmくらいに抑えるシナリオをRCP2.6と呼びます。
これが通称2℃シナリオと呼ばれるものです。
2100年の気温上昇を産業革命以降2℃未満に抑えられる確率が66%超のシナリオです。

1000ppmまで高まってしまうシナリオをRCP8.5と呼びます。
これが通称4℃シナリオと呼ばれるものです。
1000ppmを超えると4℃以上の気温上昇となる危険性が高く、4℃未満に抑えられる可能性が低い(33%)シナリオです。

原因と結果の因果関係が逆という説
1000ppmでも0.1%です。
温室効果が高いと言っても大気中の濃度が0.03%から0.04%に増加したことが本当に温暖化の原因なのか?
温暖化しているから海洋中の二酸化炭素放出が増えて濃度が上がったのではないのか?原因と結果の因果関係が逆ではないのか?という説もあります。

RCP2.6というシナリオは、2050年までに2010年比でGHG(温室効果ガス)の排出量をー41~-72%削減する必要があり、2100年までには-78~-118%の削減が必要になるシナリオです。

そうすれば450ppm程度に二酸化炭素濃度が抑えられて気温上昇を2℃未満に66%超の確率で抑えられるという二酸化炭素濃度の経路がRCP2.6なのです。

-118%というのは、カーボンネガティブと呼ばれ、海洋や地中、植物、更には人工的な貯留設備に二酸化炭素を吸収する量が大気中への二酸化炭素排出量を上回ることを意味しています。

つまりパリ協定とは、RCP2.6のシナリオに沿って「2100年時点の大気中の二酸化炭素濃度を450ppmくらいに抑えようやないかい」という取り組みなのです。

またパリ協定には「2℃よりもできたら1.5℃くらいにしたいね」との努力目標も書かられ、それが2015年に採択されました。

パリ協定は2015年に採択されたものの本格的に動き出したのはバイデン大統領の当選が決まってからです。その間、IPCCはあの手この手で米国(トランプ大統領)の離脱阻止を呼び掛けてきました。

パリ協定(2015年)後、IPCCは、第5次評価報告書とは別に特別版として「1.5℃特別報告書」(2018年)を出しました。(トランプさんには完全無視されました。)

これは、RCP2.6(2℃シナリオ)よりもっと頑張って1.5℃くらいに気温上昇を抑えるようにしようという報告書です。

グレタさんのスピーチの基になったのは、この1.5℃特別報告書です。

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上記は、環境省2019年7月版『IPCC「1.5℃特別報告書」の概要』より抜粋したものです。

海洋表面付近の気温上昇を1.5℃未満に抑えられる確率66%超を担保するために人類が大気中に排出できる二酸化炭素量(残余カーボン予算)は、2017年末を基準に残り420ギガCO2トン(4,200億トン)だと書いてあります。

それ以上排出してしまったら1.5℃に気温上昇を抑えるのは難しいというので、我々に課せられた「残余カーボン予算(バジェット)」と呼ぶのです。

ちなみに2018年の世界の二酸化炭素排出量は335億トン、2018年の排出量が続くと仮定した単純計算で、4,200億トン÷335億トン/年=12.5年(2030年)、つまり2030年には残余カーボン予算を使い切ってしまいます。

この危機感をグレタさんは懸命に大人の政治家に訴えていたのでした。


(じーじ)どうだい⁉ 完璧だろ? 分かり易かったやろ?

(ばーば)RCPなんちゃらとか、じーじの話はやっぱり難しい!

(じーじ)えー、それはないやろ(ボヤキ締め)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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