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ペアーズが粋だった話

世間はGW真っ只中。というかそろそろ終わり。
新年度の疲れを癒したり、新しい仲間と出かけたり、世間が思い思いのGWを過ごしている中、私はとある広告を発見した。
まずは上の画像を見てほしい。この広告は、何を隠そう、別に何も隠してないけど、”恋愛、婚活マッチングアプリ”「Pairs(ペアーズ)」の広告である。公式サイトによると、1日400人に恋人が出来ていて、利用率No1らしい。
誰もそんなこと言ってないとかいうのはさておいて、一億総マッチングアプリ時代と呼ばれる中で、事情はよく知らないけど、ペアーズは中々頑張っているのではなかろうか。ちょっと上から目線すぎるかな。ペアーズさんは頑張っています。
そんなペアーズがGWを前にして出した広告が秀逸だったので、どこが秀逸だったのか簡単に書こうと思う。

#そろそろデート再開しませんか

まずは一行目。もう3年目に入ったコロナ禍に、一石を投じる一文である。
人との接触や不要不急の外出をなるべく避けるよう要請があった二年間。あのオリンピックですら無観客で開催され、様々な行動に精神的、物理的な制限がかかった。
ようやくコロナとの戦い方が分かってきた三年目。ここで「#そろそろデート再開しませんか」という文章を出すのは、なかなかチャレンジングなことでもある。まだまだ自粛が必要だと考えている人もいるし、逆に自粛や行動制限に異を唱えている人もいる。そんな中ペアーズは、デートの再開を提言した。おそらく、デート自体は色んな制限がかかっている中でも行われていただろう。おうちデートとか、キャンプデートとか、工夫をこらして結構楽しくやってた人もそれなりにいる。ただ、ここでペアーズがこのハッシュタグを発信することで、「コロナがなぁ…」という言葉で出会いから遠ざかっていた、決して少なくはない層に勇気を届けることが出来ただろう。多分。

この国はきっと、自粛より再開の方が苦手だから

これ、めちゃくちゃ深い文章だと思う。やめることは簡単だけど、始めるのは難しい。自粛とかそういうのに限った話じゃなくて、ダイエットとか、筋トレとか、勉強とか、それこそ恋愛とか、始めるのにはエネルギーを使うけど、やめるのはすぐだ。考えなくていいから。いったんやめて、また始めればいい。誰でも一度は経験したことのある思考だろう。ただ、やめたくてやめてる人はあんまりいない。物理的だったり心理的だったり、いろんな理由で始めるのが、続けるのが難しくなってやめてる人がほとんどだろう。それに、一度やめたことを再開する人は少ない。ダイエットはいつだって明日からだし、筋トレとか疲れるからやってらんないし、勉強はつまんない。恋愛だって、運命の人はいくら探しても出てこない。
そんな人に向かって、「苦手だから」という、強すぎず核心を突いた言葉を投げかけてくる。そのあと、ペアーズはデートの再開を勝手に宣言している。自分で始める、再開するのが苦手な人のために、ペアーズは一肌脱いでくれたのだ。何を脱いだのかはよくわかんないけど。

ゴールデンウィークとペアーズのせいにして

冬になると、JRの駅構内に、「ぜんぶ雪のせいだ」という広告が並ぶのはご存じだろうか。個人的にあれが大好きで、見るとすぐにスキー場にロマンスの神様を探しに行きたくなるのだが、だれか共感してくれる人いませんか?人選が良いよね、あれ。
この一文はあれに似ている。人は大体、責任を負いたくない。理由はシンプル。責任を負えば、果たせなかったときに責められるからだ。責任と夢は呪いみたいなものとはよく言ったものだが、まさしくその通り。前者は果たすまで、後者は叶えるか諦めるまで、一生つきまとう。
だから人は、人のせいにする。ダイエットに失敗したら、美味しくてカロリーの高い料理を作った人のせいにするし、筋トレに飽きたら、筋肉と結婚した暑苦しいトレーナーのせいにするし、勉強が行き詰まったら、この世に蔓延る数多の誘惑のせいにする。恋愛も、あの子が振り向いてくれないから、あの人には好きな人がいるから、そもそも、手が届くところにいないから、、、。
ペアーズは、そんな人たちの思いを、GWを巻き込んで、背負った。巻き込まれたGWの方は寝耳に水だったかもしれないが、とにかく自分たちのせいにしていいといったのだ。許してくれるかは別として、会社や学校を休んでデートに行っても、他に相手がいるのにデートに行っても、「だってゴールデンウィークとペアーズのせいだもん」って言うことが出来る。言うことはね。許してくれるかは知らん。
自分以外の誰かが責任を背負ってくれることが分かると、人は大胆になれる。ペアーズはみんなにそのチャンスをくれたのだ。

ここまで読んでくれた皆様に念のために言っておくが、私はペアーズの回し者ではない。やったことないし、アプリも入れてないし、なんなら始める予定もない。ただこの広告を見て、少しばかり感銘を受けただけである。
暗いニュースの続く世の中に、少しでも花を添えたい。そんな思いの見える広告に、少しうれしくなった。何よりこの広告内では、ペアーズを使って、という文言が出てこない。気になるあの人を誘って、というのは、別にペアーズでなくたって出来ることだ。幸せを掴むのに必要なのは、いつだって少しの勇気と精いっぱいの想いだけなのだ。方法は何だっていい。遅すぎることも、身の丈に合わないこともない。さあ、一歩踏み出してみよう。


ちなみに、私のGWにデートの予定はない。
なんでかはよくわかんないけど、多分ペアーズのせいだ。

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