見出し画像

米国株 金融・決済・小売り「業界地図」っぽいもの (20/12月期)

調整中の株価。今後の投資に参考になればと思い、独断と偏見でつくった「業界地図」っぽいものに、2020年12月期の決算から売上成長率を入れてみました。

誤りがあるかも知れませんので、気になったところは、ご自身で確認いただけると幸いです。

課金しなくても無料で読めますが、もし参考になったら、「ハートボタン」をクリックしたり、「リツイート」したり、「コメント」をくれると嬉しいです。やる気が出ます。
おつかれさん「缶コーヒー、一杯ぐらい、ご馳走してあげよう」という
太っ腹な方がいれば、お願いしまーす。

決算を迎えていないものは、数字が入っていませんが、一旦完成です。(追々、更新しようかと思います。)

画像4

ざくっと説明。

失業保険の不正検知システムを提供するEFXは他の類似企業に比べて業績がよい。失業保険申請件数は減ってきているものの、コロナ前は20万件前後だったものが、70-80万件で高止まりする中で業績は好調である。

EFX 23%
・EXPGY 7%
・TRU 2%
・FICO 5%

オンライン決済に特化するPaypalは、海外旅行などの消費の落ち込みを受けるVisa、MasterCard、AmericanExpressと比較して業績が良い。

・Paypal 23%
・Visa -6%
・MasterCard -7%
・AmericanExpress -18%

PaypalとeBayの売上の成長率が近いのは興味深い。どちらかの決算を見ていれば、もう片方の決算が推測ができるのかもしれない。

・前回調査時 Paypal:22%、eBay:18%
・今回調査時 Paypal:23%、eBay:28%

決済系で、売上を伸ばしているSquare。成長率は141%となっており、驚異的。しかし、細かく見てみると、Bitcoinの売上成長が889%となっている。しかも、Bitcoinの利益率は2%であり、あまり儲かっていない。Bitcoinの取り扱いは、増加したユーザによるサービスの利用を期待した集客的な意味合いが強そうだ。

画像2

出典:Square IRより作成

画像3

出典:Square IRより作成

年末商戦の影響もあり、オンライン系の業績は良い。

似たようなサービスを提供しているShopifyBigCommerce。規模が小さいBigCommerceの方が成長率が高くなっても良いぐらいなのだが、Shopifyの強さが圧倒的である。規模が大きくなるほど、Shopifyと連携するサービスや提携する企業が増えて、強さを増しているように見える。DXの時代はウィナー・テイク・オールと言われたりするが、この言葉を体現する様な強さである。

・Shopify 94%(subscription 57%)
・BigCommerce 39% 

もう一つ目を引く存在と言えば、128%で成長するEtsy。Etsyは手作り・ビンテージ・工芸品に特化したe-commerceのサイト。サイト全体の雰囲気も良いし、センスが良い商品が並んでいる。プレゼントなんかの特別な一品を買う時に、ココでしか手に入らないものを探しに来るユーザもいる様に思う。手作り・ビンテージに特化する事で、AmazonやeBay等と、差別化した地位を築いているように思うし、なにより、業績がそれを物語っている。

コロナの初期は手作りマスクの特需で売り上げを伸ばしていたのだけど、売上に占めるマスクの割合は減ってきているし、3Qでマスクだけを買っていたユーザの50%がQ4ではマスク以外のものを買っている様子。マスク特需でお客への認知を高めることに成功し、リピーターの増加に繋がっている様子。

ちなみに、Etsyへの集客にPinterest等が使われている。つまり、Pinterest等の広告業界の業績を見ていれば、Etsyの業績の参考になるかも知れない。逆も同じ。

画像4

出典:SimilarWeb

PinterestとEtsyの売上成長は下記のような感じ。

・Pinterest  76%
・Etsy 128%

オンラインの業績と言えば、既存の小売り企業のオンラインも好調だ。

・Walmart 79%(オンライン部分のみ(以下略))
・Home depot 83%
・Lowe's 121%

そんな中で、広告で稼ぐ企業も好調である。

・Google 23.4%
・Facebook 33%
・Twitter 28%
・Pinterest 76%
・Snapchat 62.4%
・Trade Desk 48%

オンライン系は好調だが、コロナから1年が経過しようとしている。オンライン系の売上はコロナ後に跳ね上がっているものも多いので、そろそろ、一回りして、次の決算から成長率が落ちる企業も出てくると思うので、その点は警戒した方が良いだろう。また、経済が正常化すれば消費傾向が、ある程度はオンラインからオフラインへの揺り戻しが発生すると思われるので、その点も注意した方が良いだろう。

次に、左下部分。
給与・人事(財務会計)系で気になるのは、Intuitが-7%となっている部分。

Intuit -7%   時価総額 $106B
ADP -1%   時価総額 $74B
WDAY 15.9%  時価総額 $58B
PAYX 未発表  時価総額 $32B
PAYC 14.2%  時価総額 $22B
PCTY 10.5%  時価総額 $10B

画像7

出典:Intuit IRより作成

調べてみると、売上の40%を占める「個人向け」が-71%となっている。これは去年より、IRSの確定申告が半月遅くなった影響らしい。
 2020年 → 1月27日
 2021年 → 2月12日

Intuitは個人の確定申告向けにTurboTaxというSaaSサービスを提供しているのだけど、この売上が後ろにずれこんでいる様子。

画像8

出典:GoogleTrends

Turbo Taxの競合ソフトであるH&R BlockTaxActを、GoogleTrendsで確認すると、確かに山が2週間ぐらい後ろにずれている。このグラフを見ていて面白いのは、4月の締め切りが迫ると検索数の山が、再度、盛り上がっているところ。夏休みの宿題をギリギリになってやるような人たちが一定の数は存在するのだろう。

画像7

出典:SimilarWeb

SimilarWebで確認してみても、TurboTaxへのアクセスは伸びているので、まぁ、問題ないのだろう。

因みにIntuitはCredit Karmaを買収している。Credit KarmaはEquifaxとTransUnionが提供する個人の信用スコア(VantageScore 3.0(FICOのスコアリングの競合))を無料で提供する会社であり、Intuitは個人の確定申告から、信用情報(ローン)等の金融関連のサービスまで顧客の囲い込みをしようとしているようだ。因みにCredit Karmaは広告収入で稼いでいる様子。

ここで一つ、自慢させてほしい。

画像8

この図だが、実はこのようなM&Aや提携が発生する可能性を想定して、「個人の信用」と「組織の信用」を評価する会社との間の、この位置に給与・人事(財務会計)を配置していたのである。結構いい読みをして絶妙の配置になっていると思う。(誰も褒めてくれないので、自画自賛させてください。)今後も同じようなM&Aや提携は発生していくように思う。

次に、格付け会社。格付け会社関連の業績は今期は今一つに見える。因みにSPGIはIHS Markitを買収しており、買収が完了するまでは自社株買いを控える様子。

IHS Markitは、情報プロバイダーで多岐にわたる情報を保有している。そのたため、SPGIはこの買収により、格付けやESG関連の分析でシナジー効果を期待している様子。

次に、投資信託・ETFを提供するVangugardとBlackLock(iShares)。BlackLock12.6%と好調そうに見える。そして、指数を提供するFTSE(London Stock Exchangeの子会社)とMSCI。MSCIは9.1%成長になっている。

次に取引所・株取引関連の業績を見てみると、株取引が活況だったことが伺える。

・ICE 28.7%
・Nasdaq 22%
・CBOE 10%
チャールズシュワブ(SCHW)60%
・CME 1.6%(金利取引が不調)
・MKTX 32%
・Tradeweb 18.1%

中でも、チャールズシュワブは60%増と驚異的な伸びになっている。しかし、利益を見てみると、33.2%しか増えていない。

どうやらキャンペーンをするなど手数料を安くしていた様子。十分に良い業績ではあるが、取引手数料が無料のRobinhoodと競争しなければならない状況なので、取引量の増加を素直には喜べない状況なのかもしれない。

と、駆け足ではありますが、一通り状況を確認してみました。
何かの参考になれば幸いです。

もし参考になったら、
「ハートボタン」をクリックしたり、
「リツイート」したり、
「コメント」をくれると嬉しいです。
「缶コーヒー、一杯ぐらい、ご馳走してあげよう」という
太っ腹な方がいれば、お願いしまーす。

ここから先は

10字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?