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米国株 全体編「業界地図」っぽいものNo.6 成長率 追加版

アレが足りない。コレが何でここに?アレが来ない。
最後の人には産婦人科に行って貰うとして、
色々思うところはあるかも知れませんが、
独断偏見で全体の「業界地図」っぽいものを作ってみました。

今の状況を捉えたり、スナップショットを残しておけば、同じような状況が起きた時や、数年後に振り返ったりするのに参考になるのではないかと思い成長率を追加してみました。

誤りがあるかも知れませんので、気になったところは、ご自身で確認いただけると幸いです。

課金しなくても無料で読めますが、もし参考になったら、「ハートボタン」をクリックしたり、「リツイート」したり、「コメント」をくれると嬉しいです。いい記事を書こうというやる気が出ます。

では、「業界地図」っぽいもの 全体編 成長率 追加版です。

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何かの参考になれば幸いです。

以下、個別の状況について、少し解説してみようと思います。

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食品・飲料
コカ・コーラとペプシコの売上成長に違いがあります。
これはペプシコの売上の半分をスナック菓子が占める事によるものと思われます。事業のポートフォリオが、「BtoB 向けとBtoC 向け」に分散されていたり、性質の違うものがあると不測の事態にも強いように思われます。

コカ・コーラの売上落ち込みはマクドナルドと同程度になっており、外食産業が回復に依存する部分が大きいように思われます。ポートフォリオを組む際は、コカ・コーラとマクドナルドを合わせて一つのカテゴリとみなしてポートフォリオを組むのが良いように思います。

そんな中で、エナジードリンクに特化するモンスタービバレッジに強さが見えます。飲食業に依存しない販路が多いため、外食の需要減の影響が少なかったのでしょう。

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外食
マクドナルド、スターバックスが30%近く落ち込みを見せる中で、ドミノピザは8.1%と強くなっています。外食などの予約で使われるYELPも-32%減となっていますが、デリバリのGRUBは41%増になっています。この事からも、デリバリに特化するドミノピザの強みが表れたように思われます。YUMグループ傘下のピザハットと比べても異常に強くなっています。これも、デリバリに特化するドミノピザと、店舗内で飲食場所の提供するお店が多いピザハットとの差が出ている様に思われます。

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食料品
調味料を提供するマーコミックの強さが見られます。飲食店の需要減を、外食していた人が自炊をすることよって、個人の消費増が支えている形になってます。消費場所が変わっただけで、使われ続ける商材の強さが伺えます。

モンデリーズを見ると北アメリカでのガムやキャンディーが減り、ビスケットが伸びています。外食が減り、在宅時間が増える中で調理をしなくても手軽におなかを満たすものの需要が増えているようです。楽をしたいという人の欲求が見え隠れしています。

ネスレは、「ネコだいすき フリスキー」や「モンプチ」などのPURINAブランドのペットフードが好調で12.5%成長しています。

ゼネラルミルズもBULEというドッグフードが18%成長と好調で、Amazon, Walmart, Chewy等のオンラインでの販売が9%成長しています。ゼネラルミルズはハーゲンダッツで有名な会社ですが、シリアルなどの穀物類も好調なようです。ここからも家で手軽に食べれるものの需要が増えている事が伺えます。

オンラインでペットフードを販売するChewyも47%増と好調です。

全体的な傾向として、食料品は、飲食店での需要減が、家庭の消費増でカバーされるため、マイナスの影響を受けにくいものが多く、強さが見られます。そして、この分野では「ペットフード購入のオンライン化」「家で手軽に食べれるものの需要増」の二つの変化が見られます。その中で、ゼネラルミルズは絶好のポジションにいたように思われます。

「ペットフード購入のオンライン化」について、一つの推測ですが、Twitterでは動物が会話しているし、ネコが自らオンラインショップで「モンプチ」を購入する時代が到来しているのかもしれません。(そう言えば、最近、ネコがオンラインショップ「Chewy」の銘柄分析をしているのも見かけた気がします。)

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通信 
VerizonとAT&Tはどちらも一桁の減少をしています。AT&Tはケーブルテレビ事業もあるため、これが足を引っ張っているようです。

動画ストリーミング
Netflixが24.9%増、Hulu(Disneyとコムキャストが出資)が27%増になっており、テレビで動画ストリーミング環境を提供するROKUが42%増になっています。一方でAT&Tやコムキャストのケーブルテレビ事業は不調です。ココから見えてくるのは、ケーブルテレビからの移行が加速しているように見えます。動画ストリーミング関連の業績を推測するのに、移行元であるAT&Tやコムキャストなどの業績を確認すると参考になるかも知れません。

エンターテイメント
Disneyは-42%と苦しい状態です。ディズニーランドは閉鎖され、映画館も閉鎖され、ESPNというスポーツ配信も、一部ゲームが中止されるという、分散しているはずの事業ポートフォリオがことごとく悪い方向に影響を受けてしまっています。おなじくユニバーサルスタジオを経営するコムキャストも-11.7%になっており、他と比べると業績が悪くなっています。

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ごみ処理・廃棄
不景気にも強いビジネスだと想定していましたが、飲食店やオフィスなどの産業廃棄物が減少する局面では流石に影響を受けるようです。(電気と比較すると影響は少なめになっています。)


水は飲食店等の需要がなくなっても、家庭での需要が増えて好調なようです。(SJWはM&Aの影響で売り上げが伸びているだけなので注意してください。)

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電気
一般消費者の需要は増加していますが、商業・工業の需要停滞を受けて、全体の売上が減少しています。(NEPは再生可能エネルギーが伸びている様子。)

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日用品
家庭を清潔に保つ需要は大きかったようで、漂白・消毒・殺菌のCloroxや洗剤のChurch&Dwightの業績は好調です。

Cloroxは、他にも、水ろ過システムとフィルターのブリタや、サラダのドレッシング(Hidden Valley)が好調なようです。

Church&Dwightは、他にもグミビタミン、女性用脱毛も好調なようです。
Church&Dwightは米国シェアNo.1のTrojanというコンドームも取り扱っているので、ビタミン剤→脱毛→コンドームという流れるような垂直統合のバリューチェーンが完成しています。(そして、赤ちゃん用の歯磨きも提供している様子。抜かりがありません。)

一方で産業・工業用の売上が大きい3Mは売上が減少しています。

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アパレル・ブランド
軒並み売上減少に苦しむ中で、Nikeの検討が光ります。

Nikeの8/31締めの売上を確認すると面白い傾向が見えます。

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出典:Nike IR

中国が好調で、アジア、ラテンアメリカ弱くなっています。地域差によるCOVID19拡大のタイムラグを表しているのでしょう。

北米では、少し奇妙な現象が発生しています。洋服が売れず、靴だけが売れています。

この傾向から推察すると、アメリカ人は裸で靴だけ履いて歩きまわっている可能性があります。

と、名推理で悦に入っていたところ、ある方から、「芸術品・嗜好品としてコレクターや転売の需要じゃないか?」というご指摘を頂きました。なんでもリモデリングなどを行った Air シリーズの効果があったようです。

一流選手とコラボして限定モデルを発表したり、いろいろな需要喚起方法があるものだと感心します。

しかし、一方で、コロナをきっかけとして、人々の生活様式がかわり、アメリカ人が4足歩行を始めたことで、靴の需要が伸びている可能性も捨てきれません。

もしかしたら、アメリカでは裸で靴だけ履いて4足歩行を始めるような劇的なライフスタイルの変化が訪れているかもしれません。

記事の質が暴落してきた気配を感じます。
この辺で話を変えて、もう一つ興味深い傾向について説明しましょう。

Lululemonの8/2締めの売上を確認すると面白い傾向があります。

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出典:Lululemon IR

Lululemonの売上を1年前と比較すると、「店舗売上」と「D2C」の売上がちょうど逆転しています。

COVID-19をきっかけに、数々の企業がオンラインでの販売を始めていますが、ここまで劇的に変化・順応できた企業はなかなか無いでしょう。

「小売りのターゲット」の事例から推察すると、Lululemonの購買層がオンラインに対応しやすい年齢層だったのが、功を奏したように思われます。

対象の企業の顧客層から行動を予測し、業績がどう変わるのかを推測するというのも一つの考え方として良い視点かもしれません。

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百均ショップ・1ドルショップ
ダラーゼネラルやダラツリーの業績は好調です。高級品のブランドが苦戦する中で、経済状況が悪い時にも100均には強さが伺えます

因みに、ダラーゼネラルの売上の中で、Home Productの分野が56.2%と好調だったようです。

小売り
ウォルマート、ターゲット、コストコなど食料品・生活必需品を扱う分野には強さが見られます。ターゲットが突出して業績が良くなっていますが、これは客層とオンラインの相性の良さだと思わます。(詳細は「米国株 金融・決済・小売り「業界地図」っぽいもの No.4 成長率 追加版」に記述しているので、そちらを確認して見て下さい。)

ホームセンター
自宅で過ごす時間が増え、ホームセンターのホームデポもロウズも好業績です。ロウズの方が業績が良くなっているのは、郊外の比率が高いロウズの方がCOVID19のマイナス面を受けにくく、ホームセンター需要が業績に結び付き易かったのではないかと考えられているようです。

住宅需要の関連として、給湯器や芝刈り機や重機や害虫駆除を合わせて調べてみましたが、商業・産業のマイナス影響を受けるものは、あまり好調ではないようです。芝刈り機は比較的強いですが、ゴルフ場や球場の需要減を受けています。唯一、害虫駆除関連は、そこそ好調です。コロナの影響で害虫も在宅ワークをしていたのかもしれません。キャットフードは好調ですが、建設現場などで使われる重機のCATは不調です。

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自動車
軒並み40%から50%減に苦しむ中で、テスラが健闘していますが、テスラもマイナスです。(個人的には、テスラは株価が凄い事になっているので、当然40%ぐらい成長していると勝手に思っていたので意外でした。)

中古車オークション
コパートは-3.1%、IAAは-19%で大きな差がでています。これはオンラインに特化しているコパートと店舗販売を並行しているIAAの差が出ているように思われます。

他にも、コパートはCOVID19の影響で閉鎖になった時に、直接、州に訴えて、直ぐに営業を開始させるという能動的に活動をしていたので、経営者の機動力・推進力も影響しているように思われます。(事故車の回収業務が止まって、事故車が放置されると困るでしょうみたいに説得して事業を再開させたと思われます。)

車両パーツ販売
この業種は全体的に好調です。Earnings Callでは、給付金が給付されたタイミングで売り上げが伸びたという話がありました。「まとまったお金が入ったので、修理しよう」とか、「車を買い替えずに給付金で車を修理して使おう」みたいな、DIYの需要があったようです。

CAD
設計をする3D CADのソフトのADSKもDSYも好調です。このビジネスはサブスクリプションで売上をあげているようで、他のSaaSと同じく株価も高くなっています。

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旅行予約・ホテル・カジノ
売上は72%~97%減少になっており、業績は最悪の状態です。特にラスベガスサンズは売上97%減になっていて、背筋が寒くなるような数字です。

決算の資料は、いずれもしっかりと作られており、こんな大変な状況で資料をまとめた方には敬意を表したいです。ラスベガスサンズなんかは、シンガポールのマリーナベイサンズの事業拡大の計画まで書かれていて、足元の苦境に負けない長期的な視野に感心しました。

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航空・石油・エネルギー・軍事等
石油は-50%から-60%、航空会社は-80%で、いずれも厳しい状況です。

周りの状況と比べると、ボーイングやゼネラルエレクトリックは、それ程は落ち込んでいないように見えます。そして、ロッキード・マーチンは成長している状況です。

このあたりは、あまり詳しくないので、これぐらいにしておきます。

まとめ

今回、全体「業界地図」っぽいものに成長率を入れる事で、現在の状況が把握しやすくなったように思います。また、業績を見ながら調べていくことで、いろいろと発見もありました。ここまで、説明したことを整理すると下記の様な感じかと思います。

アメリカ人は、居住空間を快適にするためにホームセンターで購入した重曹漂白剤で家を消毒し、「在宅ワークをする害虫」を駆除しながら家に住んでいて、家の中では裸にNikeの靴だけ履いて4足歩行している人が、四つん這いになって、オンラインで注文したシリアルエナジードリンクに浸して食べている状態です。そして晩御飯には、ストリーミング動画を見ながらピザを食べている裏で、猫がオンラインでモンプチを注文しているようです。

というコロナ後の世界の描写は無茶苦茶なので、
仕切り直して、これまで説明した事を整理しなおすと、下記の様な事に着目するといいように思います。

ポートフォリオは違う動きをするのか?
 ・コカ・コーラとマクドナルド
 ・コカ・コーラとペプシコ
 ・ディズニーのパークとESPN

顧客が誰か、「B to C」なのか「B to B」なのか?割合は?
 ・3M
 ・AOS
 ・廃棄、電気

どんな客層か?オンラインに移行しやすいお客か?
 ・ターゲット
 ・ルルレモン

オンラインに特化しているのか?店舗販売もしているのか?
 ・コパートとIAAI
 ・ドミノピザとピザハット

代替されるようなものなのか
 ・外食→自炊

消費場所が変わるだけで代替されないものなのか
 ・調味料マーコミック
 ・水

競合ビジネスの業績はどうなっているのか?
 ・AT&TとROKU
 ・AdidasとNike

住宅関連の需要はどこに影響するのか?
 ・ホームセンター
 ・芝刈り機
 ・害虫駆除
 ・ダラーゼネラルのホームプロダクト

ロックダウンになるとどこに影響がでるのか?
 ・居住環境の充実 ホームセンター・家具
 ・外食→手軽に食べられるシリアル ゼネラルミルズ 

ペットフード需要はどこに出るのか?
 ・ネスレ、ゼネラルミルズ、CHWY

不況に強いビジネスなのか?
 ・100円ショップ

あと、今回、COVID19の影響が業績に表れた結果を振り返りって分析してみましたが、更に、一歩踏み込んで、ワクチンが開発された場合、この流れが反転するとどのような影響を受けるのか、それとも影響を受けないのか、考えて見ると良いかもしれません。

例えば、一度、ケーブルテレビを解約してROKUに対応したテレビを買った人がケーブルテレビに戻るとはあまり思えません。また、消費場所が変わっただけで、業績が大きく変動していないものは、今後も変動があるとは思えません。

最後に

今回、コロナ危機の中で、好調な企業を傍から見ていると結果的に好転しただけのように見えたりするのですが、実際は既に打ってあった布石が明らかになっただけだったりします。オンライン化を進めていたところに追い風が吹いただけであったり、数年前からあったカーブサイドピックアップのサービスがフォーカスされただけであったり、数年前の買収によって事業のポートフォリオが安定するものに変更してあったりという様に。

危機という漢字は「険」と「会」の2文字から成りますが、コロナ危機をきっかけに、事前に打ってあった布石によって「ピンチ」「チャンス」に変えているのです。

まとめに整理したような観点で、新しいサービスや買収や設備投資など、事前に打っている布石を、ニュースなどでチェックしながら意味を考えて見ると、経営者が考えている事業の方向性などの理解が深まって愉しめるような気がします。

以上、コロナ後の状況をスナップショットとして残すべく、今の状況を整理しながらコメントしてみました。何かの参考になれば幸いです。

おつかれさん「缶コーヒー、一杯ぐらい、ご馳走してあげよう」という
太っ腹な方がいれば、お願いしまーす。

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