大腿骨骨折後の長期障害転帰に関する批判的レビュー
大腿骨骨折後の長期障害転帰に関する批判的レビュー
A critical review of the long-term disability outcomes following hip fracture
・Suzanne M Dyer
・PMID: 27590604
■方法
股関節骨折後の長期的な回復の様子に関するコホート研究を批判的に検討。
2015年11月から12月に検索し、3か月以上の追跡調査を行った股関節骨折患者のコホート研究が対象で38件をレビュー。
■結果
・移動能力: 40〜60%の股関節骨折患者が1年以内に骨折前の移動能力を取り戻すことが確認されているが、完全な回復には至らないケースが多い。
・基本的なADL: 70%近くがADLの自立度を回復しているが、特に日常生活の自立が難しい患者では、ADLの回復が難しいことが報告されてる。
・IADL: 50%以下が骨折前のレベルに戻れるとされ、生活全般での活動や自立が困難となるケースが多く見られる。
・生活の質(QOL): 骨折後のQOLは著しく低下し、コントロール群と比較しても回復には限界があることが示されている。
■感想・学び
本研究では、過去に骨折したことがある群との比較結果も含まれ、臨床上、受傷した方の今後や、既往歴からの予測をするにあたっての非常に参考となる結果で、現状をとらえ最大限の回復と安全な生活を送るために様々なことを考えないといけないと改めて感じた。
整形疾患では、“骨が治れば元に戻るのではないか”という、いつのまにか出来上がりやすい偏見を見直すきっかけになった。
今日も最高の一日に。