身体活動とうつ病リスクの関連

身体活動とうつ病リスクの関連(SRとMA)
Association Between Physical Activity and Risk of Depression A Systematic Review and Meta-analysis

Matthew Pearce, et al

PMID:35416941

🔳目的
成人における身体活動量と新規うつ病発症リスクの関連性を、既存の前向き研究を用いてシステマティックレビュー、メタ分析を行い、量と効果の関係を調査。

🔳方法
PubMed、SCOPUS、Web of Science、PsycINFO、システマティックレビューの参考文献リストを検索し、2020年12月11日までに発表された前向きコホート研究を対象。

3つ以上の身体活動レベルと、3年以上の追跡期間を持ち、参加者が3,000人以上の前向きコホート研究を対象。対象は、医師による診断、自己申告、診断面接、またはスクリーニングツールによるうつ病の発症を報告しているもの。

🔳結果
参加者>
191,130人の参加者
15の研究が含まれた
参加者の64%が女性

<結果>
身体活動量と新規うつ病発症リスクの間に逆相関のカーブ線形の関係が観察された。特に、低活動量ではより急なリスク低減。
・身体活動をまったく報告しなかった成人に比べ、推奨される身体活動量の半分(4.4 mMET-h/週)を行っていた人々では、18%(95% CI, 13%-23%)リスクが低下。
・推奨される身体活動量(8.8 mMET-h/週)を行っていた成人では、25%(95% CI, 18%-32%)のリスク低下が見られた。ただし、これ以上の活動量では、追加の利益は減少し、さらに不確実性が高まる結果。
・さらに、身体活動の推奨を満たしていない成人が推奨レベルに到達していれば、全うつ病ケースの11.5%(95% CI, 7.7%-15.4%)が予防可能であったと推定された。


身体活動とうつ病の発症率の関連性

<※結果の要約>
・身体活動と新規うつ病発症のリスクは、活動量が低いほど急激にリスクが減少する逆カーブ状の関係が見られた。
・身体活動量が4.4 mMET-h/週(例:中程度の強度で30分程度のウォーキングを週に3回)の場合、リスクは無活動者に比べて18%低下した。
・活動量が推奨される8.8 mMET-h/週(例:週に2.5時間程度の速歩)に到達した場合、リスクは25%低下。
・推奨量を超える活動量では、さらなるリスク低減の可能性はあるが、追加の利益は減少し、結果の不確実性も増加。

※※身体活動が少しでもうつ病のリスクを低減させる効果があり、健康推奨を達成していなくても、どんな活動量でもメンタルヘルスの改善に寄与することが示唆される。

🔳PECO形式
P

成人(18歳以上)、計191,130名の参加者を含む15の前向きコホート研究。追跡期間は3年以上。
E
身体活動(Physical Activity)。3つ以上の活動レベルに分類されており、エネルギー消費量(mMET-h/週)で測定。例:ウォーキング、スポーツなどのレジャー活動。
C
身体活動を全く行わない成人(0 mMET-h/週)

O
うつ病の発症リスク

🔳感想・学び
まずは推奨量をしっかりこなすというより、運動を始めると効果がある、ということをしめすことからでも十分効果が期待できると感じた。

今日も最高の一日に。

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