脳卒中後の四肢機能の回復に対する、従来の神経筋電気刺激と比較した対側制御機能的電気刺激の有効性:系統的レビューとメタ分析
脳卒中後の四肢機能の回復に対する、従来の神経筋電気刺激と比較した対側制御機能的電気刺激の有効性:系統的レビューとメタ分析
The efficacy of contralaterally controlled functional electrical stimulation compared to conventional neuromuscular electrical stimulation for recovery of limb function following a stroke: a systematic review and meta-analysis
PMID: 38450065
Alhussain Halawani, 1 , 2 Ammar Aljabri, 1 , 2 Dena M. Bahathiq, 1 , 2 Roaa E. Morya, 1 , 2 Saeed Alghamdi, 3 and Seraj Makkawicorresponding author 1 , 2 , 4 , *
1College of Medicine, King Saud Bin Abdulaziz University for Health Sciences, Jeddah, Saudi Arabia
2King Abdullah International Medical Research Center, Jeddah, Saudi Arabia
3Neuroscience Department, King Faisal Specialist Hospital and Research Center, Jeddah, Saudi Arabia
4Department of Neuroscience, Ministry of National Guard-Health Affairs, Jeddah, Saudi Arabia
<目的>
四肢リハビリテーションの手段として対側制御機能的電気刺激 (CCFES) の効果を評価すること
<PICO>
■participant
・下肢または上肢に麻痺のある脳卒中生存者
・成人 (18 歳以上)
・すべての脳卒中段階 (急性、亜急性、慢性)
■intervention
・対側制御の機能的電気刺激
・筋電図ブリッジ療法
・屈曲角度センサー
・両側電気刺激を実現するその他のモダリティ
■comparison
・神経筋電気刺激;周期的または EMG トリガーのいずれか
・その他の形態のリハビリテーション。
■outcome measure
・主要評価項目:
運動機能評価 (UEFMA、LEFMA、BBT、AROM)
日常生活動作評価 (mBI、AMAT、ARAT)
・副次評価項目:
(sEMG 比)
<方法>
PRISMAガイドラインに従って実施。
包含基準を満たす記録は、Medline、Embase、Cochrane Register of Controlled Trials (CENTRAL) のデータベースから抽出。
追加の論文は、clinicaltrials.govおよび China/Asia on Demand (CAOD)からも取得された。
ランダム化比較研究(RCT)のみが含まれた。
<結果>
16のRCTが組み入れ基準を満たし、そのうち14がメタ分析に含まれた。解析の結果、従来のNMESと比較した場合、CCFESは以下の効果であった。
■上肢Fugl-Meyer評価(UEFMA)(SMD=0.41、95%CI:0.21、0.62、p値<0.0001、I2=15%、GRADE:中等度)
■箱・ブロックテスト(BBT)(SMD=0.48、95%CI:0.10、0.86、p値=0. 01, I2 = 0%, GRADE: 非常に低い)
■修正バーテル指数(mBI)(SMD = 0.44, 95% CI: 0.16, 0.71, p-value = 0.002, I2 = 0%, GRADE: 中等度)
■活動的可動域(AROM)(SMD = 0. 61、95%CI:0.29、0.94、p値=0.0002、I2=23%、GRADE:中等度)
■表面筋電図(sEMG)スコア(SMD=0.52、95%CI:0.14、0.90、p値=0.008、I2=0%、GRADE:低)
■アクションリサーチアームテスト(ARAT)、腕運動能力検査(AMAT)、下肢の Fugl-Meyer 評価 (LEFMA)では有意差は認めなかった。
※CCFESで使用したセンサーの種類に関するサブグループ分析の結果、EMGB(SMD=0.58、95%CI:0.33、0.84、p値<0.00001、I2=7%)は、曲げ角度センサー(SMD=0.17、95%CI:-0.12、0.45、p値=0.25、I2=0%)よりも有効であった。
限界として、一部のアウトカムでは採択論文が少ないこと、CCFESと非電気刺激療法群との比較をした論文は1件のみで、CCFESの有効性を示すには限界がある、ということ。
<感想・学び>
・重度上肢麻痺のようなCCFESが主な適応となり得る患者には、選択肢の一つとして検討したい。
・従来のNMESとCCFESで起きる麻痺の回復過程にはプロセスが異なる可能性があるとのことで、両側性運動と片側性運動の使い分けというのは考えないといけない。
・上肢運動を行う際に、補助療法の選択に加え、上肢訓練課題として両側性の運動を取り入れるべきかなども深く考察して課題の選択をすることも必要だが、正直今の段階で明確に回答できないため、自分はまだまだ研鑽しないといけない現状である。
今日も最高の一日に。