下肢関節置換術後の疼痛と機能に対する早期介入の特徴:系統的レビュー
Characteristics of Early Interventions for Pain and Function Following Lower Extremity Joint Replacement: Systematic Review
下肢関節置換術後の疼痛と機能に対する早期介入の特徴:系統的レビュー
Isabella Foussell
PMID:35654087
【方法】
・目的
下肢関節置換術(特に股関節全置換術[THR]および膝関節全置換術[TKR])後の疼痛および機能改善のための作業療法が実施できる非薬物的介入の特徴と長期的な効果を評価すること。
・デザイン
ランダム化比較試験(RCT)のみを対象に含め、PRISMAガイドラインに従いレビューを実施
・対象者と基準
18歳以上でTHRまたはTKRを受けた患者を対象。
手術後3か月以内に介入を行い、最低6か月以上のフォローアップを実施している研究を対象に選択。
英語で発表された1995年以降の文献を分析対象。
・検索方法
作業療法関連の非薬物的介入(タスク指向エクササイズ、水中運動、物理療法モダリティ)の特徴を調査。
【結果】
■タスク指向エクササイズ:
目標指向の治療活動や機能的エクササイズ(例:膝や下肢の機能回復運動、活動の教育など)。
股関節全置換術後1年で疼痛(Numerical Rating Scale, NRS)および機能(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index, WOMAC)の改善。
膝関節全置換術後の研究では、運動恐怖症(Tampa Scale for Kinesiophobia, TSK)および健康関連QOL(SF-36)の改善。
比較介入は、通常ケア(筋トレやROM訓練など)、グループ運動、自主トレなど
■水中運動:
水中での歩行、ジャンプ、膝の可動域運動など。膝関節全置換術後6か月間では有意な改善が認められなかった。
比較介入は膝関節の可動域運動、下肢筋力訓練、歩行訓練など
■物理療法モダリティ:
神経筋電気刺激(NMES)など。
膝関節全置換術後の機能改善には寄与したが、疼痛軽減効果は不明。
比較介入は神経筋電気刺激(NMES)などの機器を使用せず、機能的な動作訓練や一般的なリハビリを行うプログラム。
■全体的なエビデンスの質
タスク指向エクササイズに関しては長期的な利益を示すエビデンスがありましたが、水中運動や物理療法モダリティに関する長期的効果のエビデンスは限定的。
【感想、学び】
・作業療法士として、下肢の整形疾患に対し、機能訓練に焦点を当てすぎず、患者の目標や必要とする生活動作に準じた課題指向型訓練を主としての介入の大切さを感じた。
明日も最高の一日に。
※11月21日 追記
SRに採用された論文を見ると撤回されている論文もあり。今回の結果をすべて受け入れるには多少リスクがあるとも判断。上記は初回に本論文を読んだ際の感想だが、今後は慎重に解釈するようにする。