股関節可動域予防策は、後方手術アプローチによる人工股関節置換術後の人工関節脱臼予防に有効か -系統的レビューとメタ分析-

Are hip movement precautions effective in preventing prosthesis dislocation post hip arthroplasty using a posterior surgical approach? A systematic review and meta-analysis
 
股関節可動域予防策は、後方手術アプローチによる人工股関節置換術後の人工関節脱臼予防に有効か -系統的レビューとメタ分析-
 
 
Jacoba Reimert
Kylee J. Lockwood
Raphael Hau
Nicholas F. Taylor
 
・PMID:33190554
 
 
■方法
Research Design(研究デザイン)
・研究タイプ: システマティックレビューおよびメタアナリシス
・評価方法: データベース検索および文献追跡により、運動制限を行った患者と最小制限または制限なしの患者の脱臼率を比較。
・対象者: 後方アプローチで人工股関節置換術(THA)を受けた患者。

・運動制限群: 5440例
・最小制限または制限なし群: 4159例

 
Intervention(介入)
・運動制限群: 股関節の屈曲、内旋、内転を避けるよう指導。
・最小制限または制限なし群: 運動制限を最小限にし、日常生活動作を制限しないよう指導。

 
Comparison(比較群)
・比較対象: 運動制限群と最小制限または制限なし群の股関節脱臼率の比較。

 
 
■結果
・股関節脱臼率: 両群とも脱臼率は2.2%であり、有意差は見られなかった(リスク比=0.98, 95% CI 0.58–1.67)。
・転倒が最も多い脱臼の原因(24%)であり、運動制限の有無に関わらず同様の結果が得られた。
 
■まとめ
股関節運動制限は、後方アプローチを用いたTHA後の脱臼予防には有効でないことが示された。リハビリ資源は、転倒予防戦略などの他の領域に再配分されるべきとの示唆が得られた​。

 
■感想、学び
・過度に動作制限しすぎることは、かえって患者の生活範囲を狭小化してしまう可能性も考えられる。安全面を考えるとリスクを伝え指導することは重要と感じ、それが患者の心理面へ効果を示す可能性もあり、患者によって使い分けることが重要と感じた。また、場合によっては指導後の運動量向上や転倒予防に向けた介入へシフトすることも頭に入れとかないといけないと感じた。
 

今日も最高の一日に

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