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幸せの核に近づくための自分メモ #32

You can dream but don't neglect the execution

J. Cole - "Change"

昔から「浸り癖」「悦に入り癖」「確認癖」があることに、ずっと薄々気づいてはいたが、最近本格的に気づいた。分かりやすい例でいえば受験生の頃。頭の中でいつも勉強法に関する持論を展開していた。普通に考えれば、合格の可能性を高めるのは勉強法に関する持論を頭の中で展開することではなく、その勉強法を寸暇を惜しんで実践することなのだが、そちらのほうは選ばなかった。いい勉強ができると、その日に学んだ内容や身につけた内容ではなく、ただその事実に浸り、悦に入り、その事実をひたすら確認していた。

最近ではキックボクシングであれ筋トレであれ、運動した後にその「浸り癖」「悦に入り癖」「確認癖」は顔を出す。練習中にミット打ちの動画を撮ればそれを飽きるほど見返し、いいトレーニングができればその事実に浸る。あるいは、また頭の中で持論を展開する。「Krush以降のキックボクサーは基本的なムエタイの技術を軽視しがちだが、やはり蹴りをしっかりカットして綺麗に蹴り返せることは現代キックボクシングにおいて重要」だの、「裸足で足の裏を使う運動は筋トレとは別に定期的にやるべき」だの、「やはり身体の迫力を増すにはコンパウンド種目の使用重量を上げていくのが一番」だの。別に考えごとをする時間を長くしたからといって、キックボクシングが強くなるわけでも上手くなるわけでも、筋肥大するわけでもない。それだったら仕某であれ掃除であれ読書であれ動画編集であれ、次にやるべきことにさっさと取りかかったほうが、またジムに行ける時間を捻出できて、それこそキックボクシングが強くなったり上手くなったり筋肥大したりするはずなのだが、そうはしない。やはり浸り、悦に入り、確認する。

しかもこの「浸り癖」「悦に入り癖」「確認癖」、どうやら年々悪化していそうなのだ。たとえば昨年10月に筋トレした回数は8回/月なのに対し、今年10月は3回/月。この減少の理由をすべて「浸り癖」「悦に入り癖」「確認癖」に帰することはできないかもしれないが、少なからずそこに費やしている時間が実際に筋トレするのを邪魔しているのを、身体で感じている。

"Trust the process"という言葉がある。直訳すれば「過程を信頼しろ」。この言葉、ずっと「日々しっかり頑張ろう」くらいのふわっとしたニュアンスで捉えていたのだが、まさに今の自分に必要なものが「過程を信頼する」ことなんじゃないかなと思えてきた。過程をしっかり信じきっていれば、いい練習やトレーニングができた後に、その事実を確認する必要なんてない。そこからまた日常生活に戻って別のことに集中し、次の練習やトレーニングを迎えるだけだ。

2008年からずっと今と同じキックボクシング・ジムに通っている。当時は月曜19時からのビギナークラスを終えると、サンドバッグを少しだけ叩いた後シャワーを浴び、すぐ近くにある飲食店へバイトに向かっていた。浸る時間も悦に入る時間も確認する時間もそれほど無かった。そもそも、日々ミドルキックのフォームを怒られたり苦笑されたりしながら修正していたので、悦に入るもなにもなかった。でも、そういう日々を繰り返した結果として今、キックボクシングをやっている日本人全体の平均よりはかなり綺麗なミドルが蹴れる人になっていると思う。

Trust the process. つい浸ったり確認したりしたくなってしまう過程を、ちゃんと信じてあげよう。

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