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Photo by
kobayashimaki
なんだかんだ温泉は愉しいのだ。【だろう温泉】
ここは秘湯中の秘湯「だろう温泉」。私のような類稀なる温泉評論家には更に貴重な体験となる湯である。ここは群馬と福島か……いや栃木との県境にある小さな温泉地だ。
私の名は井伊桐夫、常に憶測や推量なる物言いを唾棄する者だ。
この湯にしばらく浸かると物事の基準が曖昧になり断定的な物言いができなくなると聞く、が心配無用である。
まず、滑らかな湯は45℃、硫黄と炭酸成分が多く含まれると書いてあった。質は鳴子の東多賀に近いと思わ……いや限りなく近い。山奥ゆえ木々に囲まれ時折鳥の声が響く。四十雀だろ、いや偶に四十雀が混じる。7対3と言った所、うん、きっちり7:3だ。おや、歌声。若い女のよ……女性の声だ。待て、しばらく浸かる、というのは何分以上なのか急に気になったが私はそれを30分と判断する。まだ入って20分、いや待て25分だ。女性の声は透き通り懐かしい響き、懐かしい……
どこで聴いた歌なのだろう……あっ、つい言っちゃった!
(410字)
なんだか考えすぎてよく分からなくなってしまった今回のお題。
たらはかに(田原にか)さんの毎週ショートショートnoteに今回も参加させていただきました。
裏お題の「だろう温泉」、全然思いつかず、結局最初からダラダラ思っていた内容をまとめました。私は決断は早いのですが決断してからウダウダ迷う悪い癖があります。下手な考え休むに然り、だよね。とりあえず何でも書いてみなければ! という言い訳ですがよろしくお願いします。
たらはかにさんの今回のお題のページはこちらです。
自分の参加短編のたまり場はこちらです。