お国再興のチャンス【インドを編む山荘】
滅びた全世界の魂が集う聖なる山の山荘で、全ての人を統べる神が言った。
「国別に、人口の多い所から復活の秘儀を与えよう」と。
インドが進み出ると神は細い二本の棒を差し出し言った。
「編みなさい、国を。まずはインダス川を、それから大地を、歴史を」
次に中国が前に。神は籾の袋を与えた。
「蒔きなさい、国を。芽はやがて民と育つ」
このように神は、次々と国に復活の礎を手渡した。アメリカにはコンパスを、インドネシアには釣り針を、そして、それぞれに御言葉を伝えていく。
いよいよ日本の番になった。日本はうやうやしく前ににじり出た。
神は分厚い絵コンテを渡して「アニメとして作りなさい、国を」そう言った。
日本は絵コンテをぱらぱらとめくり、戸惑いながら問うた。
「そんなんで、いいんですか? 日本はそれで蘇るんですか」
神は重々しい口調で告げる。「ただしひとつ条件があるぞ」
なんですか? 身を乗り出した日本に神は続けた。
「下請けには正当なる代金を払うように」
(410文字)
たらはかに(田原にか)さんの毎週ショートショートnote、今回は裏お題にもチャレンジできました。
裏お題は『インドを編む山荘』山荘感を出すのがことのほか難しいと気づきました。修行が足りませんね。まあ、お楽しみいただければ。
たらはかにさんの9/29のお題募集はこちら。
同企画参加、自作のたまり場はこちら。
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