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Photo by
miniminicar
国家予算の関係で
腕時計を見ると、23時半。
これ以上は逃げきれない、自首ならあと30分しかない。俺は薄暗い路地から交番に目をやる。煌々とした灯りは見えるが人影はない。
中に駆け込んで片隅に隠れていれば、0時までには一旦警官が戻るだろう、そうしたらすぐ自首して留置所にぶち込んでもらえば何とかなる……
今週は警察が機能しているがあと少しで翌週となる。すると隔週警察から、隔週自警団に役割が交代する。
いつもなら、万が一捕まった場合でも法律上の裁きが受けられるように、俺の方も万全の体制で臨んでいた、しかし、今回のヤマは少しばかりデカかった。
昨日までに俺以外は全て逮捕された。関係者が多いから調べは翌々週初めになるだろう、その間に自警団にでもバレれば俺の最期だ。
人影が途絶えた時、物陰から飛び出した、が、背後から殴られ、気づいた時には自警団の黒長靴に囲まれて俺は倒れていた。
腕時計を見ると、23時半で止まっていた。
「街頭に吊るせ」頭上の声が告げた。
(410文字)
ついつい参加してしまう、たらはかに(田原にか)さんのこちらの企画、裏お題でひとつ書けました。よろしくお願いします。
今まで上記に参加した自作集はこちら。