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Overtourism -まじめに考えよう

6千万人を目指す??

昨年の外国人観光客は11月までで3300万を超え、過去最高の2019年の年間累計を上回り、過去最高となったとか。12月もすごそうだから2024年は3600万人とかになるのだろうか・・・。コロナで苦しんだ旅行・観光業界も大盛況。政府としてはまだまだ強気で2030年までに6000万人を目指すことらしい。世界でトップのフランスが1億人(23年)スペイン8500万、アメリカ6600万、イタリア5700万・・なんだからこれくらいの目標設定は当たり前ななのかなぁ・・・

市井の声

京都ローカル餃子屋王将にて

「年末どっか行った?」 「どこも行かんわ、駅伝ずっとみとったわ、どこ行っても高いし。」「そやな、どこもすっかり外人観光客価格になってしもうたな」「ホテルとかもぎょうさん高いらしいなぁ」「なじみの店も値段上がってしもうたし、外人さんも増えたしなぁ」

旅好きの友人とのLINE

「京都そろそろ外人観光客減ってきたかな?冬場1-2月は空いてるかなぁ」「うーん、まぁ中心部はいつも混んでるけど、少し北の方へ行けば人少ないかもよ、詩仙堂とかあまり外人いないんじゃなぃ」「どうかな、最近皆いろいろ調べて来るし・・もっと北じゃなぃ、少し不便な、栂尾とか、静けさを求めるとしたら」「日本人の旅好きは北へ北へか・・・・」
「ところで、福岡はホテル無茶高だよね?」「そう、出張の規定に合わせてたらカプセルになってしまう!」「あのAXXホテルが3万とか、信じられない!」「ダイナミックプライシングもここまでくると、罪やな・・・」

こんなんでいいのかな?

地元の人がお気に入りの場所に行くのをためらうようになり、日本人が静けさを求めて北に追いやられる、こんなんでいいのかな、とふと思う。いわゆる”オーバーツーリズム”だが、メディアが取り上げるのはスポットで発生する迷惑行為が多い。でもさらに根深いのは、外部不経済ともいえる、地元民・自国民へのネガティブなインパクトではないだろうか。また大きな荷物を抱えて、スマホ見ながら動く外国人観光客も、あれで日本を本当に楽しめているのだろうか・・・


観光における戦略とは?

ブータン

だいぶ前の話になるがブータンへ行った。GDPではなく、国民の総幸福度(GNH)を目指すと日本でも話題になった国だ。この国では1970年代に観光客に門戸を開いて以来、”High Value, Low Volume”の戦略を取り、能動的に観光客の人数を抑制してきた。その方法の一つは高額な観光税(2023年には値上がりし、一日一人当たり200ドル!)外貨獲得もあるかもしれないが、それよりも寺院やヒマラヤの自然、人々ののどかな営みを見て欲しいのに、バックパッカーや大勢の観光客は要らないという見地からだ。さらに自然の要衝というか、インドから陸路でも行けるが、空路でのアクセスは世界で最も着陸が難しいとされるパロ空港のみで(ヒマラヤの端の山を回りながら着陸、スリル満点)、その為か飛んでいるエアラインもブータンの航空会社しかない。これもラッキー。おかげでブータンという国をのんびりと楽しむことができたのを覚えている。
これは小さな、日本から比べると貧しい国だけにあてはまる話だろうか。


日本の観光立国戦略とは?

「戦略」とは教科書的に言えば、他者と差別化して、選択と集中で、継続的な優位を築くことなのだろうが、日本に観光立国戦略ってあるんだろうか?「観光立国推進基本計画」(今は第4次)なるものが観光庁から出されていて、インバウンド観光の拡大や国内観光も含め、様々なことが書いてある。持続可能なツーリズムの話にも多岐に触れられている。令和12年にはインバウンド6000万人、消費金額15兆円を目指すとある。計算上は訪日観光客の消費単価を上げるといった目標設定である。
でも日本の市民の視点からの、オーバーツーリズムの深い問題については触れられていない。すそ野が広い、観光業界の活性化が主眼なのだろう。
日本人の気質として、目標を設定したら、皆で頑張って量を追いかけがち。ビジネスで言えば、利益よりまず売上げを追い求めてきた会社が多い。その反面、価格を上げるのはとても苦手。客が逃げるのが怖い、横並びが好き。
日本には様々な観光資源がある、でもそれは地元の人の大事な有形無形の生活資産であることが殆どである。そして、日本の国土は山間部を除くと、とても狭い。魅力的なスポットはあるが、大勢の人が押し寄せるには向かないのだ。
今こそ、本気で観光立国を目指すなら、国民のために、”High Value, Low Volume”のインバウンド観光戦略を作るべきではないのだろうか? 自信をもって、日本に来る価格を上げ、Volumeを抑制し、Valueを上げればいいと思う。それは宿泊税ではなく、ブータンのような直接的に観光税にすれば良いと思う。昨年から富士山の入山料が始まったが、何とたった2000円!どうしてこんなに弱気なんだろう?日本の安売りを止めないといけない。訪日人数が減っても構わない、大事なのは本当に日本を楽しんで貰える訪日客の質と消費額なのだから。

インバウンド6000万人なんて目標が一人歩きして欲しくない、沢山インバウンドが来たと言って、政府に威張ってほしくない。






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