【マーケ海外大生が解説】ナイキの'Just Do It'に学ぶ古典的条件づけ
サマリー
心理学の面白い理論、古典的条件づけについて一緒に学んでみましょう。この理論は、もともと何の意味もなかった刺激が、繰り返しによって特別な反応を引き起こすようになる不思議なプロセスを説明します。パブロフの有名な犬の実験から始まったこの理論が、ナイキの "Just Do It" キャンペーンにどう活かされているか、マーケティングの裏側にある心理学の魔法を探ってみましょう。
1. 古典的条件づけって何?
古典的条件づけは、新しい刺激と反応の関係を学ぶ過程を説明する理論です。キーワードは以下の通り:
無条件刺激:自然に反応を引き起こすもの(例:美味しい匂い)
無条件反応:無条件刺激で自然に起こる反応(例:よだれが出る)
中性刺激:最初は何の反応も引き起こさないもの(例:ベルの音)
条件刺激:学習によって反応を引き起こすようになったもの
条件反応:条件刺激によって引き起こされる学習された反応
2. パブロフの犬の実験 🐶
ロシアの科学者パブロフは、犬の研究中に偶然この現象を発見しました。メトロノームの音(中性刺激)と食べ物(無条件刺激)を一緒に提示し続けると、やがて音だけでよだれが出るようになったのです。
つまり、メトロノームの音という一見、何の意味も持たない刺激が食べ物と交互に提示することで「条件刺激」となり、「無条件刺激」である美味しい匂いと同じ役割を果たすようになったんです!
どこか理解はできるけれど、少し不思議に感じる理論ですよね笑
3. ナイキの "Just Do It" キャンペーン
ナイキの "Just Do It" は、この理論を広告に応用した素晴らしい例です。
「Just Do It」(最初は何の意味もないフレーズ)
ありとあらゆる分野のアスリートの活躍シーン(無条件刺激)
やる気、前向きな気持ち(無条件反応)
これらを組み合わせて繰り返し露出することで、「Just Do It」自体がモチベーションを高めるフレーズになりました。言い換えると、「Just Do It」が条件刺激の役割を果たし、前向きな気持ちを引きおこすことが出来る様になったのです!
5. キャンペーンの効果とナイキの成功
この戦略により、ナイキのブランド認知度と市場シェアは大きく向上しました。"Just Do It" は単なるスローガンを超え、文化的なアイコンとなり、ナイキを世界的なブランドへと押し上げたのです。
実際に2022年5月期の決算では、日本円換算で約6兆円(467億ドル)と2位のアディダス(約3兆円)に2倍以上の差をつけ、圧倒的な世界シェアを誇っています。