【『中島健人Instagram』に見る美しいSNSプロデュース】インフルエンサーの住む夏の家
ジャニーズ事務所所属のタレントさんはSNSをしない、というのは
有名な話でした、その昔は。
最近ではジャニーズ事務所やレコード会社関連のSNSはじめ、
ジャニーズ内のグループや個人のSNSが
けっこう開設されています。
YouTubeもバンバン上がってますし。
時代が変わりましたねぇ。
ジャニーズさんがSNS禁止で、
なんとタレントさんが「インスタ」や「ツイッター」という
SNS名を口にするだけでもダメだった、という
「ジャニーズのタレントはSNSなんて知りません」設定だった時代から、今まで
綿々と続いているのが、
ジャニーズ事務所の有料の会員制ブログサイト
「Johnny’s WEB」。
会員登録をして課金契約をして
初めて閲覧できるシステムの有料コンテンツ。
ここにはジャニーズタレントさんたち個人のブログが詰まっている、という
ジャニオタ&ブロガーには夢のような空間です。
「ええ自分はジャニオタですから」と腹を決めて会員登録し、
毎月クレジットカードの引き落としに
「Johnny’s WEB」(ちなみに月々330円)と記載されるたびに
「そうです私はジャニオタですが⁈」と開き直り、
そして手にする魅惑のジャニーズブログの世界。
ブログの更新頻度はタレントさんそれぞれで、
めったに更新しないからブログアップすれば
Twitterトレンドになるタレントさんから
週に何日かはブログ書いてくれるタレントさん、
グループで交替で書いてるブログ、など
バラエティ豊かです。
中には、タレント活動で忙しいはずなのに
ほぼ毎日ブログを更新してくださる、
ブロガーもびっくりのタレントさんもいらっしゃいます。
■それはJohnny’s WEB会員だけの秘密だった
そのひとつが、驚異の毎日更新でジャニオタに知られる、
SexyZoneの中島健人氏のブログ。
『Ken Tea Time ケンティータイム(通称KTT)』は最近、
毎日更新5周年目を迎えたところ。
5年間ずっと毎日更新って、ブロガーでも偉業よ。
このKTTがまた美しくもマーケティング力の高いブログなのです。
つい最近までタレント本人の写真さえ載せるのを禁止されていた、
規制の多いこの有料会員制ブログサイトを
知恵と工夫と勇気で使いこなし、
会員制サイトの城の中での発信を
Twitterでトレンドに乗せるという離れ業をこなします。
なんという見事なフライングよ(スタート早いほうじゃなくて舞台で飛ぶほう)。
その素晴らしいブログを日々拝見するのが
楽しみではありますが、
何しろ会員制有料コンテンツなので
内容をいっさい他言できません。
このブログの素晴らしさを
自分のブログ記事で縷々述べようにも、
いっさい内容を明かせないので
「全文妄想してください」みたいなブログ記事になります。
(実際そんな妄想ブログになりました。)
そこはちょっともどかしいのですが、
それもJohnny’s WEBに覚悟を決めて登録した者だけが
見ることが出来る至福よ、と
内心思ってたのも事実です。
■ケンティーのInstagram開設
そこへ、今年(2021年)5月、
TVドラマのいわゆる「夏クール」で
中島健人氏が主演のドラマ
「彼女はキレイだった」が始まる1ヶ月前、
健人氏…ケンティーのドラマ中の役名「長谷部宗介」名義で
Instagramが開設されました。
ドラマ番宣用、という規制はあるようですが、
外部SNSである、しかもInstagramで
ケンティーがアカウントを持つ、というのは
「よく事務所が許したなぁ!」とびっくりしました。
それ以前にも、SNSを個人で開設している
ジャニーズタレントはいらっしゃるので
あり得ないことではないです。
ですが、ジャニーズタレントの「SNSなんて知りません」設定を
とうの昔にKTTでぶった斬っているケンティーに
本物のInstagramを渡せば、
おそらくジャニーズ事務所の誰よりも
SNSを研究してきたケンティーが
即座に使い倒すのは想像できます。
タレントさんを大事になさる事務所の
「この子にSNSという刃物を持たせると
すぐにいろいろ使いたがって危ないのでは?」という親心で、
ケンティーはSNS持たせてもらえないのかな…などと
私はいちブロガーとして推測していたのです。
実際、SNSは情報の刃物にもなり得るので、
刺しはしなくとも刺される可能性だってあります。
私も、長いことWEBやSNSをしてるブロガーなので
「ケンティーほどのタレントさんが無防備にSNSやって大丈夫かな?」と
ちょっとは心配しました。
Instagramを使うことに関しては、
それこそKTTですでにハッシュタグを使いこなし、
写真・画像加工・動画もお手のものなので
運転は相当上手いだろうと予測できました。
ただ、「Johnny’s WEB」の城の中でのそれは
私有地内で車を走らせるようなもの。
それがInstagramとなると一般道です。
車の窓越しに通行人も声をかけてくる世界。
だから中島健人Instagramとは言っても
実際はSNS運営者がいるんだろうな、とか
コメント欄は開けないんじゃないかな、とか
思ってました。
■芸能人がSNSを持つということ
実際に動き出したケンティーのSNSは
コメント欄は開放で、
ご自分でもドラマのInstagramにコメントを打ちに行ってます。
初めは初歩的なアップミスがあったりして
「本当に本人が一からインスタの操作覚えてるのか!」と
ちょっと感動したものです。
会社に原稿を預けてアップしてもらうらしいJohnny’s WEBのシステムとは違うので、
予約投稿が出来ないInstagramのほうは
深夜更新があったりするのも、
「社会人のインスタって、どうしても深夜投稿になりがちなんだよねぇ」と
微笑ましかったです。
けっこう早い時期にインスタLIVEもなさったし、
リール動画もすぐに上がってました。
目に付きやすいリールのアップが早かったのは
やはりKTTで腕を上げてたからでしょう。
Instagram名物の、
タイムラインの9分割写真。
KTTでもリニューアル後すぐに試みてらっしゃったのがこれ。
本物のインスタでの9分割も
憧れだったんだろうなぁ。
私たち一般市民が、インスタアカウントさえ作れば
当たり前にしていることなのに。
思えば、一般市民だって
生まれつき情報社会に慣れてるわけではなく、
初めはおそるおそるSNSを開設して
ネットコミュニケーションに悩みながら
自分のアカウントを動かしてきたわけです。
これだけ情報社会になった今、
SNSやWEBはどうしても避けられません。
「炎上する」「いじめが出る」と
親世代に心配されながら、
「SNSという刃物」を握って
なんとか上手く、自分の生活や社会に役立つように
使いこなせないものか、と
試行錯誤しているのが現代人というもの。
これが芸能人やタレントさんの場合、
そのネットコミュニケーションが
途方もない大波でSNSに押し寄せてきます。
それがメリットとなるのか、デメリットとなるのか。
メリットとしては、芸能人本人が
自分の言葉や表現を直接
ファンや世の中に投げられること。
プロモーションとしては、韓国のボーイズグループBTSが
SNSを上手く使っていることが知られています。
デメリットとしてよく言われるのが、
一般人との距離が近くなりすぎること。
上の例のBTSでも最近、ファンが自主的な応援活動をしようと暴走したため
中国政府にファンクラブSNSを閉鎖されています。
表現手段の一つとはいえ、
現在のSNSは諸刃の剣です。
大事なタレントさんを扱う事務所さんの身なら、
波にさらわれるくらいなら城の中に戻した方がいい、と
判断される場合もあるでしょう。
■そして、現在のケンティーInstagram
ケンティーのInstagram開設は5月末。
そこから丸3ヶ月。
フォロワー数は52万人を超え、
1記事のコメント数も2〜3000。
かなりの大船サイズのInstagramになっています。
番組関連の、トーンを揃えた写真が並ぶタイムライン。
共演者さんとのやり取りやオリジナルの動画。
開設当初と比べると、この3ヶ月で
アカウントに本人の名義が入ったり
役名だけど何となくケンティー感漂う私信が
ちょこっと混ざってみたり、
せっせと部屋を作った形跡が見て取れます。
その間、実家のJohnny’s WEBは、というと
驚くことにKTTの毎日更新は
相変わらず続いていて、
こちらはケンティーの「プライベート日記」色が強くなってます。
以前はKTTで全てしていたプロモーションのうち
ドラマ関連のプロモーションが
ほぼすべてInstagramに回ったので、
それ以外がKTT、という感じですね。
そもそも、インスタ開設時になんらかの打ち合わせがあったのか
それともケンティー自身の方針なのか、
Instagramは徹底してドラマの役名です。
更新内容も動画もすべて
「ドラマの主人公」の完全なりきりで
ドラマ放映開始の1ヶ月前から
投稿がスタートしています。
Instagramはケンティー本人、中島健人名義が
明記してありますし、
インスタを見に来るほうも「これはケンティーのインスタだ」と
当たり前のように分かっています。
そのうえであえて「ドラマの役名なりきり」の
Instagramがあるわけです。
ケンティーが会員制有料サイトを工夫し続けて
「城の中」のブログを外の世に知らしめたこと、
またその手段として「ハッシュタグ」という
InstagramやTwitter特有の情報共有方法を使い、
知恵と根性でSNSに手を伸ばしてきた
その研究と成果を
自分が出演するドラマのプロモーションとして
活かそうとする試みが、
このInstagramなのですね。
■SNSの徹底した「利他」使い
会員制有料サイトでハッシュタグを使う、という斬新な方法で
KTTは外のSNSのファン(主にTwitter界)と共鳴してきました。
ここで、ドラマのおかげで
ケンティーがInstagramを動かす権利を得たとき、
一番喜んだのはファンだったと思います。
Instagramという「一般人も立ち寄れるフィールド」に
ケンティーが来た!というのはもちろん、
すでにネット界で「インフルエンサー」であるケンティーが
インフルエンスの現代の武器であるところのSNSを持たずに
素手で戦っていることに、
長年「なんで?」とファンは思ってたんじゃないでしょうか。
少なくとも私は思ってました。
なぜ、ジャニーズ屈指のネットインフルエンサーに
SNSを持たせないのか?と。
KTTですでに見事な美しいブログマーケティングを構築し、
ファン・関係する仕事先・自らのタレント性の
Win-Win-Winを確立する、という
ビジネスブロガー顔負けの「三方良し」を
一日欠かさぬブログで積み上げてきた名手が、
SNSを自分の利害だけで使うわけがありません。
実際に、思いがけず手にしたInstagramを
やっと外で会えたファンにコメント開放し
ドラマのスピンオフSNSとして話題を集め、
会員制有料ブログに登録しなくとも立ち寄れるような「ドラマの宗介氏の住所by中島健人」を
一般に向けて作るために使われてきました。
もちろん、そもそも表現者さんなので
Instagramを表現手段と発表の場として
楽しんでるのは本人得だと思います。
しかし、それもあくまで
「ドラマプロモーション」に表現を限定。
ここまでストイックにSNSを自己管理できる
SNS発信者って、なかなかいません。
「SNSという諸刃の剣を持っても大丈夫か?」という心配など、
長年とっくにプロの「インフルエンサー」をしてきた相手に対して
愚問だったのかもしれません。
■発信者としてケンティーInstagramに思う
私などはついついブロガー目線で
KTTやInstagramを見てしまうクチですが、
自分もSNSを、特にInstagramの発信をしている方々は
ケンティーInstagramでの共演者さんとのやり取りや
動画のコラボ等を見て
「よかったねぇ」としみじみ思っているのではないでしょうか。
ネット発信者にとって辛いのは、
自分の発信が人に届かないこと。
KTTはハッシュタグでTwitterの反応が集められる仕組みが出来ていますし、
「Johnny’s WEB」も設定によっては
コメントありにすることもできるようなので
今までも、Johnny’s WEBやKTTが
まったくの一方通行だったわけではない、と
思います。
それでも、初めてSNSで
ファンが直接書き込むコメントが
リアルタイムで増えていくのを見ることや、
共演者さんと直接SNS同士でやり取りするのが
どんなに胸踊ることか、と
同じネット発信者として推測せずにはいられません。
今まで、KTTからファンに託して
やっとこさTwitterに乗っかったハッシュタグが、
Instagramで自分の手で打った途端に
ハッシュタグフィードに載るわけです。
Instagramにはインスタ特有のハッシュタグがあって、
いわばインスタ世界の言語のようなものなのですが、
画像とそんなハッシュタグを使えば、
言葉や国境を超えてハッシュタグフィードに
集まれる仕組みになっています。
#OOTD(Outfit Of The Day、今日のコーデ)という
世界的に使用者の多い
Instagram特有のタグがあるのですが、
それがケンティーインスタの投稿で使われた時、
私はちょっと泣きそうでしたわ。
ああ、彼はやっとインフルエンサーの現場に立ったんだなぁ、と。
KTTを「こんなに見事なブログなのに
囲いの中で書いた端から消えていくのは惜しい」と
思っていた見ていた私は、
「このインフルエンサーが現場に出たらどうなるのか」を見てみたいと
ずっと願っていたのだと思います。
ファンかどうかというよりは、いちブロガーとして。
■夏の終わり、インフルエンサーの家を眺める
一方で「Instagramができて良かったなぁ」と思って見てるのは、
実家KTTの「日記感」が増したこと。
プロモーションがInstagramに移行していたため、
ケンティーブログのマーケティングの巧みさとは別に存在していた
写真と文章の「随筆感」が、
KTTでほっこりと現れるようになったと感じます。
Johnny’s WEBにタレント写真が掲載されなかった頃からも
おそらく膨大な量撮り溜められている、日々の写真。
帰着する結論を特に持たないような、日常の呟き。
そういうスッピン状態はWEBの会員さんだけだぞ♪というオフ気分が
KTTにあるので、
誰でも見られるInstagramがあるにも関わらず
有料コンテンツの価値を落とさない、というのが
本当にすごいところです。
ということは、ドラマの放送期間が終わって
(実際に数日後にドラマの最終回が放送されるのですが)
Instagramがドラマのプロモーションの役割を
終えた後も、
このInstagramがインフルエンサー・ケンティーの関わる仕事の
プロモーション基地として
有効活用できる可能性がある、ということです。
プロモーションのInstagramと
秘密基地的なKTTを役割分担させることによって
SNSと有料コンテンツの利害は被りませんし、
発信においてストイックなプロデュース管理を実行してきたケンティーなら
発信媒体2本の管理は可能でしょう。
ただ本業がタレント業なので、忙しいとは思いますし
ご本人や事務所の意向もあろうかと思いますが。
もっとも、そもそもドラマの放送のために
特別に開設されたInstagramのはずなので、
放送終了と同時にインスタも閉じる、という契約に
なっているかもしれません。
ドラマ名目で集まったフォロワーに
個人運営で発信することはできないから
ドラマと一緒に終わる、と。
それならば、この夏にふいにあらわれた
「ケンティーInstagram」は
いわば、夏休みの間だけお客がやって来た
田舎の別荘のようなもの。
夏が終わって、その建物からお客が帰ったあと
「そういえばあの夏、あの家が賑わっていたなぁ」と
私たちは時々、思い出すのだと思います。
でも、何かのいきさつで
「この家もらったんで」と言いながら
壁に色を塗るケンティーを見かけることが出来たら、
何しろSNS名手のお家になるので
そこにこれからどんな出会いがあって
どんなチャンスが直接ドアを叩くんだろうか、と。
インフルエンサーが、SNSに住んだ夏。
SNS界を歩けば通りかかることが出来る、という
ブロガー冥利に尽きる幸せが
この先も続けば、と
ちょっと、願ってしまうのです。
(9/13追記)
肝心の情報を載せ忘れてました…。
そのケンティーのInstagramはこちら。