映画館で起きた、悲劇。
私は映画館で映画の鑑賞をするのが好きだ。
もちろん、家で自分のペースで映画鑑賞をするのも好きだけれど映画館のあの大きなスクリーンから生み出される臨場感と大音量のBGMが織りなす”この身が作品の中に溶けていく感じ”には代えられない。
好きな監督の作品や予告で気になった作品はできる限り初日の一番最初の回に観に行くようにしている。
たいてい平日の朝イチで子どもも少ないし、何ならお客さんも土日に比べて少ない。
また、朝早いので大体その作品に対する期待値が高く愛が深い人(所謂ガチ勢)が多い。
そういう理由で今日もある作品の初日の一番最初の回に行ってきた。
鬼になった妹を人間に戻すために頑張る少年のアニメだ。
私はこの作品がすごく好きでこれまでの放送回も何周もしているし原作の漫画も何度も読み直している。
今回の映画では推しの一人がメインだったので特に楽しみにしていた。
チケットは2日前にオンラインで購入した。
その時点で後ろのほうの座席はちらほらと埋まっており、私は一番後ろの列の真ん中が好きなのだがそこも埋まっていた。
朝イチの回ということもあり、劇場の中でも中くらいのシアターでの上映だったのでシアターの後ろ半分の座席は結構埋まっていた。
しかしここは大きいとはいえ九州の映画館。
東京の真ん中の映画館に比べるとそんなに人は多くないと思う。
私の感覚では(多いな)と思うが、グループとグループの間に空き座席があったり一人客の両隣は空いている、という程度ではあった。
私は母と妹と3人だったのでスクリーンに向かって一番後ろの通路を挟んだ左端4席のうちの3席を予約した。
で、今日である。
朝早かったのもあり(何度目だよ)、通勤ラッシュにのまれ、結構ぎりぎりに劇場についた。
大体10分前からシアターに入れるんだが、もう入場が始まっていた。
見た感じは一人で来ている大人が多く、子どもはいないと思っていた。
しかし。
映画が半分くらいまで来た頃。
映画の中の主人公の泣き声と一緒に子供の泣き声が聞こえるではないか。
最初は本当に映画の演出かと思っていたが、子どもの泣き声が入るシーンなんてアニメではなかった。
話が進んでもはや泣くシーンではなくなったがまだ聞こえる。
何ならぐずっている。
その声は映画の音声が聞こえなくなるほどではないものの「なんかちょっと気になる」くらいの音量だった。
暗い中よくよく見ればシアターの中央部の座席通路側に金髪の若めのお母さんが隣に座る3歳くらいの女の子を何とかあやそうとしていた。
(なかなか泣き止まないな…、まあ、まだ泣くようなら外に出るだろう。)
と思っていたが一向に外に出る気配はなく子どもはぐずり続けた。
映画のほうでは場面は変わり刀鍛冶の人がトンカントンカンやり始めたが、子どもはまだぐずっている。
お母さんは何をしているんだろう、と母親のほうを見ればその腕の中にはまだ幼児くらいの別の子供もいた。
(え、ここに乳児もつれて来てんの!?)
とびっくりしていたが幸い(?)なことにその赤ちゃんは始終泣く事は無かった。
閑話休題。
未だにぐずり続ける子ども。
ちょっと迷惑そうにざわつくその後ろの席の人たち。
――と、その時子どもが席を立った!そして歩き出した!
(まじか…おいおい、母親何してんだー!)
――しかし、母親!軽くたしなめただけだ―!そのまま映画を見続ける!
そのまま子供は最後までぐずり続け、母親は一度も席を離れる事は無かった。
映画の音が聞こえなくなるほどではなかったとはいえ、映画後半ずっと子どもの泣き声がBGMである。
映画が終わり、最後に一目母親の顔を見てやろうと席を立って驚いた。
子どもは全部で4人いたのだ。
母親一人と子どもが乳児を合わせて4人。
母親は一人で子どもを4人連れて来ていた。
しかし、ここで私は(子ども4人もいたんじゃ仕方ないよね)なんて思える聖人ではないのである。
私はこの映画を見るために時間もお金もかけているのである。
また、前々から楽しみにしていて初日の初回を選んだのだ。
結局映画館のスタッフの人に言って払い戻しをしてもらった。
これを読んだ人の中には「映画の上映中にスタッフに言えばよかったのでは?」と思う方もいるだろう。
しかし私は今回の映画を本当に楽しみにしていて一瞬たりとも見逃したくなかったのである。
加えて座席がそんなに近くなかったためその親子の真後ろや真ん前に座っていた方々よりも気になりにくかったという点がある。
もし真後ろや真ん前ん居座っていて映画に集中できないほどであったら即座にスタッフに言いに席を立っていただろう。
さて、結局何が言いたいかというと、
「子育てをしていることがすべて免罪符になるわけではない」ということだ。
昨今では「ベビーカーを押していたら通りすがりに蹴られた」とか「子供がうるさいと暴言を吐かれた」とかいうニュースが多い。
もちろん蹴った人や暴言を吐いた人が悪いが、母親が全く悪くなかったのかといえばそうでもないことも多いような気がする。
私はまだ子供もいないし結婚もしていないから母親の気持ちはわからないけれど、人通りが多い土日の繁華街で狭い道をベビーカーを押しながら歩きスマホをしてテレテレ歩いている母親を見たりすると蹴りたくなる気持ちもわかる。(私は蹴らないけど、不快な気持ちはする)
子どもがうるさい、と言われる件についても子供がいかに騒いだり走り回ったりしていようと注意をしない親も結構いる。
注意をしないという親の責任を放棄した親に対しては、そりゃ暴言も吐きたくなるだろう。
今日の映画館での出来事だって、子供連れで来るなら子供がぐずらないよう飴を持ってきたり、ぐずったら外に連れ出すなどの工夫や行動が必要だったと思う。
これは私の想像だがきっとあの母親は今回の作品の熱心なファンで子どもはそうでもなかったのかもしれない。
もともとアニメだって深夜帯に放送されるようなもので私はいまだになぜその作品が小学校低学年の子や幼児の年代まで広がり流行っているのかわからない。
残酷な描写も多く、私が親だったら子どもには見せない。
今回の作品だって「PG12」の区分がされている。
さらに私が言った映画館はユナイテッドシネマだったがそもそもこんな決まりがあった。
私が今回鑑賞した作品には「3歳未満入場可」のマークは無かった。
だから本来であればあの母親が乳児を連れて入場しようとした時点でスタッフは入場を断らなければならなかったのだ。
結果的に乳児がどうこうする事は無かったが、結局連れている子どもが周りに迷惑をかけたのだ。
今回の出来事で感じたのは、「『子供が少なくなり子育てしにくい時代になった』というが、親が親の責任を果たしていない場面も多くあるし、責められて当然だという行動をする親子も存在している」ということである。
ニュース記事になるような、子連れの親が責められる場面はこの世の中にたくさんあると思うしその親がすべて責任のない親だとは思わない。
しかし、「子育てしてるんだからちょっとくらい我慢してよね」と周りに迷惑をかけるのはお門違いだと思う。
子どもも子育ても免罪符じゃない。
大変だと思う。
だけど、周りに迷惑をかけないように子供に言い聞かせ、もし迷惑をかけてしまったのなら謝ってそれ以上迷惑をかけないように行動するのが親の責任ではないだろうか。
と、思う今日この頃であった。
ちなみに映画は予想通り、いや、予想をずっと超えて面白かった。
ぜひシリーズの最後までアニメ化映画化してほしい。
4月からのアニメも楽しみにしている。