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外遊びがからだづくりに!?

 みなさんは、「幼児期までに獲得しておきたい36の動作」という言葉をご存じですか?36という数字は研究者によって異なってきますが、幼児期のうちに経験して獲得しておきたい動きを指す言葉です。
 どうやら幼児期においては『遊びを中心とする身体活動を十分に行うことは、多様な動きを身に付けるだけでなく、心肺機能や骨形成にも寄与するなど、生涯にわたって健康を維持したり、何事にも 積極的に取り組む意欲を育んだりするなど、豊かな人生を送るための基盤づくりとなる』そうです。(H24 年文部科学省幼児期運動指針策定委員会より)

 今日はこの幼児期までに獲得しておきたい動作について検討してみたいと思います。

なぜ幼児期なの?

 実はまだ身体の小さい幼児期は運動能力だけでなく、言語能力や数学的能力や絶対音感などや様々なチカラを獲得していくのに有効な時期と考えられています。
 文部科学省が出している幼児期運動指針のパンフレットによると「幼児期は運動機能が急速に発達し、多様 動きを身に付けやすい時期です。この時期に体をたくさん動かすと、普段の生活で必要な動きをはじめ、とっさの時に身を守る動きや 将来的にスポーツに結び付く動きなど、多様な動きを身に付けやすくなります。」とあります。
 もっと詳細な文書では、「幼児期の運動は、体に過剰な負担が生じることのない発達の特性に応じた遊びを中心に展開することで、無理なく多様な動きを身に付けることができます。」とも。
要は身体をつくるのにゴールデンタイムということです。


たくさん遊ぶことが運動機能の発達に近道。

 遊びと一口に言っても、遊びのバリエーションは無限大です。「鬼ごっこ」や「中当て」と呼ばれるようなみんながよく知っているものから、広~い草原を全力で走り回ったり、転がりまわったりなど遊びには名前すらなく、その場の人たちで創り出したものまで幅広くあります。

 このような無数の遊びを夢中になって行う経験が結果的に獲得すべき多様な動きにつながると考えられています。
 ルールがあるような遊びにもその場で創り出した遊びにも、生み出される動きにたくさんの運動要素が詰まっているということでもありますね。


 ちなみに、世界でも遊びや運動の重要性が認められており、主要な国ではガイドラインを作り身体運動の促進を図っています。遊びが子どもたちを成長させてくれるという考え方は世界の常識なようです。
、、、ちなみに日本も1日に60分以上の身体を動かす時間を取りましょう!と掲げていますが、日本では約4割の子どもたちが60分未満となかなか厳しい結果でした。
みなさんのお子さんはいかがですか?

遊びの中にきっとある、「36の動作」

(引用)山梨学院教授 中村和彦著:「運動神経が良くなる本」

 身につけておきたい動作については様々な大学の先生がまとめてくれていますが、今日はその中でもわかりやすく絵でまとめているものをピックアップ。
 1日ですべてを経験することはなかなか難しいですが、年間を通して外遊びに出かけてみると意外にも獲得しやすいかもしれません。
 しかし、これらの動きはトレーニングのように何度も同じことを高頻度で行ったり、強度が高過ぎたりすると特定の部位にストレスが加わるため結果として怪我につながるそうです。「できてもできなくとも」くらいの気持ちでバランスよく楽しく経験させてあげることがよいそうです。

自然遊び流、36の動作

 ではここで、実際にこの動作を遊びの中に置き換えるとどうなるのか具体的にしてみました。
 ひの社会教育センターは、幼児期だと「森のようちえん」、小学生以上になると子ども会ぽけっとやひの自然学校」という形で様々な自然をフィールドとした外遊びへ出かけます。今回はその中でも幼児期を対象としている森のようちえんの活動を例にとってみました。
この表を作って感じたことですが、もしかしたら、これらの動作は自然の中へ出かけると自然が生み出してくれた起伏や土地によって、そこで過ごすだけでも楽しく獲得されていくかもしれません。

どうしても「こぐ」という動きだけは見つからず・・・
しかし自然はほとんどの動きを網羅してくれそうです。


仲間がいると楽しさ倍増、動きも増える?

 1人遊ぶのも楽しいですが、遊びには仲間が増えると遊びに奥ゆきや深さができてます。事実、活動の中でも1人で遊ぶから獲得できる動きと仲間と一緒だからこそ獲得できる動きがあります。例えば「引く」という動作では、相手がいるからこその駆け引きが楽しめますし、「渡す」という動作では、相手がいるからこそモノを運ぶ意味が出てきます。

一人でじっくりと遊ぶ経験も仲間と一緒に遊ぶ経験もどちらも大切ですね。


まとめ

 様々な動きに触れることが結果的に将来の身体を形作りだします。幼少期だからこそ実体験の中で獲得できる動きが生涯にわたっての基盤となるようです。またどうやら子どもたちが「楽しい!」「もっとやりたい」と思ったり「熱中できる体験」が遊びの中で多ければ多いほど、子どもの遊びの時間を伸ばし、結果的に運動の時間も伸びていくようです。
 遊びの中での他者との関わりでコミュニケーションをとりながら強調する社会性を身につけたり、仲間と折衝を重ねる中で遊びに質的な変化を持たせていくなかで豊かな創造力を育むこともできます。

ちなみに「幼児期における運動の意義」という題で文部科学省では遊びを運動ととらえ以下のような価値があるとまとめています。
(1) 体力・運動能力の向上
(2)健康的な体の育成
(3)意欲的な心の育成
(4)社会適応力の発達
(5)認知的能力の発達

まさに遊びは学び、成長するための宝箱ですね!


さぁ、外へ出かけてみよう!

 いかがでしたか?ここまで読んでいただいた方はきっと身体を動かすのも悪くないな~と思っていただいたはず。
 ちょうど東京は春になり、外で過ごすのも心地よい時期となりました。
森までいかずともきっと街中にはたくさんの公園や自然があります。
 子どもたちがちょっと走り回れるような場所を見つけ連れ出してあげることも我々大人の役割なのかもしれません。

ひの自然学校 ブランドバリューマネジャー
井上(えっぴ)

【参考文献】
文部科学省H24 幼児期運動指針ガイドブック
山梨学院教授 中村和彦著:「運動神経が良くなる本」


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