地球にやさしいアウトドアスタイル-山の中のトイレ編-
登山やハイキングをしたことがある人の中には、急な便意に襲われたことがある人も少なくないはず…。ショッピングセンターや整備された公園のように公共トイレがあれば問題ありませんが、山の中となるとトイレの場所には限りがあります。
我々ひの自然学校では、年間を通じて登山やハイキングのプログラムを実施していますが、今回はその活動で実践している山の中でのトイレについて紹介します。
①大前提のお話!
まず大前提のお話として伝えておかなければならないのが、今回紹介する「緊急トイレ」の手法は“最後の砦”であるということです。というのも、山の中で用を足すという行為自体が多かれ少なかれ自然に影響を与えるからです。ではどうすればいいのか…。
1、事前の計画で確認する
登山やハイキングの山行計画をする段階で、登山地図や最近のガイドブックからトイレ情報を確認しておきましょう。どこにトイレがあり、いつそのトイレにたどり着くことができるのか、事前に確認しておくことでトイレ計画をたてることもできます。
2、事前にトイレに行っておく
登山やハイキングをする際、多くの場合、その登山口や山小屋付近にトイレがあります。山行前や行動を開始する前には必ずトイレに寄っておきましょう。山行中のトイレトラブルの可能性をグンと下げてくれるはずです。
3、携帯トイレを準備する
事前の計画の段階で、ルートの途中や山頂にトイレがないとわかっている場合は、携帯トイレを準備しておきましょう。お持ち帰りしてしまえば、自然への影響はゼロです。
しかしながら、どんなに準備周到にしていても“その時”はいつやってくるかわかりませんし、状況によっては物を持ち帰ることが相応しくないこともあります。そのような場合、“最後の砦”として、この「緊急トイレ」を実践してもらえればと思います。(山の中でのトイレを推奨しているものではありません。)
②緊急トイレに必要なもの
ひの自然学校では、子どもたちとの活動で山の中に入る際に以下のものを準備して山行に臨みます👇
トイレットペーパー
ウエットティッシュ
ミニシャベル
アルコールスプレー
ジップロック(中身を見せないポリ袋と組み合わせたもの)
③「緊急トイレ」の仕方
1、「緊急トイレ」に相応しい場所を見つける
「緊急トイレ」をする際に、最も大切なことが場所選び。まずは水源・トレイル(登山道)からなるべく離れることが大切です。共に60m以上離れることが理想とされていますが、場所により60mも離れると急坂や崖になってしまう可能性があります。安全とプライバシーも考慮しつつ、なるべく水源・トレイルから距離を置きましょう。トレイルから離れることは、次の登山者が野生動物たちとの不要な遭遇を防ぐのにも繋がります。
2、穴を掘る
用を足すための穴を掘ります。地質的に微生物が多く生息している黒土の場所を深さ20㎝程度掘りましょう。20㎝程度掘ることで、分解を早めるのと同時に、野生動物たちが臭いを嗅ぎつけて掘り起こすことを防ぎます。使ったトイレットペーパーは臭いを防ぐために密封性のある袋に入れて、原則お持ち帰りしましょう。
3、土と便を混ぜ攪拌する
用を足したら、掘り起こした土を少々被せ、周りに落ちている木の枝などで攪拌させます。こうすることによって便の分解を促進させることができます。万が一、トイレットペーパーも捨てて行かなければならない場合は、ペーパーも一緒に攪拌しましょう。
4、マーキングをする
攪拌で使った枝をそのままにして、地上から飛び出るように穴を埋めます。こうすることによって次に来た人に便が埋まっていることを知らせることができます。良いトイレは他の人にとっても良いトイレですから、その周辺はトイレとして選択される可能性が高いということです。他の人に誤って掘り起こさせないようにするために大切な一手です。
今回紹介した「緊急トイレ」は、ひの社会教育センターでも度々登場しているLeave No Traceが伝えるテクニックです。紅葉シーズンでアウトドアに入る際に是非とも参考にしてもらえればと思います!
今回のテクニックはLNTJの公式YouTubeにてアップされています👇
ひの自然学校サステナブル レスポンシビリティマネージャー
若泉わか