東南アジア最高峰に子どもたちと登る③「Day2-頂上へ!そして下山」
今年の夏に中学生~大学生のメンバー10名と東南アジア最高峰と呼ばれる「キナバル山」へ挑んできました。その標高4,095m!富士山より高く、いわゆる高所登山と呼ばれる領域です。日本に住んでいるだけではめぐり合わない高さの場所です。
今回は3部に分けて子どもたちとキナバル山へ出かけるための戦略や準備~当日の様子をレポします!(第3回)
過去の記事はコチラ
朝…というより夜中の出発!そのワケは…。
そろそろ寝付けたかな…と思った1:45、キナバル山小屋の起床時間がやってきました。2:00には食堂で用意された簡易朝食(パンや軽食、コーヒー、紅茶)をいただき、2:30には山小屋を出発します。なんつぅ早さなのでしょう…。聞くところによると、ご来光を山頂で拝むため…という日本人ぽい理由だけではないようです。
キナバル山では、3,500m付近にあるチェックポイントと呼ばれるゲートがあり、5:30までにそこを通過しないとゲートより山頂部への登山が許可されないリミットがあります。確かに、ゲートより上部は花崗岩の露岩帯で、悪天候時に避難する場所もありません。標高が高く午後に発雷リスクが高い地形的特徴のある山のリスクマネジメントとしてはなるほど合理的な対策であるように思います。しかし、山小屋宿泊者しか原則登山が許可されないため、概ね150人前後がこのゲート目指して一斉に動き始めるのです。当然渋滞になります。そのため我先にと動き始めるわけです。
ここから先は森林限界を超え、豪快な岩肌が姿を見せるルートをたどります。徐々に明るくなるにつれそのダイナミックさや、山麓に広がる町の夜景、雲海、星々…あらゆる美しい景色にパワーをもらいながら進みます。なんとか5:30の関門も通過できました。
しかしこの時点ですでに3,500m、ほぼ富士山頂に近い標高で、キナバルはそこからさらに300m以上標高を上げます。当然高山病のリスクがあるわけです。メンバーもちらほら頭痛ね眠気など高山病の初期症状が出始めている人もいましたが、慎重に観察をしたりしながら乗り越えることができ、7:05無事に全員が東南アジア最高峰のキナバル山(4,095m)への登頂を果たしました!Conglatulations!!!
登山ツアーの安心サポーター、山岳医の存在
今回、この旅をするにあたり国際山岳医の稲田医師に協力を依頼しました。稲田医師は「山岳医療サポート事務所」を運営しており、このような高所登山や山岳ツアーなどへの帯同のほか、講習や教育活動などを通じた山岳医療のプロによるサポートを提供しています。
キナバル山では、事前学習で子どもたちへ高山病のメカニズムや予防法、対処法などを教えてもらい、現場では医師の視点で登山可否の判断や持参の鎮痛薬などの使用に関するアドバイス、指導などをしてもらいました。
山岳活動や登山を含むプログラム、まして海外での登山活動などに相談やサポートしてもらえる医師のホットラインはリスクマネジメントにも大変有益でした。詳細のリンクは↓
山頂の喜びもつかの間…
さて、山頂について写真を撮ったのちは、次のタイムリミットに向けて下山が始まります。まずは宿泊した山小屋へ。なんとチェックアウトは10:00でそれまでは部屋に荷物を置いておける&豪華なビュッフェの朝ごはんを食べることができるのです。登頂後の喜びにこの食事が沁みること…。しかし、時間をオーバーすると延長料金がかかります。そのため必死にまずは山小屋まで下山するわけです。
その次は、登山口のゲートまで。行きと同じ道を6km下ります。この日は終日ほぼ雨だったのと標高下げるほど強くなる雨をカッパで受けながら黙々と下ります。この山はガイドさんと一緒に行動しますが、16:00を過ぎると「残業代」がかかるのです。
無事に下山をした人たちへ、キナバル国立公園からの嬉しいご褒美までGETし今回の登山は終わりました。
準備から当日までのレポートを読んでいただきました。トレッキングスタイルで登れる高所登山、中学生でもチャレンジできる海外登山の記録でした。なかなか同世代で「海外の最高峰登ってきた」という友達もいないのではないでしょうか。(笑)いつかこの経験が、強力な自信となってメンバーの人生を豊かにする時間であることを願っています。
ひの自然学校 寺田まめた