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訪問先:ソーシャルダイニング②

『美味しいを共有するのは嬉しいこと』粟澤 稚富美

デンマークに着いて二日目の夜、ソーシャルダイニングで食事をしました。
私自身、乳幼児親子の交流を目的としたランチカフェを運営していることや、
以前、「日本の子ども食堂はデンマークのソーシャルダイニングに似ている」という記事を読んだことがあったので、とても楽しみにしていた場所です。

建物は以前は税関所だったそうで、今はカルチャーセンターとしてアートを楽しんだり、イベントを行うスペースになっていました。その一部屋がソーシャルダイニングの会場です。
毎週月曜日に開催しています。

オープンは夕方5時半。私たちだけでなく、この日一緒に夕食を食べる人たちが集まっています。一人で参加しても、グループで参加してもOK。飲み物は自分で選びますが、メニューはひとつ。まずは真っ白いお皿だけが配られ、会食が始まるのを待ちます。

チャイムを持ったオーナーが今日のメニューの話をしたあと、テーブルごとに数人が代表して食事を取りにいきました。役割があると初めて会った人同士も会話がしやすい…そのような工夫かもしれません。食事は大皿から自分の分を取り、隣の人へ渡していく。皆さんとてもスムーズ。
一方、日本人の私たちは、立ち上がって取り分けてあげたりどこか居酒屋風。これはこれでいいんだ。相手を気遣う文化があるんだと思いつつ、では誰が取り分け役?誰から配る?なんて問題もあるよね…
こんなことからも、デンマーク人の「誰もが平等」という考えに気づくこととなりました。

この日のメニューはラーメン。写真を見てのとおり、私たちが想像するラーメンとは違うけど、ここでは人気のメニューらしい。バルサミコ酢が入っているような酸っぱくてコクがあるスープに、ねぎとたまごを一緒に食べたら確かにラーメンっぽい。初めて食べる味に、私たちも会話が弾みます。同じメニューを食べて「美味しい」を共有するのは嬉しいこと。

食べ終わったら、自分たちでお皿を片づけました。まるで合宿所の食堂のようです。

子ども食堂のイメージとは少し違ったけれど、孤独をなくすという意図は同じようです。
同じテーブルで同じ料理を囲んで会話を楽しみながら食事をする。幸せの国デンマークのソーシャルダイニングは、気軽に足を運べるみんなの食堂でした。



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