"私ならできる、大丈夫”と思える根っこは体験で育つ
興味深いデータと出会いました。
こちらは、新しく創出されたこども家庭庁で昨年度行われたこども家庭審議会基本政策部会の資料の一部から抜粋しました。
「小学生の頃に“自然体験”をよくしていた子どもは、 その後、高校生の時に自尊感情や外向性が高くなる傾向がみられる」というものです。
これは自然体験活動に参加いただいているみなさんにぜひお伝えせねばと思った資料です。
体験活動の価値については、過去のコラムでも何度か話題にしていますが、体験の量によっても数値が開くということを私も新たに知りました。
肌感覚の話となってしまいますが、継続して私たちの活動に参加している子どもたちを見ていると、確かに班の中で上手にコミュニケーションをとることができていたり、野外炊事に時に自分の考えを提案したり班をひっぱるような場面を見受けることがあります。
また定例活動の中では、「前回は(去年は)これはできなかったから今年は挑戦してみよう」、という過去の自分と今の自分を比較してチャレンジするという姿も見受けられます。
たしかに一回体験してみるのと継続的に参加してみるのでは、獲得できる力にも奥深さがあるというのは納得できる話かとグラフをみて思いました。
自尊感情ってなに?
自尊感情とは様々な定義がされていますが、2020年に鹿児島県が人権教育のために作成した冊子によると、自尊感情とは次にように書かれています。
簡単に言うと、自己に対して肯定的な評価を抱いている状態、あるいは、自分自身を価値ある存在として捉える感覚ということです。
自尊感情が高い子どもの例として
〇自分の思いや考えを素直に話すことができる。
○ 自分に自信があり,様々な物事に取り組む意欲が高い。
○ 友達や周囲の大人との人間関係が良好。
ということが多いようで、
反対に自尊感情が低い子どもの例として、
○ ありのままの自分を出すことに自信が持てない。
○ 失敗を恐れ,消極的になる。
○ 他者に対して信頼感を持つことができない。
○ 他者を排除したり,攻撃的な態度に出たりする。
ということがあるようです。(引用文献※2より)
自尊感情という言葉自体ここ数十年でよく聞く言葉になってきましたが、自尊感情を伸ばすことは今を生きる子どもたちにとっても良さそうです。
また先ほどの鹿児島県の冊子に”失敗しても立ち直る心の育成にもつながる”とあります。子どもたちが思春期となりうまくいかない場面にぶち当たってしまった時でも自尊感情を幼少期から育ててあげることによって多少なりとも自分で自分を鼓舞できる、また他の仲間や信頼できる人に相談するアクションができるような人に育っていくのではないかと思いました。
最後に
こども家庭審議会基本政策部会の資料にはこのような章もありました。
【こどもにとって放課後や休日に体験活動を行う意義】
・自分の良さや強み、才能などに気づく機会になる。
・自分のやりたいことやがんばれることに出会い、没頭できる機会になる。 ・学校では学べないことを学ぶ機会になる。
・学校での学びや経験を実社会で活かし、実践する機会になる。
・多様な人々と出会い、交流する機会になる。
・家族の絆を深める機会になる。
・心の居場所になる。
学校以外の第二の居場所があることによって、たとえ何かにつまづいたりうまくいかなくなったとしても、自分の良さや価値を大切にしながら日常を過ごしていけるのかもしれません。
【引用参考文献】
※1
2023-7-25 こども家庭審議会基本政策部会(第5回)資料6-1「多様な体験活動の機会づくりと参加促進」について
※2
2020-04-07 鹿児島県人権教育冊子
#自然体験活動 #体験活動 #教育 #自尊感情 #地域 #子ども #居場所 #ひの社会教育センター #自然学校
ひの自然学校 ブランドバリューマネージャー
井上えっぴ