プロローグ(投稿テスト)

 プロローグ
 20XX年
 冬の長崎は冷える。凍える手をコートから出し、息を吐き、体を温める。手がじんわりと温まると同時にじんじんと痺れるようだった。コートから温かい缶コーヒーを取り出し、両手でゴロゴロと転がし暖を取る。手袋なんかはしてこなかった。今日は彼女に会いにきたのだ。夜も更け、人通りもまばらな街中を歩いていると声をかけられた。


「お客さん、今年も来られたのですね。どうです? 占っていかれます?」
 彼とも彼女ともとれる怪しげな雰囲気を醸し出し、黒ローブを纏っている人物から声をかけられた。彼もしくは彼女とは付き合いが長い。だけど、お互いのことは何も知らない。あくまで客としてしか付き合いがない。また、十年来の付き合いだが、付き合って以来、容姿が一切変わっていない。僕には未だに同じ二十代に見える。

中性的な容姿で髪型も昔からショートボブのままだ。声も不思議と相手を落ち着かせるような感じだが、十年の間で慣れるまでは全てを見透かされているような気分になって少し居心地が悪くなることもあった。


 僕は軽く会釈をすると、お願いしますと言って、椅子に腰をかけた。
「お客さん、いつもありがとうございます。それでは、占っていこうと思いますが、どうされますか? タロット、手相、人相、生年月日なんでも行えますけれど……」
 僕は相手が言い終わるのをまって、口を開こうとした。
「そうですよね。手相と生年月日占いに姓名判断ですよね」


 占い師は蠱惑的ともとれる微笑みを浮かべ、こちらの様子を伺ってくる。人によってはこのしぐさだけでも落ちてもおかしくない妙な魅力がある。
 僕は、先に要望を言われ、口を噤むしかなく、肯定の意を示すために頷いた。
 僕の意を聞くやいなや、腹ペコの肉食獣が餌を見つけたような眼光に変わった。


「あの、実はお客さん、お客さんがどーしようかな、あーそうだ。実はなんと開店して五十万人目のお客様なんですよ。ですので、どうでしょう? 占いの費用は一切いりませんので、今日は私の占いの実験……、いや、私ができる占い全てを使ってお客様を占わせていただいてよろしいでしょうか?」


 分かりやすい嘘をつくのだなと思った。ばれていないと思っているのか、占い師はすでにタロットや棒占いやら水晶やらを出して、占う気が満々のようだ。この占い師は前から僕の過去を占わせてほしいと懇願してきていた。僕としては、あんまり、過去について根ほり葉ほり調べられるのは好きではない。思い出に土足で入られるような気持ちになるからだ。近くにある時計を見ると八時五分前を指していた。僕は少しため息をつくと、白い息が空に飲まれていった。赤くなっているであろう鼻をさすると、少し落ち着いた。


「できれば、九時半までには旅館に戻りたいので、それでよければ好きなように占ってください」
 それを聞くと占い師は露骨にがっくりしながら、ペンデュラムやら羅針盤やらサイコロを見て、寂しそうな表情を浮かべ、ちらりと上目遣いでこちらを見てくる。
「……そうするのもいいですけど、時間がなくなりますよ」
 占い師はそれを聞くと、説得を無駄と判断したのか、さっきのしおらしい態度を一転させ、商売道具を猛然と片付け、水晶だけを机に置いた。


「お客さんもけちですねー。少しくらいいいじゃないですかー。先っちょだけ、先っちょだけ入れさせてくださいよー」
 甘えた猫なで声で言ってくる。脳裏に二パターンが浮かんでくる。女だったらいいのだ。ただの冗談だと思えるから、むしろ人によってはラッキーとも思えるかもしれない。問題はこの性別不詳が男だったらどうしようかということだ。意味合いが大分変わってくる。そういう意味で言っている訳ではないと分かっていても想像して少し鳥肌が立った。


「……それじゃあ、僕は生年月日と名前を書いていたらいいですね」
 占い師の声を無視して、僕は自分の名前と生年月日を書いた。それから、もう一度時計を見た。ちょうど八時を指していた。駅の近くにあるベルが軽く鳴り響く。
 彼女はそろそろ着く頃だろうか? もしくは着いただろうか? そう思いながら、僕は彼女の名前と生年月日を記入した。


 占い師を見ると、先ほどとは打って変わり真剣な表情を浮かべていた。顔には汗が滴り、水晶が細かく台座の上で振動していた。水晶が青に変わり紫色に変化している最中だった。冬のしんとした寒さと暗さの中に光が滑らかに怪しく辺りを照らしている。


「私の占い師としてのプライドと意地をかけて絶対に過去を暴いてやる」
 到底、占い師が言っていいとは思えないプライバシー無視の言葉を発しているのを見て、まぁ、あれから十数年経ったし、いい節目か、とも思えるようになった。
 僕は眼前に広がる帯状に広がる紫色を見ながら自分の半生を思い出していた。

そう、今から思い出すのは、死んだ僕と死んだ彼女のお話。



テスト投稿なので今のところ、ここで全部書いて乗せるつもりはないのでご安心をば。お目汚しすみません。それに続きとか、全然かけてないので……。

 これから、お勧めの書籍や株の動向とか漫画とかアニメとか、好きなものについて少しずつ書いていければいいなと思っています。

 自分のことで今のところ一杯一杯のなので生暖かい眼で見てやってください。

いいなと思ったら応援しよう!

〇〇〇〇一
いつも読んでくださってありがとうにゃ。 ゆうきみたいに本を読みたいけど、実際は読めていない人の為に記事を書いているにゃ。今後も皆が楽しめるようにシナリオ形式で書いていきたいにゃ。 みにゃさんが支援してくれたら、最新の書籍に関してもシナリオにできるにゃ。是非頼むにゃ。