ディープインパクト産駒と相性のいい騎手
9月13日発売の「競馬の天才! Vol.12」ではディープインパクトの追悼企画に参加させていただきました。
これからも活躍に期待できるディープインパクト産駒で儲ける方法というのがテーマでしたが、ここではボツになってしまったネタを紹介させていただこうと思います(涙)
以下のデータは、19年8月12日現在のディープインパクト産駒での通算成績です。通算勝利数が多い順に40位まで集計しました。
「単絞出」「連絞出」「複絞出」は、「政治騎手名鑑」などで紹介させていただいている「馬力絞り出しメーター」の考え方を利用して出したものです。
〇「馬力絞り出しメーター」とは
馬の能力を正確に反映するのはオッズ
「この騎手は頼りになる」という判断基準は人それぞれでしょう。私は「馬の能力をきちんと発揮できる」騎手こそが、「頼りになる騎手」だと考えました。そしてそれはつまるところ、「騎手の真の実力」なのだとも思います。
騎手の実力=腕を比較しようと思った場合、ネックになるのが、騎乗馬の能力を筆頭に、枠や馬場など同じ条件のものがひとつもないという点。だから勝利数や勝率などを単純比較しても、その騎手の実力を正確に反映しているとは言いがたい。例えばたくさん勝つ騎手が上手いというのは、一方の事実ですが、実際はいい馬にたくさん乗っているだけで、腕前は大したことないかもしれない可能性があります。
そこで、騎手の腕前を可視化するために編み出したのが、今回の目玉データ「馬力絞り出しメーター」なる指標です。
「騎乗馬の能力」や「枠、馬場などの諸条件」から導き出される「そのレースにおける総合的な騎乗馬の評価」があるとすれば、〝オッズ〟がもっとも正確に反映している数値だと考えました。オッズは馬券ファンの投票行動から積み上げられた〝集合知〟であり、オッズと好走率には明確で揺るぎない相関関係(オッズが低いほど好走率が高まる、など)があるからです。
オッズを「騎乗馬の疑似能力」ととらえて、各騎手のオッズ帯ごとの成績を精査していけば、その騎手が「騎乗馬の能力に見合った結果を残せているかどうか」を判定することができるのではないか。それを数値化したのが、「馬力絞り出しメーター」なのです。
能力以上に絞り出す=頼りになる!
では具体的にどのように「馬力絞り出し率」を計算したのか、福永騎手を例にとって説明します(下記表参照)。
福永騎手は8月12日までの集計期間中に単勝オッズ「1.5~1.9倍」の馬に61回騎乗し、37回勝利しています。さて、このオッズ帯のディープインパクト産駒の勝率は「49.0%」です。この全体勝率に「騎乗回数61を掛けると「29.9」と出ます。これは「このオッズ帯の馬に61回乗ったときの推定勝利数」を示すものになります。
「実際の勝利数」がこの「推定勝利数」よりも多い場合、「騎乗馬の能力以上の力を絞り出している」ことを表わすはずです。逆に「実際の勝利数」が「推定勝利数」より少ない場合は、「とりこぼしが多い」ことを示すことになります。福永騎手の場合、「1.5~1.9倍」のオッズ帯の馬に関しては、「実数37>推定数29.9」となっているので、このゾーンでは少なくとも馬の力をやや上回る勝利数をあげていることになります。
このように各オッズ帯別に「推定数」を計算し、それらを合算。この「合計推定数」で「実際の合計数」を割ったものが「実力絞り出し率」になるわけです。この率が100%を超えている騎手は「能力以上の結果を絞り出している=頼りになる」と判定できるし、反対に100%を割り込んでいる場合は、「取りこぼしが多い=頼りにならない」と判定できるのです。
福永騎手は、推定勝利数が「156.2」に対して、実際の勝利数が「171」なので、馬力絞り出し率は「109%」、人気よりもいい成績を残しているといえるでしょう。
さらに、「勝利数」「連対数」「複勝圏内数」それぞれについても同様の計算を行ないました。これで「アタマは取りこぼすけど、3着内には持ってきてくれる」とか「1着か着外かのピンパー傾向」といった、各騎手のきめ細やかな傾向も浮かび上がるでしょう。
この「馬力絞り出し率」が算出した数値には、「実際の騎手の腕前をかなり反映している」という手ごたえを感じています。活用していただければ、馬券戦略にも役立つはずです。
今年のオークスでカレンブーケドールを12番人気という低評価を覆し2着に好走させた津村騎手はディープインパクト産駒と好相性。今週の紫苑Sでも、その騎乗ぶりに注目したい。ただ、中堅以下の騎手には厳しい時代。今後もコンビを組み続けられるかということも気になります。データでは津村騎手以上の適任者は、そうはいないと思われるのですが……。
京王杯AHの特別登録を見ると、ディープインパクト産駒はディメンシオン、フローレスマジック、プロディガルサンの3頭。騎乗予定の北村宏騎手、石橋脩騎手、三浦騎手の相性を見てみると、三浦騎手はディープインパクト産駒との相性がイマイチの感。こちらもどうなるか注目したいです。