斎藤新騎手【政治騎手名鑑2021】
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恵まれた環境が仇か、2年目に失速
水や肥やしをやり過ぎると植物も育たない。水をやり過ぎた木は枯れます。トマトを甘くするために水を極力与えないという農法もあるらしい。騎手の育成も似たような面があるのではないでしょうか。
斉藤新騎手の場合、取り巻く環境には非常に恵まれています。父は美浦の斎藤誠師。所属の安田隆厩舎からの手厚いバックアップもある。恵まれた環境がバネとなったのか、デビューした昨年、42勝を挙げ最多勝利新人騎手賞を獲得しました。
順調な船出といいたいところですが、USMを見る限り、まだまだ力不足です。昨年のUSMも3部門ともに100%割れ。今年に入っても上向くことはなく、まだプラス域に達したことがないからです。
斎藤新騎手のジョッキー・バイオリズム
東西の一流厩舎から手厚いバックアップがあることはいいことだが、それが肥やしのやりすぎになっていて、すべての栄養を吸収できていないのでは。時には甘く完熟させるために、水を与えないほうがいい場合もあるのではないかとつい思ってしまいます。
1年目は同期の中で一番の勝ち星を挙げたものの、2年目に入るといきなり尻すぼみ。同期の活躍に押され気味になり、3月には通算勝利数を岩田望騎手に抜かれ、6月には団野騎手にも抜かれ、関西の2年目の騎手のなかでは、12月13日時点(以下のデータも同じ)で最も勝ち星が少ないという不名誉な地位に追いやられています。
斉藤新騎手には、ついきつい言い方になってしまうのは、期待も大きいからです。環境の良さに甘えず、精進すれば上にいける騎手と思っています。勝ち星では同期に逆転されたとはいえ、7月にはラブカンプーでCBC賞を逃げ切り勝ち、同期のなかで最も早く重賞制覇を果たしたからです。
USMはまだマイナスとはいえ、上昇気配があり、今後プラスに転じる可能性も十分です。穴での活躍が増えるはずと思い、先回りして狙ったのは長岡Sのクリアザトラック(10番人気)。筆者の期待に応え逃げ粘って3着。おかげで3連複2万馬券を的中させることができました。
逃げるべきか、逃げざるべきか
戦法を見ると逃げ率が10.2%もあり、積極的に逃げる騎手。その積極性が同期のなかで一番早い重賞制覇につながったと考えられます。CBC賞ラブカンプーも13番人気での逃げ切りでした。
斎藤新騎手の戦法データ
騎乗馬の平均オッズ62.4%
※戦法データの集計期間は20年1月1日~12月6日まで。戦法はtargetの判定方法に従っています。また、戦法の特徴がよりわかりやすくなるよう、リーディング順位の近い騎手と比較できるようにしました。さらに、騎乗馬の人気と戦法は切っても切り離せない(人気馬は能力が高いので前で競馬できるが、人気薄ではなかなか前に行けないなど)ので、騎乗馬の平均オッズとオッズ別の戦法データを合わせることで、よりその騎手の戦法の特徴が見えるようにしています。
回ってくる馬の能力は間違いなく高い。それを活かすには逃げるのが手っ取り早い。ただ、だからといって逃げるだけの騎手になってもいいのか? という疑問もあります。恐らく斉藤新騎手自身も同様の悩みを抱えているのではないでしょうか。
もし、そうなら多くの騎手にとってみれば、これほど贅沢な悩みはないのかも。いい馬がドンドン回ってくるから、それで逃げて勝てるならそれで何か問題があるの? と問いたくなるはず。ですが、本人には葛藤があるはず。恵まれているジョッキーにも、恵まれているゆえに生じる悩みもあるのではないでしょうか。
逃げれば勝てるが、逃げ一辺倒の騎手にはなりたくない、そんな斉藤新騎手の声が聞こえてきそうなデータがあります。
○20年、月別の勝ち星と逃げ率
1月:3勝、7.9%
2月:5勝、12.0%
3月:3勝、8.6%
4月:6勝、22.0%
5月:2勝、6.7%
6月:0勝、8.3%
7月:2勝、14.9%
8月:3勝、17.2%
9月:2勝、11.1%
10月:4勝、3.8%
11月:4勝、4.1%
12月:1勝、3.2%
逃げ率が高い月は勝ち星が増える。でも、やがて逃げが少なくなって勝ち星が減る。するとまた逃げ率が上がり、勝ち星がアップ。でもまた逃げ率が下がり……。逃げ率と勝ち星の間には相関があるように見えます。そしてこの相関関係が「逃げれば勝てるけど、逃げたくはない」という斉藤新騎手の声のように聞こえてしまうのは、筆者だけでしょうか。
ただ、10月以降は逃げ率が急激に下がっているにも関わらず勝ち星が増えています。11月8日の福島で3勝の活躍。10鞍に騎乗し逃げたのは一鞍だけ。好位に控える競馬での3勝でした。ハイペースになりやすく、差しを練習するのに福島は向いている競馬場だと思うのですが、ようやく逃げ一辺倒の騎手から脱却の糸口をつかんだのかもしれません。
過渡期にあると思われるので馬券的な扱いは保留です。でもひとつだけ狙いどころを挙げておくと、ターゲットは十日町特別のルクルト(9番人気3着)のように差しにチャレンジしそうなレース。斉藤新騎手が差しを試しそうな馬とのコンビを追いかけたい。
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「馬券術政治騎手名鑑2021 Go to ケイバ!」では、紙幅の関係で上位30人までしかバイオリズムのグラフを入れることができませんでした…
みなさんに競馬を楽しんでいただくため、馬券の参考にしていただくため、頑張ります!これからもよろしくお願います!