地球は平面なのだろうか
「ひのきくん。地球ってどんな形か知ってる?」
この言葉が、この記事を書くきっかけとなった。
初めまして、ひのきそらと申します。
しがない会社員をしている二児の父です。大した取り柄も無く万年金欠な私ですが、家庭も持ちそれなりに一家四人幸せに暮らしています。
仕事の休憩中、唐突に上司からこんな事を聞かれました。
「ひのきくん。地球ってどんな形か知ってる?」と。
別に宇宙とか惑星の話題になっていた訳でもなく、一日の楽しみでもある昼食中にそんなことを問われた私は答える。
「え? まぁ、丸いですよね」
「あー、やっぱり君もそっち側かー」
そっち側とは? 休憩室の空気が少しだけ重くなったように感じ、私は恐る恐る口を開く。
「あの、どういう事ですか?」
「ここだけの話、地球は実は平面なんだよ」
時が止まった。いや、別にDIOがスタンドを使ったわけではないが、確かに私の時は止まったのだ。
この時、私は初めて「地球平面説論者」、所謂"フラットアーサー"が実在していたのだと知った。Twitterなんかでは時たま目にすることはあったけども、まさか実際に生身で、しかもこんなに身近な存在なのだとは思ってもいなかった。
「地球が平面、ですか?」
「そう! 今まで信じていた地球の形は全部捏造で、本当は平面なんだよ!」
急にテンションが上がった上司は早口でそう言うと、地球が平面であるという根拠なるものを饒舌に話し始めた。
・地球の本来の形は円盤状である。
・地球は自転や公転などしておらず、地球の周りを太陽や月が回っている。
・空は巨大な天蓋に覆われており、これによって紫外線や人体に悪影響のある物質なんかを防いでいる。
・ネットやテレビで流れる画像や情報は全てNASAによるデマ、CGである。
・この世界は悪魔を信仰する人々が作った世界。etc……。
頭がバグりそうだった。いや、もしかしたらこの時点で私の脳は少しだけ損傷していたのかもしれない。
何故なら私はこの時、上司の説明を喧しい街頭演説のように聞き流すのではなく、身を乗り出して聞き入っていたのだ。
いま思えば何故適当にあしらわなかったのかと自分を殴り飛ばしたくなるが、過ぎ去ったことは変えられない。
勿論、そんな馬鹿な話がある訳ないだろうと口に出そうとした。したのだが、言いかけた私の脳裏に在りし日の祖父の言葉がよぎった。
「何事も自分の主観で決めつけ、否定するのは良くない。しっかり物事を見極め、理解する。そこで初めて自分の意見を発言しなさい」
何故あの時その言葉を思い出したのかは分からない。神からの啓示だったのか、上司の論で言うのであれば悪魔の囁きだったのか。
ともかく私はその言葉に従い、この記事を書く事を決意した。稚拙な文で分かりにくい点も多々あるとは思いますが、どうか最後まで読んで頂けると嬉しいです。
本題に入る前に、この記事は誹謗中傷の目的で書いている訳ではありません。あくまでも私が調べた意見を書き連ね、上司に対しての一意見であるということをご理解下さい。
1.フラットアーサーと地球平面説
記事を書くにあたり、フラットアーサーとはどういった人々なのか。そもそも地球平面説とはなんなのかを知る必要があると私は考えた。
とはいえ私は宇宙工学やそれに類する学問を専攻していた訳ではない。ましてや「地球は平面である」などと考えたことなど一度もない。という訳で私はさまざまな情報が入り乱れるネットの海へとダイブした。
フラットアーサーとは、地球平面説を信じる方々を指す俗称らしい。その数は年々増え続け、世界中で約600万人にも上るという。現在の世界人口が約77.5億人のうち、約0.07%の人々は地球は平面であると信じているようだ。今はまだ数は少ないが、今後も増えていくことが予想されている。
次に地球平面説について。この説の始まりはかなり古いらしく、紀元前の人々にとってこれは定説であったらしい。これを否定したのが古代ギリシアにおける哲学者、アリストテレスだ。
思い返せば私が小学生の頃の教科書にも、そのようなことが記載されていた気がしなくもない。遠ざかる船が小さくなっていくのではなく、下に沈むように見えるのは地球が平面ではなく球体であるからだとかなんとか。
ともかくこの地球平面説は遥か古代から議論が交わされてきた歴史ある説である。また一つ知識が増えたことは、素直に喜ぶべきなのだろう。
2.太陽と月
さて、私がこの地球平面説を考察するにあたってまず初めに疑問を抱いたのは太陽と月だ。
我々の知る太陽と月は地球の外側。宇宙空間に存在する天体であり、地球の衛星である月は地球の外側を周回し、恒星である太陽の周りを地球が周回している。
しかしフラットアーサーである上司はこう語っていた。
「そもそも宇宙空間というもの自体が存在しない。太陽と月は地球を覆う天蓋の内側に存在し、それらが周っている」
この言葉の中に一体どれほどの情報量があるのか。私のような凡人の脳では計り知れない。だが思考を止めてしまえば野生に生きる獣と変わらない。私は人間の尊厳を捨てることなく、この説と向き合う事を改めて誓った。
一般的に太陽は表面温度が約6000℃。中心温度が約1600万℃と言われている。生身の人間が太陽に近づこうものなら塵も残さず滅却されてしまうだろう。中心部は言わずもがなである。そんな太陽が地球の上空に存在しているというのであれば、まず間違いなく地上は例外無く地獄となっているはずだ。
しかし、いま現在地上は緑豊かで青々しい海もある。とすると太陽の温度は我々が思っている温度よりも低いということになる。フラットアーサーの方々が導き出した太陽の本来の温度がどれほどのものなのかは検索をかけても見つからなかったが、これはひとえに私の検索能力の低さが原因なのかもしれない。
次に太陽と月はどの様な位置関係にあるのか。上司はこう語った。
「太陽は天蓋の中心部、かつ最頂点に位置しており、月は地上と太陽の中間点にある」
なるほど。確かに月と太陽の高低差があれば月食や日食の説明もある程度は出来ると思われる。しかしここで新たな疑問が生まれる。太陽が天蓋の最頂点にあるのならば、昼と夜はどの様に発生しているのかだ。
2-1昼夜
まず紙とライトを用意して頂きたい。いや、別に本当に用意する必要は無い。なんとなく書いてみたかったから書いただけです。はい。
ともかく紙とライトを用意し、部屋を完全なる闇にする。そしてライトを点灯させると、光は局所的に紙を照らし、それ以外の部分は暗いまま。
これが昼と夜の簡易的、かつ簡潔に説明したものである。光が薄い場所はつまりは夕暮れ時や朝焼けの部分なのだろう。
しかしまたしても疑問が生まれる。上空から真っ直ぐ光が届くのであれば、夕焼けが我々の知るエモい赤色に染まるのは何故なのだろうか? 知れば知るほど疑問が湧いてくる。
3.傾斜運動
ところで皆様は夕焼けが何故あの色なのかはご存知だろうか?
曰く、夕方は光が空気中を通る時間が日中に比べて長く、青い光は反射され赤い光だけが届くからだそうだ。もっと噛み砕いて言えば、太陽の高度が低くなり、光が大気の層を通る時間が長くなる。その過程でレイリー散乱と呼ばれる現象が起こり、様々な色の光が散乱することになるが、一番その影響を受けづらい赤い光だけが地表に届き、我々の目に映るという仕組みらしい。
私よりも博識な方がこの記事を読まれることがあるのであれば、補足などを頂けるとありがたい。ともかく夕焼けがあのようなエモい色に見えるのはこういったメカニズムなのだが、フラットアースの説ではこの現象が起こり得ないのではないかと私は思った。
何故なら太陽は天蓋の最頂点に座している。いくら光の薄い場所があれど、我々が目にしているあの焼けるような赤い色になるのだろうか?
そして上記の中で出てきた"太陽の高度"。これも天蓋の最頂点に座しているのであれば変わりようが無いのではないか?
これらの疑問を一手に解決したのがこの項の名である"傾斜運動"だと考える。
地球はなにも全く動いていない訳ではなく、ゆらゆらと円を描く様に揺れ動いているそうだ。同様に天蓋部分も動いているらしい。
そして地球は完全な平面、という訳でもなくより正確に言うのならば半球状であるとのこと。半分に切ったグレープフルーツをイメージしてもらえれば分かりやすいかと思う。
確かにこれならば太陽の高度もある程度変わり、前述のような現象が発生して夕焼けもあの色に見えるのだろう。
とすれば海なんかに見られる波の説明もつくのかもしれない。
4.大陸の形
ここでそもそもの疑問である「大陸はどの様な形をしているのか」ということについて触れておきたい。
我々の知る大陸。まあ、私が説明するまでもなく、皆様が思い描く通りの形をしている筈だが、上司の考える形は少し違うらしい。
「北極がこの世界の中心で北極点が地球の中心点。そして南極大陸は地上を囲む様な形となっている」
大阪発祥と言われている土手焼きをイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれない。確かにこれならば海の水が流れ出る心配も無いし波が起こる事の辻褄も合う。
とすると地球には端があるということになるのだが、ここである偉人を紹介したい。
フェルディナンド・マゼラン。
ポルトガル出身でスペインの探検家、航海者であり、歴史上初となる世界周航を成し遂げた偉人である。彼が達成した世界周航はそれは壮絶な苦難の連続であっただろう。なにせ世界一周である。当然、世界の端なるものも目撃したに違いない。しかし様々な文献や史実において彼の口から「世界に端があった」という台詞が出ることはなかった。これは一体どういうことなのだろうか?
「世界の端に着くとその反対側にワープするんだよ。マゼランは権力者と裏で繋がっていたんだ」
ワープ!? いわゆる瞬間移動、テレポーテーションのことなのだろうか? いま現在人類ですらその再現をすることが出来ないその現象が自然界では発生しているらしい。こうなるとマゼランの航海は艱難辛苦の旅路ではなく超絶イージーモードのヌルゲーだったということになってしまう。私はそのワープの原理について上司に尋ねた。
「それは分からない。この世界を裏で操る権力者たちがひた隠しているから」
その闇の組織について非常に興味が湧いたのだが、情報が隠蔽されているから分からないのだという。これは壮大な話になってきた。
5.重力
我々がこの大地に足をつけることが出来ているのは、ひとえに重力という目に見えない力が働いているからだ。
この重力を発見した人物こそ、かのアイザック・ニュートンその人である。
重力とは地球上で地面に物体が近寄っていく現象とされており、我々が何かを持ち上げた時に感じる重さを作り出す原因でもある。
地球の重力は約9.8Nと言われており、これは1kgにかかる重力だ。
ここで前項で述べた太陽と月の位置を思い出して頂きたい。太陽と月がどれほどの高度にあるのかは定かではないが、地球の直ぐ側にあるということはここまで読んで頂ければお分かりだろう。
とすると太陽や月にも重力が働くのは考えるまでもない。
ここで太陽と月の質量について表記しておくが、太陽は約1.989 × 10^30 kg、月は73.5×10¹⁸tとされている。途方も無い重量だが、それが地上の上空に存在しているのならば、重力の影響を受け地に落下していてもおかしく無いのではないだろうか?
これについて上司はこう言った。
「そもそも重力なんてものは存在しない」
重力が無い……だと……?
「もし仮に重力があるとしたら、人間は立ってられないし飛行機も飛べない。船だって沈没するに決まってる」
目眩がした。飛行機や船、果ては建築物に至るまで重力という力が働いているという前提で設計されているものだと思っていた私にとって、それは斬新な考え方だった。
しかし太陽と月は一体どの様な原理で宙に浮いているのだろう。
「重力ではなく引力が働いているんだよ」
引力。ここで引力について明記しておこうと思うのだが、引力とは物体同士が引き合う力というのが定説である。運動会の綱引きでお互いに力が拮抗している場合、両者共にその場を動かない光景を見たことがあると思うが、それと同じ状況なのだという。
しかしこの説が正しいとすると空を飛ぶ鳥類や飛行機なんかは飛べるのだろうか?
太陽や月が宙に浮かんでいることから考えると、相当な力が働いているはず。空を飛ぶ以前にそもそも我々は立っていられることも出来ないだろう。
ここで私は新説を提唱しようと思う。太陽や月が宙に浮いている原因は、引力ではなく「磁力」なのではないか、と。
つまり地球や太陽、月は磁性体でありお互いに反発し合っているからこそ、太陽や月は宙に浮いていられるのではないか。飛行機が飛べるのは何故なのかという疑問についてだが、これは磁化で説明しようと思う。長い間磁性体と接触していた物体は磁力を持つ様になる現象だ。これならば飛行機も飛べるし建築物も瓦礫の山になることはないではないだろうか?
……我ながら無茶な理論だと思うのだがどうだろう? 有識者の方がいれば私の説について反論やご指摘頂けると幸いだ。
6.天蓋
さて、そろそろこの記事も終盤に差し掛かってきた。最後にこの天蓋という謎に満ち満ちたものについて触れようと思う。
天蓋というのはつまるところ女王様なんかが普段寝ていそうなベッドについているアレだろう。地球の上空を半球状に包み込んでいるのだとするならばカーテンレースの様な素材では断じてないと思う。
もし仮にその様な天蓋があるのだとするなら、その素材は何で出来ているのか。天蓋の厚さはどのくらいなのか。疑問が溢れて溺れてしまいそうになる。
「それはまだ解明されていない。NASAが情報規制をかけているから」
私がNASAという組織の全容を知らないだけなのか、それとも上司の妄言なのかは定かではないが、とにかくそういうことらしい。
情報が無いのであれば自分で考えるしかないのだが、一番の疑問はやはりその素材だ。紫外線やその他の物質を遮断するというのであれば、一番有力なのはガラスだろうか。
これならある程度の紫外線をカット出来るし有害な物質も遮断できそうだ。
そして最大の謎はこの天蓋がどの様にして出来上がったのか。
ここでガラスがどの様にして作られるのかを記載しておく。石英(ケイシャ)、塩(ソーダ灰)、方解石(石灰石)を主な原材料としており、これらを混ぜ合わせ高温で溶かすことによってガラスが生成される。
このようにガラスとは人工的な物体のはず。とすると天蓋も人間が作り出した物ということになるのだが、それほど巨大なガラスの天蓋を作り出す技術力が今の人類にあると私には思えない。
もしそれが可能ならば、我々の文明は想像もつかない程に発展しているはずだ。
こうなってくるともう我々人類ではない何かが天蓋を作成したということになってしまうのではないか。
私は無神論者だが、神やそれに類する知的生命体がいるとしか考えられない。
7.結論
以上を踏まえ、私なりに辿り着いた結論を述べさせていただく。
地球はやはり平面ではなく、球体なのではないか。
これが私の結論だ。地球が平面、と言うにはあまりに不確定要素が多いように感じた。
だが、これはあくまでも私の出した結論であり、一意見だということは重ねて理解して頂きたい。私の知り得ない情報や真実があるのであれば、是非それを教えて頂きたいとも考えています。
この辺で今回の記事を終わろうと思います。最後まで読んで頂けた方、ありがとうございました。
余談ですが、フラットアーサーの方々は地球の"球"という部分をどのように思っているのだろう……。